日々あんだら
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先週の木曜日に発症した風邪がまだ治りません。 もう10日…歳は取りたくないねぇ。。。|Д`) 熱も眩暈ももう治まったけど、鼻水が止まらなくて、結局走りに行けないまま。 さすがに今の鼻の状態で走ってたら、呼吸困難で倒れる。(笑)
さて、モノ日記はちょっとお休みして(ボチボチ書いて行こうかと。ものっそエネルギー使うねん、あれ) 最近読んだ本の感想なんぞをちょこちょこっと。 何を読んで何を読んでないのか、最近時々わからなくなることがあって。 …歳は取りたくないねぇ。。。|Д`)|Д`)
・小路幸也『東京バンドワゴン』『シー・ラブズ・ユー』『スタンド・バイ・ミー』『マイ・ブルー・ヘヴン』 東京バンドワゴンシリーズの4冊。 前に読んですごく良かった『モーニング』を書いた小路さんの作品で、前から気になってたんやけど YUKIさんにオススメされて1冊読んでみたら止まらなくなりました。 4冊を1週間くらいで読み終えた。(笑)
予想を裏切ってバンドのお話ではなく、古本屋さんのお話。(伝説のロッカーは出てくるけど。笑) 東京の下町に3代続く「東京バンドワゴン」という名の古本屋さんを舞台に、 そこに住む大家族が、日常のちょっとした謎や問題を解決していくドタバタ劇。 登場人物はめちゃくちゃ多いんだけど、1人1人の個性が際立ってるので、そんなに混乱はしないし、 続きが気になって1話終わるまで本を置けません。 で、読み終わるとほっこりじんわりする。時々ちょっと泣ける。
4冊目の『マイ・ブルー・ヘヴン』は番外編的な位置づけで、 おじいちゃんとおばあちゃん(本編では幽霊。笑)の若い頃のお話なんだけど、 本編で話の端っこにちょこっと出てきた名前やエピソードのカケラについて語られてて、 それを読み終えてから本編の3冊をもう1回ずつ読んでしまった。 一粒で二度美味しい感じ。(笑)
近年読んだ中で1・2を争うくらい好きなシリーズです。 LOVEだねぇ。(←読めばわかる)
・萩原浩『愛しの座敷わらし』(上・下) 萩原浩は好きな作家。僕の中で当たり外れはあるんだけど。(笑) で、これはめっちゃ大当たりでした。
本社から(多分)東北の田舎町に左遷されたサラリーマンと、 最近上手く行っていない奥さんと、 中学校でいじめられていたお姉ちゃんと、 喘息持ちで引っ込み思案な弟と、 おじいちゃんに先立たれて少し言動がおかしくなってきたおばあちゃん。 その一家が新しい住処として選んだ古い日本家屋には、座敷わらしが住んでいた。
って出だしから何?って感じなんだけど、その町と、近所の人たちと、座敷わらしのおかげで 家族が少しずつ再生していく物語。 ラスト3〜4ページはもう予想通りの展開で、もう泣く準備しながら読んでました。(笑) ラストのウエイトレスさんの台詞が、ページをめくった最後のページに書かれていて、 偶然なのか狙ってなのかはわからないけど、それがめちゃくちゃ良かった。 そしてやっぱり泣いた。(笑)
・有川浩『図書館戦争』『図書館内乱』『図書館危機』 有川浩の図書館戦争シリーズ。
「メディア良化法」という法律によって、言論統制が異常に厳しくなった日本。 「メディア良化委員会」の検閲権限は非常に強く「問題図書」を狩る際の銃火器の使用すら許されていて、 それに対抗するために図書館も「図書館隊」を創設して防衛する。 図書を巡っての戦争(と言ってもいいと思う)や陰謀が繰り広げられる。
…という空想世界が舞台のお話。 有川さんの作品は、『阪急電車』みたいな現実的な設定もいいけど、 個人的にはこういうゲテモノ(って本人も書いてた)な世界設定がやっぱり好きやわー。 (まだの人には『塩の街』『空の中』『海の底』からの『クジラの彼』の流れをオススメします)
でも、世界設定はゲテモノやけど、実は現実の日本の社会をデフォルメして、膨らましているだけ。 現実の日本でも、我々一般人は気付いてないんだけど、放送禁止用語って非常に多いらしい。 読んでびっくりしたんだけど、「床屋」とか「魚屋」って軽度の放送禁止用語なんやって。 「理髪店」とか「鮮魚店」て言わなあかんらしい。 床屋や魚屋のどこが問題なん?差別用語なんやっけ? 誰も何も意識せずに使ってるのに、わざわざ放送禁止用語に指定することで、 火のないところに煙を立ててるような気がしないでもないんやけど。 だから、この小説のような状況も、将来的にまったくありえない話でもないのです。 それをあえて(小説家という職業なのに)取り上げて問題にする有川さんの意識ってすごいなと思う。
とは言え、個性の立った魅力的な登場人物だとか、彼らが繰り広げる軽妙なやり取りだとか、 底に流れる淡い恋心(ラブストーリーとまでは言えないかな?)とかは、 他の有川作品と同じで、クスっと笑ったり、頭に来たり、じんわり来たり。 純粋に読み物として面白いです。
単行本では6巻まであるらしい。早く文庫にならんかなー。(基本的に文庫で読むタイプ)
・重松清『希望ヶ丘の人びと』(上・下) 病気で母親を亡くした一家が、母親が中学生の頃すごした希望ヶ丘に引っ越してくる、という出だし。
