日々あんだら
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2011年06月23日(木) [モノ日記05]写真の先生(ミノルタSRT101)



ひさしぶりのモノ日記。
シリーズ第5弾にしてやっとカメラが出て来た。(笑)

ミノルタSRT101。
コンパクトデジカメから写真の世界に足を踏み入れた僕が、初めて買ったフィルムカメラである。
いろんなところで語り尽くしているんだけど、ここ3〜4年は全く語ってなかったので、
ひさしぶりにコイツについて語ってみようと思う。(ウザ。笑)


僕が自分のお金で初めてカメラを買ったのが26歳になる年の春先。
写真を始めようと思って、もうちょっといいカメラを買ったのはその年の秋。
どちらもミノルタのコンデジだった。

そして、僕が生まれて初めてフィルムカメラを買ったのが、その翌年の春。
このSRT101である。
まさかこんな金額では落とせないだろう…と冗談で4500円上限で入札していたら、
4250円で落札できた。(未だに値段を忘れられない。笑)
標準レンズのMCロッコール55mmF1.7が着いていた。



届いた小包を早速開けて、持って、シャッターを切ってみて驚いた。
でかい!
重い!!
うるさい!!!
それまで、軽量コンパクトでほとんど無音なコンデジしか使ったことがなかった僕にとって、
それはもう異次元の物体だった。(ちょっとおおげさ。笑)

そんな中、一つだけゾクゾクしたことがある。
それは、ファインダー。
他の一眼レフと比べて、けっして明るくて見やすいファインダーではない。
でも、それまでは被写界深度が深くてあまりボケないコンデジしか使ったことがなかったのだ。
一眼レフに明るいレンズを着けてファインダーを覗き、ピントリングを回していく。
今までボケて形もわからなかった物がフワっと浮き上がるように現れる。
その瞬間、大げさではなく鳥肌が立った。
このカメラが、まずはピントを合わせる感動を教えてくれた。

それから毎週末、このカメラを持って出かけた。
そんなに特別な場所に行ったわけではない。
近所の路地。畑の向こうに広がる雑木林。隣駅の公園。
あまりに重いので、遠くに持って行くのが大変だったし、
そのでかいサイズと音に、人前でこのカメラを取り出すのが最初は恥ずかしかったのだ。(笑)

でも、このカメラを使うたびに、僕は写真を覚えて行った。
自分の手でピントを合わせること。どこにピントを合わせるかということ。
絞りをどれだけ開いたら背景がボケて、どれだけ絞ったらくっきり写るのか。
絞りを1段絞るのと、シャッタースピードを1段遅くするのが等価であるということ。
フィルムによって写りが変わるということ。
レンズによって写りが変わるということ。
被写体や背景の色や明るさで、どれくらい露出補正をしないといけないのか。
ネガフィルムなら露出がどれくらいずれてもセーフなのか。
ポジフィルムならどれくらいずれただけでアウトなのか。
本当に(ズームレンズの使い方以外)写真の基本という基本は全部このカメラが教えてくれたのだ。
そして、写真を撮る楽しさも。

1966年製の一眼レフである。僕より10歳もおっさんである。
必要なものは全てついているけれど、余分なものは一切ついていない。
ピントも露出も、きちんと考えながら自分の手で合わさないとまともな写真が撮れない。
今のカメラみたいに、ピントも露出も色味も、全部助けてくれるような親切心などカケラもない。
本当に、厳しい先生みたいなカメラだった。

…って過去形で書いたけど、今でももちろん使っている。
このカメラはいろんなところに連れて行った。
思い出に残る写真をたくさん撮ってくれた。
一緒に崖(って言っても2mくらいだけど)から落ちて、僕の下敷きになったこともある。
トップカバーが凹んだけど、その後もなんの問題もなく写真を撮り続けることができた。
実はシャッターが万全ではなくて、シャッター音にいつも不協音が混じる。
その不協音の大きさで、その日の調子がわかる。(このカメラは日によって調子が違うのだ。笑)
以前、友達に修理をお願いして預けていたら、間違って違うSRT101が戻ってきたことがある。
その時も空シャッターを1回切った時に違和感を感じて、3回切った時に違うカメラだと確信できた。
不協音がない、綺麗すぎるシャッター音だったのだ。(笑)

そんな、もう「相棒」と呼んでもいいくらいのこのカメラだけど、どうしても許せない部分が1つだけあった。
それは、最初は感動したファインダー。
F1.2や1.4のより明るいレンズを使うようになると、このファインダーではピントが合わせられなくなった。
なので仕方なく、ファインダースクリーンをXDのアキュートマットに交換改造してもらった。
それでも見づらいのは見づらいんだけど、なんとか明るいレンズも使えるようになった。
(ミノルタのMCロッコール58mmF1.2、ホンマにええねん。あれが使えないと困る。^^;)


実は今、このカメラは実家の防湿庫の中に置いている。
現役引退して余生を過ごしているわけではない。
地元で、どうしても撮りたいテーマを見つけてしまったのだ。
そのテーマで撮りたい!って思った時に、SRT101で撮っている自分の姿が自然と脳裏に浮かんだのだ。
だから一足先に帰省させている。
このお盆から少しずつ撮って行こうと思っている。


何年かかるかわからないけど、いつかそのテーマの写真を発表できたらいいなぁ…。
(10年くらいかかってしまうかもしれんけど。^^;)


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