甘えた関係

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2002年12月29日(日)
おとつひも昨日もけふも見つれども 明日さへみまく欲しき君かも

あたしにとってとても大切な人間であったその人は、知り合った時点で、そのうち病気で死ぬということがわかっていた。
そもそも、病院で知り合いなんてつくるべきなんかじゃなかったのかもしれない。
人間としてとてもお気に入りで、打ちのされるように思っていた。
誰かに屈服をするということが、こんなに気持ちいいだなんて。
高校2年生だったあたしは、そんなことただはじめてで、病気のことは本人から知らされていて、いずれ死ぬということはわかっていたけれど、その死ぬ日まで、その人を味わっていたいと思っていた。
貫徹をしたいと。
これはあたしにとって必要なもの、そう意識してまでいた。
出来得るだけこの人を吸収したい。
幸い、あたしは受け入れられた。
学校の帰りに訪れて、休日に訪れて、病室で本を読んだり、眠ったり、時にはチョコミントのアイスを二人で分けて食べて、検査にはついていけるところまでついていって目があったら手を振ってピース、許可が得れる範囲で好きなよーに過ごして、一緒にいた。
病室で日記をつけていた。
交換日記じゃなくて、二人とも、独自の日記を。
その日起きたことを、とつとつと記した日記。
そう、あたしだけ続けていてどうするんだろう、自問自答して「何か」欲しくてウェブにあげてみた、初期のこの日記の、形態そのもののもの。
その人はベッドに座って机にノートを置いて書いて、あたしは床にヒザコゾウ立ちをして下敷きを敷いてベッドの上で書いて、ふと目線をあげると覗かれていたりした。
書き終えたあとのあたしの両方のヒザコゾウは、いつも赤くなっていて。
書いたあとには互いに見せあった。
日記のなかに自分が登場していると、うれしかった。
その個所だけ、何度も読んだ。

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