オレはかき氷が好きだ。とてつもなく好きだ。だから夏になると必ず何度となくかき氷を食べる。その中でもイチオシが下鴨神社の境内にある「さるや」という茶店のかき氷である。ここのかき氷は「氷室の氷」と呼ばれる天然氷を使ったかき氷が名物で、その硬い氷を限界まで薄く削って提供するので、口に入れた瞬間にスッと溶ける。氷のざらっとした感触が舌に残らない、そんな贅沢なかき氷だったのである。
ところがどうやら今年夏から、下鴨神社はその「氷室(ひむろ)の氷」の提供をやめてしまったようである。最近行った方から「普通の氷になった」という声を聞いてオレは愕然としたのである。しかも値段が800円から1000円に値上げされてるという。品質を落とした上に値上げするという飲食店に於ける最悪手をよりによって「さるや」はやらかしてしまったのである。
かき氷を食べると頭痛がするという人がいる。それは安物の氷を使うからであり、天然氷の場合はそういうことにはならない。そういう意味でもこの「さるや」のかき氷はわずか800円で天然氷のかき氷が贅沢に楽しめるという希有の存在だったのである。ところがそれが失われてしまったのだ。誰が悪いのか・・・・
観光客が増えれば、硬さ故に削るときに手間が掛かり、しかも原価も高い天然氷を提供していると追いつかなくなるだろう。そのあたりは理解できる。しかし、そんなものは値上げさえすればすむことである。値上げした上で質を落とすとはどういうことか。そんなものはひいきにしてくれた客に対する裏切りではないのか。オレはものすごく腹が立ったのである。茶店の主人に直接抗議したいくらいなのである。ちゃんと店頭に掲示して「氷の質を落としてすみません」とお詫びすべきじゃないのか。
もちろんそんな違いは普通の人にはわからない。オレのような「かき氷評論家」だからこそ氷の微妙な違いについて言及できるのである。「溶けてしまえばすべて水」と考えている連中の頭の中では、通常運転の原発処理水に含まれるトリチウムも、メルトダウンした福島原発の汚染処理水に含まれるトリチウムも同じ化学式「HTO(水素+三重水素+酸素)」なのである。まあ言ってみれば南アルプスの天然水と、下水を濾過して作った水を「どっちもH2Oだ!」と称しているようなものである。
真においしいかき氷はどこに行けば食べられるのだろうか。オレは大切なお気に入りの店を失った悲しみとともに、新たなお店を開拓しないといけないという強い使命感を感じるのであった。もしも「おいしい天然氷のかき氷」を食べさせてくれる隠れた名店があればぜひおれに情報提供してもらいたいのである。
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