2023年12月23日(土) |
秘密基地の思い出 |
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まだ小学校高学年か中学生の頃、お盆休みにオレは母の郷里である鹿児島県の坊津に帰省していた。海で泳いだり、地元の子どもたちと仲良しになって遊んだりした。その時に海に不思議な地形があることに気がついていたのである。崖に開いた小さな洞窟のような穴に潜り込むと、4〜5mくらい進んだところで急に広くなる。空を望める円形の広場になっていて、足下には白い砂が一面に広がっていたのである。周囲はほぼ垂直に高い円形の壁のようになっていて登るのは無理だった。潮が引いて洞窟の入り口が出てくるときにだけ入って行ける秘密の場所だったのだ。潮が満ちると洞窟の入り口も水面下になってしまうのだ。
その地形がいったいどうしてできたのかは謎である。もしかしたらそこは戦時中に投下された爆弾のためにできた穴だったのだろうか。爆発で陥没した丸い穴ぼこがそこにできて、海とつながった部分から海水が入り込んで、穴の底に砂が堆積したから足下にたまったのではないかと今にして思うのである。あるいは隕石孔だったのかも知れない。ブラタモリなどで取り上げてもらえればきっと成立の謎がわかるだろう。そして地域の人にも知られてないかも知れないのだ。自分がその場所を知ったのは好奇心旺盛な子どもだったからであり。普通の子どもたちは得体の知れない洞窟には足を踏み入れないだろう。
あんな真円に近いまん丸の穴は自然にはできないだろう。そして壁がほぼ垂直だったのも謎である。茶筒のような形で切り取られた穴の底の方にだけ砂があって、そこには水が来ている。穴の直径は6〜7mはあったと思うのである。
そんな秘密の場所はもしかしたら地元の少年少女には逢い引きの場所になったのかも知れない。自分にとっては帰省した時にだけ行くことができる場所だったが、そこで育った人ならきっと覚えているはずだし、もしもそれが戦時中にできたものならば、きっと何か記録が残ってるだろう。
そんなことを思いつつ、なんとなくGoogleマップの航空写真などを拡大して確かめようとしたが見つけられなかった。もしかしたら開発されてもう破壊されてしまったのかも知れない。あるいはそこは小さすぎてわからないのかも知れない。結局のところ地図上で見つけることはできなかったのである。
『風の谷のナウシカ』で、腐海の底に落ち込んだナウシカが不思議な清浄な世界に迷い込む場面がある。自分がそこで感じたの、今思えばそれに近い感覚なのである。オレはそこで、まるで異空間に迷い込んだような気分になったのだ。だからこそ印象深く思えているのである。
もうその場所はそこに存在しないかも知れないし、開発されてそのあたりの地形もすっかり変わってるかも知れない。しかし、オレは「なんであんな円筒形の孔が存在したのだろうか」という謎が解きたい。どうやってあんな地形が生まれたのかを知りたいのである。もう一度行って確認できれば、つまりまだその孔がそこに存在するなら謎は解き明かせるような気がするのだ。
鹿児島県の坊津町というとはるかに遠い。この記事を読んだその近くに住む人が今の状況を教えてはくれないだろうか。坊津に住む地学の先生がいればすでにその場所はご存じだろうか。生きてるうちに確かめに行くべきなのだろうか。
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