2021年04月03日(土) |
埼玉に帰りたかった少年 |
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4月1日午後8時40分頃、東京都北区のJR宇都宮線の線路上で、10歳くらいの男の子が電車にはねられて死亡するという事故があった。10歳なら線路の上が危険なことくらいわかるだろう。どうしてそこを歩いていたのか。彼はどこに行きたかったのだろうか。
亡くなったのは千葉県市原市に住む小学5年の林武志くんということだった。午後6時半ころに自宅を出たまま帰宅せず、家族が探し回っているちょうどその時に、武志君は電車にはねられていたのである。
武志くんの一家は事故の前日に埼玉県から千葉県に引っ越していた。武志くんは家族に「引っ越したくなかった」という話をしていたという。10歳の少年にとって、友人たちと別れて別の土地で新しい生活をスタートすることは大きなストレスだっただろう。このようなことになる前になんとかならなかったのかとオレはやりきれない気持ちになるのである。
10歳の武志くんは自分なりに考えた方法で埼玉に行こうとした。現金を4千円ほど所持していたということだから、それを電車賃で使い切ってしまうとまずいと思って歩いて行こうとしたのかも知れない。道はわからなくても、線路伝いに行けば埼玉へ行けると思っていたのだろう。それで線路を歩いていたのだとしたら、電車が来たときにはうまくよけるつもりでいただろう。
武志くんはどんな思いを埼玉に残してきたのだろうか。離れ離れになってしまうお友達に、ちゃんと別れの挨拶をしたかったのだろうか。どうしても離れたくない大切なお友達がいたのだろうか。10歳の頃の自分はどんなことをふだん思っていただろうか。
亡くなった武志くんが最後に考えていたのはどんなことだったのだろうか。そしてこんな形で突然わが子を失った武志くんの御両親の悲しみはどれほど大きいことか。それをオレは思うのである。
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