主人公は中年にさしかかったおじさん。中学生とか小学校高学年の子供がいたりする。 物語の最初にはみんなが自分なりの問題を抱えていて、読んでたら気分が重くなってしまう。 そして問題が一気に改善されることももちろん無く、みんながそれぞれにもがく。 でも最後には少し上向きになって、これから良くなって行くのかも…と思った頃に物語が終わる。 読者は余韻の中で、その後のハッピーエンドを想像して、勝手に幸せな気分になる。 …というのが重松作品に対する僕の捉え方なんだけど、この物語もまさに王道的作品でした。
重松作品は、主人公がすごくもなく、腹が据わってるわけでもなく、かっこよくもないところがいい。 普通の、本当にその辺りを歩いていそうな、会社で隣の席に座っていそうな人たちが主人公。 もしかしたら自分がそういう状況になったらそうしてしまうかも、と思ってしまう。 そういう人が、問題を抱えて、壁にぶつかって、悩んで、苦しんで、もがいて乗り越えようとする。 だから、ものすごく主人公に感情移入できるのです。 だから、ほとんどの作品のどこかで、ハンパなく泣いてしまいます。(笑) もちろん、今回も。 奥さんを亡くしたこともないし、子供もいないのに泣いてしまった。(笑)
泣いた後、気持ちよくなれる本だと思います。
・伊坂幸太郎『あるキング』 僕、伊坂作品は大好きです。 『ラッシュライフ』も『ゴールデンスランバー』も『魔王』も『砂漠』も『重力ピエロ』も『オーデュボンの祈り』も 『アヒルと鴨のコインロッカー』も『死神の精度』も『週末のフール』も『陽気なギャング』シリーズも… 数え上げたらキリがない。 物語の途中で張れるだけ張った伏線を、最後にきれいにまとめる力量はものすごいと思う。 最後に「そうきたかーーー!!!!」という、気持ちいいヤラレタ感が味わえる、稀有な作家さんです。
でも、この『あるキング』は面白くなかった。 この人は何が言いたくてこれを書いてるんだろう?って思いながら読み終えて、それでも理解できなくて、 あとがきを読んだら「書きたいように書いてみた」みたいなことを言っていた。 それでかーーー。
例えば写真展とか見に行ってもそうなんだけど、見る人のことを考えながら作った作品と、 自分の好き勝手に作った作品と、パッと見るだけでどちらかわかるんですよ。 もちろん、見る人のことを考えながら作った作品の方が僕は好き。 「こういうことを伝えたい」「だからそれが見る人に伝わりやすいように作ろう」 「これを見た人はどう思うだろう」 そういうことを意識しながら作ったものからは、それが伝わってくるんです。
逆に好き勝手に作った独りよがりな作品はおもしろくともなんともない。 作者本人と、たまたま作者に感性が近い人だけにしかわからない作品になってしまう。 そういう駄作(とあえて言い切る)が、アマチュアだけではなくプロの写真家の作品にも結構多い。
今回の『あるキング』は、伊坂さんほどの人でも好き勝手に書くとこんな駄作になってしまうのだ。 ということを教えてくれた。というのが唯一の収穫でした。 やっぱり、受け取る相手の視点・観点を意識しながら作るということは重要なんだなぁ… (その意識と、自分の感性とのバランスをどう取るのかは難しい問題だけど)
・『Story Seller』 これぞ「物語」のドリームチーム。日本のエンターテインメント界を代表する7人が、読み切り小説で競演!
…と裏書に書いてあったから買ったわけではない。 その7人の中に、伊坂幸太郎と有川浩が入っていたから買っただけ。 とりあえず7話中2話が「当たり」確実。あと1〜2話が良かったら本としても「当たり」だろうと。
個人的には短編より長編の方が好きなんです。 文庫本1冊分くらいが、僕の中でジャストな長さ。 短編だと、登場人物に感情移入し切れないか、感情移入し切った辺りで物語が終わってしまう。 ものすごい物足りなさを感じてしまうことが多々あります。
でも、この短編集は7話とも当たりやった。 さすがに「ドリームチーム」と言うだけのことはある。 ほんのわずかな行数で登場人物に感情移入して、1話1話満足感を覚えながら読み切りました。 「読み応えは長篇並、読みやすさは短篇並」って表紙に書いてあるんだけど、本当にそう。
個人的には、道尾秀介『光の箱』がものすごく良かった。 最初に読んだ『向日葵の咲かない夏』の印象が最悪で、他の作品を読む気も起こらなかったんだけど その悪い期待を完全に裏切られました。 他の長篇作品も読みたくなってしまった。^^
Story Sellerも3か4まで出てるはずなので、またボチボチ読んで行こうかと。
・浅田次郎『日輪の遺産』『壬生義士伝』(上・下) 浅田作品は、『蒼穹の昴』『中原の虹』シリーズや『シェエラザード』を読んでいたんだけど。 この2シリーズもYUKIさん・モモさんに勧められたので読んでみた。
『日輪の遺産』は終戦直前に隠された日本陸軍の財宝を巡る物語。 『壬生義士伝』は吉村貫一郎という地味な新撰組隊士(僕は知りませんでした)を巡る物語。
どちらも読み終わった感想は「すさまじい」の一言。 もちろんどちらも創作なんだけど、(吉村貫一郎という人は実際に新撰組にいたらしいが) 読み終わった後に我が身を振り返って「これじゃあいかん」「34にもなってなにしてんねん、おれは」と 背筋が伸びる思いがしました。
それ以上のことは書けません。 僕の文章力では表現できません。
壬生義士伝は電車の中で読み終えたんだけど、ボロボロ泣きました。(かっこわる…)
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