日々あんだら
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2011年06月16日(木) |
[モノ日記04]オンリーワンの筆記具(モンブラン220) |
万年筆って、中学生だか高校生だかの頃に少し使っていたことがあって、 その時のイメージは「使いづらい水性ペン」。 すぐに使うのをやめてしまった。 でも、会社で数年前から一緒に仕事をしている人が、いつも万年筆を使っていて、 その様子が妙にかっこ良いのだ。 ちょっと万年筆が気になりだした。
ということを、去年の3月頃だったか、実家に帰った時にお茶を飲みながら誰とはなしに言っていたら、 「万年筆やったら昔使ってたんがあるで」とオカンが言い出した。 そして、どこからともなく引っ張り出してきた古い万年筆が2本。 少し迷って、僕はより汚くて軸に何かがこびりついて固まった跡のある方を選んだ。 こちらの方がインク吸い込み式で、もう1本がカートリッジ式だったという理由で。 …インクを吸い込むという行為がかっこいいと思ってしまったのだ。(←そして今でも思っている。笑)
そんなわけで、万年筆メーカーの名前もよくわからないまま選んだモンブラン。 今なら知ってるが、万年筆のTOPブランドである。カメラならライカみたいなもん。 とは言え、コイツは220という廉価版。ヤフオクだと5000円くらいで手に入る。(笑) しかも後でネットで調べてみたら、「モンブラン暗黒時代の70年代製」とまで書かれていた。(笑) ま、自分で気に入ってるからいいし、逆に気楽に使えるってもんですけどね。 (いきなり10万とか20万とか言われたら緊張して使われへんんわ。^^;)
で、使い始めてみると、やっぱり「使いづらい水性ペン」だった。 僕は筆圧が強いので、すぐにペン先がたわむ。 すらすら書けずに、ノートに引っかかるような感じでちょっとイラっとする。 質の悪い紙だとにじむし、修正ペンの上からは書けない。 落としたらもちろん、ペン先を下にしてカバンに入れると、持ち運んでるだけでインク漏れすることもある。 ああ、イラっとする。^^;
しかも、軸に目ではわからないくらいの穴が開いていたらしく、そこからインク漏れして手が汚れる!! 軸に何かがこびりついているように見えたのは、昔漏れたインクやったんか!!オカン、言えよ!!!
…と怒っても仕方ないので、モンブランのショップに修理に持って行った。 でも、古すぎて部品が無いと言う。 「部品交換じゃなくても、この穴をふさいで欲しいだけなんですよ。不恰好でもいいから」とお願いしても 「できません」 「なんとかならないんですか?」 「本国(ドイツ)に送りましたら、金型から新しく同じ部品を作ることも可能です」 「どれくらいかかります?」 「納期は半年くらいです。金額はお調べしないとわかりませんが、数十万円程度かと思います」 アホか。真面目な営業スマイルで言うな。
ということで、自分で色々試行錯誤し、ボンドメーカーにまで電話して教えてもらった結果、 内側からも綺麗に洗って完全に乾かした後、お風呂用のボンドで穴を埋め、 その上からアロンアルファでコーティングし、1日置いて完全に固まったらサンドペーパーで磨く、 という手段を発見した。 モンブランの店員さんより、ボンドメーカーのお客様相談室の方の方が親身でした。 ありがとうございました。^^
そうやって、めっちゃ不恰好ながらなんとか穴をふさぐことに成功。 でも、あれから1年以上たつけど、まだ一度もここからはインク漏れしてない! 万一漏れても、もう1回同じようにふさげばいいのだ。^^ 自分で補修したことで、さらに愛着が湧いてきた気がする。
そうやって、使いづらいのを我慢して使い続けた。 親にもらったとか、自分で補修して愛着を持っているというのもあるけど、 一番大きな理由は「万年筆を使ってるおれ、かっこいい♪」という思い違いである。(笑) でも、半年くらい経った頃だろうか、いつの間にかスラスラ書けるようになっていることに気付いた。 なにこれ!?ものっそ書き易いんですけど!?
よーーーく見たら、ペン先に妙な角度がついている。 書き続けることで、ペン先が僕の書く時の角度に磨り減っていて、それで書きやすくなっていたのだ。 そう、万年筆とは、使い続けることで持ち主のクセに合わせて変化し、その人だけのモノになっていく、 恐らく唯一の筆記具だったのである!こういうの大好き!!!!!ヽ(´▽`)/ (そして万年筆で書く時には筆圧をかける必要はないのだということもわかってきた)
そんなわけで、今や仕事もプライベートも、9割方この万年筆で書いている。 会議中のノートも、電話を受けた時の伝言メモも、上司に回す決済書類も全部こいつである。 写真を撮ったフィルムのデータを手帳にメモするのも、友達に手紙を書くのもこいつである。 インクは、最初は一緒にもらったモンブランのブラックを使っていたけど、 白いノートに書くとコントラストが強すぎる気がして、ブルーブラックのインクを使っている。
ぶっちゃけ、インクフローは悪い。
インクフローが良い万年筆を好きな人が多いみたいで、僕の書いた字を見た某万年筆好きの人から 「ペン先の調整に出したらインクフローは良くなるよ」とアドバイスしてもらったこともある。 でも、幸か不幸か、コイツのこのインクフローで万年筆デビューして1年以上過ごしてしまったのだ。 このかすれというか、濃淡が出るのが万年筆!と刷り込まれてしまったのだ。 インクフローのいい万年筆を使うといつも「…水性ボールペンと変わらへんやん」って思ってしまう。^^;
さて、この万年筆、いつまで使えるだろう。 70年代モンブランの宿命として、各部品の耐久性は低いらしい。 それを聞いて、部品取り用に同じのを1本ヤフオクで落札したんだけど。(笑)
できれば、会社を定年退職するまで使いたい。 妙な濃淡のある、ブルーブラックの字を見るだけで「ああ、hideのメモだ」とわかってもらえるようになったら 密かに嬉しい。(笑) 他の万年筆に興味が湧いた時期もあったし、これよりもっといい万年筆があるのもわかっている。 でも僕は多分、万年筆が好きなのでも、モンブランが好きなのでも、220が好きなのでもないのだ。
この1本が好きなだけなのだと思う。
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