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| 2004年06月19日(土) ■ |
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| 「ジョゼと虎と魚たち」角川文庫 田辺聖子 |
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「ジョゼと虎と魚たち」角川文庫 田辺聖子 この本を手にしたのは、映画を見たからである。もう一度、ジョゼに逢いたかったからである。原作では「市松人形のような小さく白い顔」と表現され、映画では池脇千鶴が迫真の演技をした、ジョゼ。 よくあることなのだが、原作と映画は似て非なるものだった。そもそも原作がこんなに短い物語だったとは知らなかった。映画の中にある青年のこずるさ、ジョゼの自立心はこの原作の中にはない。正直、原作より映画のほうがよかった。 ただし、池脇千鶴がぶっとい大阪弁を駆使して女のしたたかさを表わした一方で、小さく震える背中で女のか弱さを演じたように、この短編集のほかの1篇1篇は現代女性の様々な一面が見事に表現されていて、どの短編も見応えがあった。全面大阪弁の恋愛小説集として、なかなか面白かった。(04.02)
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