2020年05月14日(木) |
地球にやさしい自然破壊 |
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日本では原料にパーム油を使ったせっけんや化粧品などが大量に消費されていて、それらの商品には「環境にやさしい」「地球にやさしい」などという説明がついてることが多いのだが、そもそもパーム油の原料を取るために栽培されるアブラヤシを植林するために、インドネシアやマレーシアで大規模に熱帯雨林が伐採されていることをどれだけの日本人が知ってるのだろうか。オレはその欺瞞に気づいてから、パーム油を主原料にするものを避けることにしている。自分が環境破壊に手を貸したくないからだ。
そのパーム油を燃やして発電するという施設がなんと舞鶴市に計画されているらしい。再生可能エネルギーの開発や投資を行うカナダの会社からの投資を受けた「舞鶴グリーン・イニシアティブ合同会社」(舞鶴市)がパーム油火力発電所を建てる計画が昨年8月に報道された。出力は66メガワットで一般家庭12万世帯分の電力にあたり、着工予定は2020年6月、2022年11月から稼働、年間12万トンのパーム油を燃料として使用するということである。
1年間に世界で生産される植物油は約2億トンで、そのうちアブラヤシの実からとれるパーム油の生産は1/3程度を占める。その世界生産量のうちの85%がマレーシアとインドネシアの2国が占めていて、日本は一年間に80万トン弱を輸入しているのである。そのうち8割が食用、2割が工業用として使われている。化粧品やせっけんは「環境にやさしい」ということで売られているのである。それだけ大量のアブラヤシを栽培するためにどれだけの面積が必要なのだろうか。絶対に地球環境を破壊しまくっているはずである。もっとも農産物を輸出することで外貨を稼がないといけないという大義名分が輸出国にはあるわけで、環境保護というのは先進国のエゴであることもオレは理解している。アマゾンの熱帯雨林がどんどん伐採されて農場になってる問題でブラジル政府を批判する資格は先進国の人間にはない。
パーム油などの植物油を原料にした発電をビジネスにしている企業もある。「バイオマス発電」という言葉を聞いたことがある人は多く、その事業が新聞などで報道されていたり、テレビ番組で取り上げられたりしてる。ただ、そうした原料となる植物油の中で、オリーブ油などと違ってパーム油は圧倒的に安いのである。その理由は簡単である。生産国の賃金レベルが低かったり、土地を手に入れるコストが安かったりするからで、国家が政策として住民を追い出したりして広大な農場を建設しているからである。
実際に稼働しているパーム油発電所が福知山市にあるらしい。福知山市のその三恵発電所の周辺には、稼働停止を求める住民の抗議がたくさん掲示されているそうである。
2017年2月に行われた稼働前の住民説明会の時に事業者である三恵観光(株)は「防音壁の設置で社屋外での騒音は50デシベル以下に抑える。臭いも植物油特有の軽く甘い匂いであり問題にならない」と説明したそうである。ところが発電所が稼働し始めると悪臭と騒音が24時間続くようになったということである。それが事実ならば、この「パーム油発電」というのは大変危険で厄介なものだということになる。
舞鶴市の住民もそれを知って建設反対の声を上げたのだが、市長は建設を強行しようとしているらしい。オレはこの背後にはなんらかの利権の存在を感じるのだ。高浜町の助役として君臨したジジイが関西電力の関係者にゼニを配って飼いならしていた問題があったじゃないか。規模はずっと小さくても、同様のうさんくさい何かが背後にありそうな気がしてならないのである。
ドイツは国内の原発を停止したが、その代わり周辺国の石炭火力発電所で作られた電気を購入している。これはただ環境破壊を輸出しただけのことである。日本人がパーム油を大量消費するのもまた同様だ。国内の環境を守るためには熱帯雨林がいくら破壊されてもいいという行動なのである。
地球がどんどん滅びていく方向にあるのは間違いないし、今の新型コロナウイルスの問題が終息しても、どうせ核兵器の使用で人類は将来間違いなく自滅するとオレは思っている。こんなところでパーム油の使用に関して問題提起したところで無意味なのかも知れない。ただ、目の前で起きていることを無視できないから発言するのである。そして舞鶴市長がどうしてこの計画を推進するのか。オレはその理由が知りたいのである。
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