2017年12月01日(金) |
負の遺産「もんじゅ」はどうなるのか? |
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廃炉が決まってる高速増殖炉の「もんじゅ」の原子炉容器内には液体ナトリウムが満たされている。もちろんこの液体ナトリウムは直接核燃料に触れているために放射能を帯びているのだが、こいつを抜き取る方法が全く想定されていないらしい。「廃炉」という方針自体は決定しているのだが、どうやって廃炉にしたらいいのかわからないのである。液体ナトリウムをそもそもどうすれば安全に処理できるのか、見込みが立たないのである。
ナトリウムというのは極めて不安定な物質である。空気に触れれば発火するし、水に入れると爆発する。ナトリウムの大きなかけらを池に投げ込んだら爆発して池の鯉が吹っ飛ぶらしい。そういう話を聞いたら試してみたい気もするが、大変な事故になるだろう。高校の化学の時間に前で教員が実験していたことを思い出す。理科準備室には金属ナトリウムがあったのだ。
「もんじゅ」の原子炉容器内には抜き取りを全く想定しないままに運転開始当時からそのままの状態で数百トンの液体ナトリウムが存在するのである。どんな原子炉もいつかは廃炉にしないといけないのに、その廃炉のことを全く考えないままに作ってしまったのがこの「もんじゅ」なのだ。どうやってこの後始末をつければいいのだろうか。もうそのまま分厚いコンクリートに固めてしまうしかないのか。しかし、大規模な地殻変動などが将来起きた場合、ここに存在する大量の液体ナトリウムが大爆発を起こす可能性が残されているのである。もっともその前に人類が滅亡しそうだから、その大惨事に巻き込まれる心配はそもそもないのだが。
原発というのはそもそも「どうやって終わらせるか」ということをきちっと決めないままで始まった技術である。大量に出てくる放射性廃棄物を無害化する方法はない。そうなるとどこかに捨て続けないといけないわけで、それは最終的に人類を危機に陥れることにつながるだろう。再稼働を叫ぶ政治家がたくさんいるのだが、彼らはその先にある廃棄物処理問題についてまともに考えてるとは思えない。どうせジジイどもは自分の死んだ後のことに責任なんか持たないだろう。そうなると今20代前後の若者は絶対に新規の原発建設に賛成してはならないのである。ああそれなのに、10代20代は圧倒的に自民党支持なのである。
「もんじゅ」原子炉格納容器内の大量の液体ナトリウムを液体で維持するための熱源はいったいなんだろうか。細々と原子の火が燃えてるから循環するナトリウムを冷やすくらいはできるのだろうか。そんなこともオレは気になってしまうのである。その熱源というか燃料費という名の維持費が今は年間どれくらいかかってるのだろうか。
自然エネルギーを普及させる前に、世界は「原発」というエネルギーに頼った。その結果日本もたくさんの原発を作ることになった。アメリカ様のご意向に従って原子力船である「むつ」も作られた。高速増殖炉「もんじゅ」やプルトニウムを燃料にできる新型転換炉「ふげん」も作られた。それらすべてが失敗に終わり、日本は「原発」という事業から絶望的な撤退戦を強いられているのに、なんとそれをインドに輸出しようとしていたりとオレのような普通の思考回路の持ち主には理解不能なことが行われているのである。「アホか」と言いたくなるのである。
「もんじゅ」のためにどれほど税金が無駄になったのだろうか。その責任を誰か取ったのだろうか。ここで失われたゼニを試算した記事が2016年2月16日の毎日新聞にあった。建設費には1兆円を超えるゼニが使われているのだという。この時点で廃炉には3000億円掛かるとされている。しかし、今回「廃炉は無理」という結論が出たわけで、そうなるとこの液体ナトリウムという危険なものをいったいどうするのだろうか。ナトリウムを塩素と反応させて安定した物質である塩化ナトリウムにする方法とかはないのか。それで格納容器の中を満たしたまま放置すればいいのか。
とにかくこの「もんじゅ」を最終的にどうするのか。オレは野次馬的に眺めているのである。今の状態で維持してるだけで巨額の費用がかかるのである。ドウしようもない金食い虫なのである。ただ、その浪費こそが原発利権だという気もするのである。
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