2018年02月23日(金) |
日本はなんと貧しい国になったのか・・・ |
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オーストラリアに行った次男が帰ってこない。ワーキングホリデーで出かけたのだが、一定期間農業に従事してビザを延長できる制度を利用したので、滞在期間を延ばすこと可能になったからである。わずかに月6万円ほどの負担でルームシェアでタワーマンションの41階に住み、もちろん同居人は外国人である。そうしていろんな国の方々と交流しながら楽しい毎日を過ごしているようである。
バイトの時給は2000円以上だそうで、日本であくせくバイトするのが馬鹿馬鹿しくなるような金額である。20代でも理学療法士とか作業療法士のような仕事をしていると月収50万円以上あるらしい。日本では考えられないことである。次男はボディビルをしてわずか1年ほどで屈強なムキムキマンの肉体を手に入れていて、スポーツジムのトレーナーのような仕事をしたいと思ってるようである。何より強調してることが日々の楽しさなのである。日本でワーキングプアの状態におかれ、バイトを掛け持ちして必死で借金を返さないといけない同世代の若者に比べてなんと恵まれていることだろうか。
今、オーストラリアでは日本と同様に農業従事者が不足しているらしい。農業をすればビザが延長可能になるという制度はそうした実情を踏まえて存在するわけだが、次男は期間を満たせばすぐにファームでのバイトをやめてしまった。オレンジやアスパラの収穫の作業は人生で一番しんどかったそうである。屈強な肉体をなんのために手に入れたのかと思うのだが、とにかく趣味でカラダを動かすのはいいが、労働はいやみたいである。
次男は働いている農場で「5年間ここで働けば永住権がもらえるぞ」と誘われたらしい。日本で農業をしようと思ってる若者や、日本でのバイトに楽しさを感じていない者、日本での何かから逃げ出したいと思ってる人にとってそうしたチャンスがあることは大きな魅力である。オーストラリアで5年間農園で働くだけで、永久に日本という国籍から自由になれるのである。
海外からの技能実習生をただ単純に低賃金の労働力として利用し、単純労働者には労働ビザを発給せず、結果として多くの人が違法滞在という形で闇で労働している日本の現状を思った時、なんと日本は貧しい国だろうかとオレは思うのである。
確かに治安はいい。しかしそれは刑務所の中が治安がいいことと同じではないか。貧しさの中で飼い慣らされて従順になってるだけではないか。政治家が平気で国民にウソをついているのに国民の怒りが爆発するでもなく、有権者の半分くらいの人しか投票に行かないし、あきらめて税金を払っているのである。
日本料理店で働いていた次男はそこで包丁の使い方や料理の仕方を教えてもらい、肉じゃが程度は作れるようになったという。今はラーメン屋で働いているらしい。ブリスベンという街での生活はとても楽しいようである。
子どもはなんのために勉強するのだろう。高校や大学に進学し、そこで夢を実現するためではないのか。しかし、その夢に先にあるものが、ただ低賃金で働かせ放題の、若者の「やる気」をただ単純に搾取するだけの貧困な未来しかないのだとしたら、いったい我々はなんのために日々努力するのか。なんのために学生は受験勉強するのか。
およそ「受験勉強」とは無縁の生き方をしたオレの次男が、海外生活で幸福な毎日を過ごしていることを知ったとき、オレが日々学校でしてきたこととはいったいなんだったのだろうかと改めてオレは感じているのである。
人は人生を一度しか生きることができない。その一回をどのように生きたいのか。自分にはどんな可能性が広がっているのか。進学校の教員としてこれまで多くの卒業生の人生を見つめてきたオレは、そうした枠に全くあてはまらない破天荒な次男の生き方にただ唖然とするしかないのである。
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