日々あんだら
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大学からは出るな、と言われているが、大学の中の移動は制限されていないので、 毎朝、大学のキャンパス内を散歩している。 基本的に、知らない場所に入り込んで行くのが好きなので、結構隅々まで回っている。
何日か前から、大学病院の裏手に、小さな集落があることに気づいていた。 なんでキャンパス内に集落があるんだろう?日本じゃありえんよなぁ。。。 病院スタッフの社宅や寮は立派なのがすぐ横にあるので、彼らの住居ではないはず。 と気になっていた。
今朝、今まで行ってなかったその集落の方まで足を伸ばしてみて、初めて気づいた。 多分ここ、かつてカースト制度で不可蝕民とされてた人たちの集落だ。
カースト制度は1950年頃に法的には無くなった。 でも、いまだにその影響は残っていて、元カースト下位の人たちや元アウトオブカースト(不可蝕民)の人たちは差別を受けている。 不可蝕民の人たちは住む場所や使用する井戸なども他の階級とは分けられている。 彼らの多くは掃除や屠殺、洗濯などの職業に就いていて、それらは基本的に世襲のためなかなか抜け出すことができない。
ということは知識としてはもちろん知っていたけれども、目の当たりにするとやっぱりショックだった。 この集落の中に井戸もある。キャンパス内は基本的に水道なんだけど、それはこっちには来てないようだ。 今まで、キャンパス内をずっと掃除している人たちをいつも目にしてたけど、彼らがそうなんだろうか。 そういえば、いつもクリーニングの受付をしてくれる女の子は我々の汚れ物を素手で触っているけど、 一度だけ別の男性が受付だった時にはビニールの手袋をしていた。 そして、クリーニングが終わり綺麗になった服は、別の人が届けてくれる。 日本的な感覚で、単なる役割分担のように思っていたんだけど、違うのかもしれない。
ほんの数週間、語学研修で来ているだけの僕が、知った風にどうこう言えるほど簡単な問題ではない。 (この日記を書くかどうかも迷った) ただ、大学という面積的にも機能的にも非常に限定された狭い範囲ですら、こんな明確に差があるということに驚いたし、 インドという国の縮図を見た気になっているだけである。
「インドの文化や風習に触れてこい、って言われても、大学に閉じ込められてて何がわかるねん」と 一緒に来た連中と文句を言っていたんだけど、その中でもわかることはある。 英語の能力を伸ばすことはもちろんなんだけど、それ以外のこともできるだけたくさん吸収して帰ろうと思う。
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