2017年02月22日(水) |
映画「天使のいる図書館」を奈良県民は観るべし! |
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奈良県を舞台にした映画としては「萌の朱雀」が有名である。河瀬直美監督のこの作品はカンヌ映画祭に出品されたことで話題となったが、新たな奈良ローカルの映画が登場した。それが、小芝風花主演の「天使のいる図書館」である。
彼女が演じるどこかズレたところがあって周囲の人々を困らせる図書館司書の演技がすばらしい。これはもしかしたら「発達障害」という設定なのだろうか。異常なまでの記憶力や日々の決まった行動パターン、そうした部分の危うさがまたヒロインの魅力なのである。もしも自分が大学生くらいの頃にこんな女の子がそばに居たら、きっと恋しただろうということをオレは確信したのである。
一言主神社、屯鶴峰(どんづるぼう)、葛城山ロープウェイなどが出てくるのも地元に住む人には嬉しいだろう。小芝風花の勤務先は広陵町図書館で、これは実際のものをそのまま使っている。昨年末に話題になった「この世界の片隅に」は、評価が高まるにつれて上映館が拡大した。オレはこの「天使のいる図書館」もそれだけの魅力があると思うのである。
お金を掛けて制作され、著名な俳優が多数出演して、バンバン宣伝を打っても内容は駄作という映画が多い。最近では「聖の青春」がダメだったし、少し前の作品では「マエストロ」も駄作だったとオレは思っている。「聖の青春」で松山ケンイチ演じる村山聖は、ただのわがままなデブにしか見えなかった。小説の方では詳しく描かれている子どもの頃の場面の記憶があるからこそ、大人になってから酒や麻雀に溺れることがわかるのである。ところが映画では幼少期の葛藤を描かないために主人公はただの迷惑なデブになってしまうのだ。
この「天使のいる図書館」を観ていると、奈良に行きたくなる。映画の舞台になっている葛城地方に行きたくなる。屯鶴峰を歩いてみたくなるし、葛城山にも登りたくなる。映画の舞台となった土地を「聖地」とあがめて多くの観光客が訪れるという。もしも全国公開でヒットすれば多くの人が葛城地方を訪れるのだろうか。それはあまり嬉しくないような気もする。そこはひっそりとしているのがいいとオレは思うからだ。この映画の魅力を理解しつつ、その一方で「作品の価値のわからない連中には観て欲しくない」と勝手なことを思うのである。
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