2020年06月14日(日) |
「微用工」とは何か? |
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韓国で日本企業の資産が差し押さえられたりしている「徴用工問題」だが、なんとこの「徴用工」という文字の「徴」の部分を「微」と間違えて、「微用工」と書いてる人が多数いたのである。なんでそんな馬鹿が発生するのだろうか。これは漢字間違いとかよりもずっと以前の、無教養そのものという馬鹿な間違いである。
なぜこのようなことが起きるのだろうか。オレはその違いを考えてみた。
まず思いつくのは「徴」と「微」が違う文字であるということに気が付いていないということである。この二つの文字は音読みも訓読みも違う。だから入力ミスや誤変換によってこの間違いが発生するということはありえないわけで、そうなるとやはり「微用工」と書く人は最初から「微」という文字を書くつもりでいるのである。
韓国では漢字文化がすでに失われている。日本語の「ひらがな」にあたる表音文字のハングルしか読めなくなっているので、大学生でありながら「大韓民国」という漢字も書けない人がいるということを聞いたことがある。だから、韓国語を母語としていて漢字の区別がうまくできない人が最初に間違えて書いたということが考えられる。
もちろんそれを見た人が「漢字の間違い」を指摘してあげれば済むことである。ところがネット上には「微」の漢字を間違って用いた「微用工」という文字が検索で多数ヒットする。ヤフー知恵袋でも「微用工」という文字を使って質問している人がいて、その質問に答える方が「微」じゃなくて「徴」ですよと最初に指摘するのではなく、そのまま漢字の間違いはスルーして答えているのである。
「ちょうようこう」という読みを入力すれば、変換候補に「徴用工」と正しく出るわけで、決して「微用工」とは出ない。だから「微用工」という間違えた漢字を使ってる人は入力時に「ちょうようこう」から変換するのではなく、どこかにある「微用工」という間違った文字をコピー&ペーストして書いているとしか考えられないのである。
ツイッター上で漢字の間違いを指摘されたある有名人が「誰にでも漢字の間違いはある」と言い訳していて、もちろん私も漢字の間違いをすることがあるからそこは同意する。しかし私の犯す間違いというのはたいてい誤変換に気づかないことに由来するものである。うっかり見落としている時に起きるのだ。ただ、「微用工」という間違いは、決して誤変換では発生しない。その間違いは「文字の違いを知らない」という無知ゆえの間違いであり、教養のなさであり、ようするに「馬鹿」ということである。だから恥ずかしいことこの上ないのである。
ネット上でオレは「盆雑」という謎の言葉を見たことがある。文脈から考えてその人はおそらく「煩雑」と言いたいのかも知れない。しかし「煩雑」が「はんざつ」であることを知らないその無知な人は、「煩雑」を「ぼんざつ」と読んでしまい、次に入力するときに「ぼんざつ」と入れたら「盆雑」と変換されたのでそのまま気づかずに使ってるということが考えられる。それにしても漢字を知らないというのは情けないことである。
ことばとは変化していくものだ。誤用もいつのまにかみんなが使うようになって許容されてしまう可能性もある。だから今回の「微用工」ももしかしたら将来は定着するかも知れないのである。漢字の意味から見れば完全アウトなんだが。
誤変換というミスと、馬鹿だから知らないということは本質的に違うことである。言葉を知らないという無教養なことはやはり恥じるべきことであるとオレは思うのである。太田道灌は民家で蓑を借りようとして、山吹の花を差し出されて怒った。しかしのちに彼はその意味を知る。それはこの和歌のことだった。
七重八重花は咲けども山吹のみのひとつだになきぞかなしき
実はその「山吹の花を差し出す」という行為は「蓑がないから貸せない」という意味だったのだ。太田道灌は自らの無知を恥じて、その後和歌を懸命に学んだという。
知らないことは確かに恥ずかしいことである。しかし、無知を正当化したりごまかすことはもっと恥ずかしいことである。世の中にはそんな人間が実に多いのだ。情けない話である。
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