2022年05月06日(金) |
ああ生野高校・・・ |
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オレは大阪府立生野高校の卒業生である。その生野高校の同窓会の会報が送られてきた。そこに記載されていた進学実績を見てオレは愕然としたのである。どうしてこんなに没落してしまったのかと。
京都大学の合格者が5名なんだが、そのうち現役はなんと1名しかいない。あとの4名は浪人なのである。つまり今の生野高校は、一学年9クラス360人のうち、たった一人しか現役で京都大学に入れないという情けない状況に陥ってしまったのである。もうそんな学校は「進学校」とは呼べないレベルである。
どうしてこんなことになってしまったのかというと、大阪府教育委員会の人事異動の方針が決定的に間違っていたからであり、橋下徹が知事になった時に出した学区制度撤廃というとんでもない方針によって「北野高校(橋下の出身校)以外はすべて滅ぼす」ということが実現したからである。教育の機会均等など吹っ飛んでしまい、貧困家庭の子弟であっても本人が努力すれば難関大学に入れるというかつてのオレが高校生だった頃の状況はもうとっくに消滅してしまったのである。
大阪府立の高校から京都大学を目指すためには、まず京都大学に多くの合格者を出している北野高校や天王寺高校に入学しないといけない。かつてはそういう高校が10校近く存在した。しかし今は2校しかないのである。その2校に入るためには小学校、中学校で学習塾に通わないといけない。また内申書が入試に影響するために5教科以外の技術家庭や音楽、美術、体育などもある程度の成績を取らないといけない。これがどれほど高いハードルかわかるだろうか。大阪府という人口の多い地域の中でどうしてそういう高校がたった2つしかないのか。これがどれだけ理不尽なことかわかって欲しいのである。
もう一つは人事異動である。かつての府立高校にはその高校で長年教えているという名物教師がいた。オレの在学時の生野高校には教師生活半世紀、つまり50年以上教えてるという英語教師がいたのである。もうレジェンドである。神である。そういう伝説的な人によって学校の伝統は守られてきたのである。愛校心にあふれ、その人格が学校を体現してるようなそんな先生がいて、その先生を慕う生徒たちがいたのだ。今の府立高校にはそんなものはない。10年経てば教員が全員入れ替わるようなひどい人事異動の仕組みを作って伝統校の文化を完全に破壊したのは大阪府教育委員会である。橋下と府教委、この両者によって大阪府立の高校がそれぞれに持っていた伝統や文化は完全に破壊されたのである。
高校なんかは人生にとってただの通過点かも知れない。しかしオレは今でも高校時代の友人とつながってるし、その時に得た友人というのは得難いものだと思っている。自分が京都大学に現役で進学できたのは、高校で出会った恩師のおかげである。その出会いがなかったらオレは京都大学を目指そうとは思わなかっただろうし、今の職業に就くこともなかっただろう。劣等生だったオレに担当の国語だけではなく英語も教えてくれた恩師は還暦を前にして亡くなってしまった。人生で最もお世話になった恩師にオレは何一つそのお礼を伝えられないままだったことが人生最大の悔いなのだ。恩師の通夜の日にオレはそのことが悔しくて泣いた。
伝統ある学校がなくなることは、その学校につながる多くの人たちにとって悲しみでしかない。大阪市立大学と府立大学を単なる政治的パフォーマンスが目的で安易に統合してしまった連中にはオレの抱く悲しみなど永久に理解できないだろう。
大阪を破壊しまくってる張本人である吉村洋文という男が、オレと同じ生野高校の卒業生であるという事実がオレは断じて許せないのである。あいつを同窓生名簿から除名してもらいたいのである。ほんまに腹が立つのである。
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