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| 2004年06月20日(日) ■ |
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| 「謎とき「罪と罰」」新潮選書 江川卓 |
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「謎とき「罪と罰」」新潮選書 江川卓 「罪と罰」は去年の私の読書生活の中では、大きな事件であった。いまさら、と言われるではあろうが、やはり名作は名作である、と再認識。ほとんど現代小説の傑作のように読み、今なお私を揺さぶりつづけている。その「罪と罰」を1冊丸ごと解説している本があるのだから、当然読まなくてはならない。しかも、私はたまたま岩波文庫で読んだのだが、その訳者の叙述だという。
退屈だった。何度読むのを投げてしまおうかと思った事か。そりゃ確かにそういう読み方も可能かもしれない。ドストエフスキーは念密に登場人物の名前や、セリフの言いまわしに二重三重の意味を持たせていたのかもしれない。しかし私にとって重要なのは、ラスコーリニコフは最後には罪の意識を持ったのか、彼はその気持ちをどのように変化させていったのか、ポルフィーリが仕掛けた罠と彼が掴んでいたという動かぬ証拠とはなになのか。スヴィドリガイロフは本当に妻を殺したのか。そういういわば、小説の根幹(だと私には思われる)の事なのだ。しかしその事に半分もこの訳者は答えようとしていない。唯一凄いなあと思ったのは、ラスコーリニコフとソーニャが実はあの時点でエッチしていた、という事の証明なのではあるが、それは最後のほうにやっと出てくる。この本は最後の一章か二章ぐらいが一番面白かった。(04.02)
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