2021年07月07日(水) |
誰が土石流を起こしたか? |
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熱海で発生した大規模土石流の原因は、上流部にあった盛り土の土が雨で重くなって流出したことだと報道されている。崖から激しく水が噴き出してる映像は何度も流れたので、そこに存在した水の流れを上から埋め立てることで切断し、その行き場を失った水が盛り土の中に貯まって雨水や土砂と一緒に流れ落ちたということなんだろう。
崩落現場周辺の国土地理院の地形図を見ると、崩れた部分のさらに上部の尾根筋にS字状に蛇行した道路が存在するのがわかる。このあたりは実際はどんな状況なのだろうか。そこよりも上の方に降った雨水は全部下流に流れていくわけで、近隣に存在するメガソーラー施設も地下水の流れや地表上の水の流れになんらかの影響をもたらしたような気がする。そのあたりはいずれ発表されるだろう。
道路建設ががけ崩れの要因となるということは、たとえばオレが大学生の時に自転車で不法に突破(自転車は通行禁止だった)したことのある南アルプススーパー林道とかの例で顕著である。あの道路は崖を削ってその残土を谷に捨てるというむちゃくちゃな作り方をしていて、結果的に毎年のように崩落した。そのたびに修復しないといけないわけでゼニはかかるし自然はぶち壊すしどうしようもない道路だった。もう長いこと現地に入ってないのでわからないのだが、道路は今も存続してるようである。今は道路上下の法面はどんな状況になってるのだろうか。
道路建設のために樹木の伐採が行われ、その上下の斜面が大規模に表土をはぎ取られた状態になる。そこに雨が降れば大量の雨水が地中に吸い込まれずにそのまま表面を標高の低い方へ流れて行くことになる。道路上も川のように水の通り道になるだろう。その道路の途中に湾曲した部分があれば、そこまで流れてきた水は道路を離れてより低い方向に流れていく。崩落現場の上部に存在した道路は、そこまで大量の雨水を運んでくるという役割を果たしたのではないだろうか。オレにはそんなふうに見えるのである。
盛り土の中に大量の不法投棄の産業廃棄物が存在したのかどうか。映像で流れた真っ黒な土石流の中にそうした固形物の痕跡はみられなかった。どの程度の廃棄物があったのかはわからないが、あの土石流の異様なまでの黒さは印象に残っている。どうしてあんなふうに真っ黒になるのだろうか。通常ならもっと茶色い泥水ではないのか。流れた泥の成分分析と、その泥がどこから持ち込まれた土砂によるものなのか。そういう調査はもうすでに行われているだろう。
今回の土石流は明らかに人災である。熱海市は不法投棄の状況を知りながらそれをストップさせなかった不作為の罪があるし、静岡県は周辺の無秩序な開発を認めたという責任があるだろう。賠償金額がどれほど大きなものになるのかオレには想像もつかないが、おそらく現場周辺は谷の幅を拡大するしかないし、家を失った人には代替地を与えて解決してもらって現場での再建はあきらめてもらうしかない。
土石流は最後に新幹線の高架下を潜り抜けた。もしももっとそこに流れる量が多かったら、そして新幹線が通過するタイミングだったら、走行中の列車が押し流されるという大惨事が起きていたのかも知れない。災害とは常に最大の被害を予測して対処しないといけないものである。熱海市や静岡県が今後すべきことは、県内でのメガソーラーの設置状況や、過度に山林を伐採しているような現場の視察、そして指導である。もちろんこれは静岡県に限らないのだが。
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