2021年08月24日(火) |
特別就労対策事業 |
携帯用URL
| |
|
東京や大阪という大都市ではホームレス対策が行政にとって大切な仕事となる。オレはどちらかというと行政はその居場所をどんどん奪って弾圧、迫害するものだと思っていた。大阪城公園からホームレスが排除されたことなどもそうだし、公園のベンチに仕切り板が設置されて横になれないこともそうである。
しかし、東京都には日雇い仕事を手配してくれる「特別就労対策事業」というものが存在する。2018年にこの制度を悪用して働かずに都からの報酬を得る悪徳事業者が報道されたことでかなり誤解されたこともあったが、実際は公園の清掃などの地味な作業にまじめに取り組んで一日当たり8000円程度の手当てを受給できるというもので、固定収入のないホームレスにとっては月に3,4回そうした仕事があるというのはとても貴重なことだった。
「働かないでお金だけもらうわけにはいかない」
と考えているホームレスの方はたくさんいるのである。だからそうした事業には意味があるのだ。生活保護を受給させるためにヤクザが絡んだ無料簡易宿泊所に囲い込まれて貧困ビジネスの食い物にされている人がたくさんいる中で、ちゃんと働いて生活したいと思ってる人の存在に目を止めるべきである。
ところが東京都は「熱中症対策」と称してこの「特別就労対策事業」を8月になって突如休止したのである。その収入を当てにしていた人たちにとっては大打撃である。そこに投入されるわずかな資金によってどれだけ多くの人が救われていたか都の担当者はわかっていたのだろうか。
亡くなったオレの父は80を過ぎて運転免許も返納してから「公園の掃除でもなんでも仕事があればまだ体が動くしするんやけどなあ」と語っていた。何もしないで過ごすというのが本人としては納得いかなかったのである。働く意志を持った人に働く機会と場所を与えるというのはとても大切なことだ。そして収入の少ない人にとってはそれは本当に大事なのである。
東京都が一方的に事業を休止したことによって、わずかな収入を奪われた人たちは生活費をねん出するためにとても困窮した。どうしてそこで「その収入がないと困る」人たちのことを考えなかったのだろうか。熱中症にならないような仕事の仕方を工夫しなかったのだろうか。思いやりの気持ちがなかったのだろうかと思うのだ。
オレの父は生前よく言っていた。「景気を良くするには一番下にカネを回せばいい。すぐに使うからどんどん循環する」貧しい人たちが潤うことによってお金はどんどんいろんな人の手に渡り、社会を循環するのである。ところが金融緩和の効果というものは一部の資産家にしか反映しないのである。
大阪のホームレスは減った。昔はホームレスが大勢いた場所、段ボールハウスが並んでいた場所も何もなくなってきれいになってしまった。そこで暮らしていた彼らはいったいどこに行ったのだろうか。今はどうしてるのだろうかとオレは気になるのだ。
日々の安定した暮らしが突如奪われたとき人はどうすればいいのか。自然災害で突然家や職場を失うということは誰にでも起きる。今困ってる人たちに手を差し伸べることは、将来の自分を守ることにもつながるのである。
←1位を目指しています。
前の日記 後の日記