NHKの番組『逆転人生』で大阪府立西成高校のことが紹介されていた。教育困難校が「反貧困教育」を通じて生徒に学ぶ意欲を与え、就職率100%を達成する感動的な実話だった。生徒の家を家庭訪問し、学校に来られない理由を一緒になって考えて解決し、親に捨てられた子どものために行政と掛け合って生活保護の受給を認めさせて退学せずに学べるようにするというあたりは本当に素晴らしい取り組みだと思った。
何かを達成したからといってそれで特別にボーナスが出るわけでもない、橋下徹のせいでボーナスはカットされている。給料も減らされたわけで大阪の公務員はそれほど待遇的に恵まれているとも言えない。そんな中で働く大阪の公立高校の先生が、ここまで献身的に生徒のために働いていることをどうして知事は称賛しないのか。
オレは吉村知事のツイッターのアカウントをフォローしている。吉村はこの日本中に発信しないといけない西成高校の奇跡の取り組みに関して、全く無関心だった。何も発言しなかったのである。自分をdisる発言にはすぐに噛みつくくせに、大阪の価値を高めるこの番組のことに関しては何も触れなかったのだ。理由は簡単である。吉村は心の中できっと「西成のセンコー、余計なことしやがって」と思っていたからである。そんなふうに教育困難校が次々と再生していけば、維新のこれからの重要なシノギである「学校をつぶして土地を売り飛ばす」というビジネスモデルが成立しないからである。教育困難校をどんどんぶっつぶすことがおそらく維新の政策だからだ。
番組の中ではシングルマザーになった高校2年の女子生徒が出てくる。子育てと学業を両立することはどれほど困難なことだろうか。西成高校の教師たちは彼女をちゃんと卒業させ、就職を紹介して自立できるように支援したのである。女子高生が妊娠したら中絶させるか退学させるというのが今の高校のスタンダードな対応だ。そうして中退で放り出された女性はその後どうやって生活を築いていけばいいのか。
こんなすばらしい取り組みがあるのに、維新の会はそれを「維新の会の実績」という形では紹介していない。確かに維新の会は何もしていないし、どちらかというと足を引っ張りそうだ。だから勝手に実績にされても困るのである。ただ、この学校再生は少なくとも維新府政の中で起きたことである。維新のやった民間人校長とかの、パワハラ教育長の登用とかとは無関係に現場の先生方の努力で実現したことである。自分たちとは無関係な前市長の業績まで「維新の業績」とデマをばらまく連中が、明らかに維新府政の時代に起きたことなのにこの西成高校の実例を紹介しないのは、オレの憶測通りにこれが維新の会にとって都合が悪いことだからである。
若者は賢くならないといけない。きちんと投票して自分たちのために働く政治家を選ばないといけない。「やってる感」しか出さないペテン師を見抜き、自分たちを搾取することしか考えてないクソどもを政治の世界から追放しないといけない。西成高校はそうした「生きる力」を生徒に与えてる点で実に素晴らしい。同じ教師でもオレのようなただの罵倒野郎とは違うと思ったのである。オレは恥じ入ったのである。
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