2020年03月18日(水) |
江草乗、トイレに死す |
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食事中の人はここから先を読まないでください。
もしもオレがそのまま死んでいたら、このタイトルのような見出しがつけられたのかも知れない。オレはトイレの個室の中で、一瞬死を覚悟したほどの強烈な痛みに襲われたのである。
仕事中にその強い腹痛はやってきた。オレは一年前に「虚血性大腸炎」という診断を受けていたので、またそれだろうかと思いつつ、とりあえずトイレに向かい、そのまま個室に入った。そしてベルトを緩め、便座にケツを丸出しにして座り、さあ肛門括約筋を全開にして・・・と思ったが出ないのである。それどころか、強烈な痛みはさらに増して、オレはその痛みのあまり気を失いそうになった。
やばい。オレはスマホでメールを一本打った。「今トイレで腹痛で・・・」まだそのときは余裕があった。しかし、強烈な痛み、そして吐き気でオレは次の動作に移れなくなってしまったのだ。オレはただ痛みの嵐が収束するのを、その場にうずくまるようにして耐えていた。
そうだ、オレは便意があったのだった。しかしまだ何も出ていない。
オレはやっとのことで自動ケツ洗い機の「おしり」というボタンを押し、肛門に気持ちよい温水の刺激を与えた。それを繰り返すこと数度、しかし何も起こらない。
そのうち、オレは少し意識が遠のいてきた。やばい。このまま気を失うのか。トイレに他の人が入ってきたときに、助けを求めればいいのか。この下半身丸出しの状態で助けてもらうのか。だったらズボンを上げればいいのか。しかし、ズボンを上げてから強烈な下痢がやってきたらどんなおそろしいことになるのか。オレは今日の着替えは何も持ってない。ああ、もう絶体絶命だ。
オレはもう一度肛門に温水を噴射した。するとその刺激のせいで閉じていた肛門括約筋が刺激されたのか、大爆発が起きた。あまりの激しい下痢にオレは気を失いかけたが、なんとか無事だった。あとはとにかく待つだけだ。時間が経過すればきっと楽になる。オレはそのまま便座に座っていた。しかし、目の前がぼんやりする。貧血の症状が出てるのだろうか。そうなると厄介だ。
とにかくズボンをはいて、今の下半身丸出しという状況だけはなんとかしないといけない。オレは必死で立ち上がり、ズボンをはいた。そして、よろよろと個室のドアを開け、手を洗い、自力で保健室まで移動しようと動き出した時、仲良しの同僚がトイレに来た。オレの息も絶え絶えの状況に気が付いた彼はすぐに肩を貸して、エレベーターに乗り、保健室の前まで連れて行ってくれた。
そう、一年前も職員朝礼の時にオレは激しい腹痛で倒れたことがあった。そのときもしばらく休んでいて回復したのだった。オレは保健室のベッドで横にならせてもらい、養護教諭はすぐに脈拍と血圧を測定した。血圧は120〜70という状況まで回復していた。きっとトイレの中にいたときはもっと低下していたのだろう。手を洗う時に血の気の引いた顔色だったことを思い出した。
ベッドに横になったオレは、そのまますぐに1時間ほど眠った。目覚めると、腹痛も治まって、少し身体は重かったが、なんとか普通に動けることがわかった。なんとか助かったのである。オレは養護教諭の先生方にお礼とお詫びを伝えて、それから仕事に戻った。
もしもこの強烈な痛みが運転中にやってきたら、それこそ大変なことになっていただろう。腹痛を感じたらすぐにクルマを停めるというのがオレにとって必須事項であると再認識したのである。
おそらく原因は、朝に飲んだヨーグルトである。オレは朝、少し胸焼けがしたのでコンビニでヨーグルトを買おうとして、小さい容量のものではなくて、400CCくらいの大容量の、ブルーベリー入りのヨーグルト飲料を買って、それを朝から一気に飲んだ。それがよくなかったのである。それがお腹の調子を乱し、一気に爆発へと導いた時に強烈な痛みがオレを襲うことになったのだ。
無事でよかった。人間、どこに陥穽が潜んでいるかわからない。強烈な貧血症状のまま気を失って倒れたときに何かに頭を強打すればそのまま死んでいたかも知れない。オレはすぐに同僚に助けてもらえた幸運をかみしめたのだった。
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