2016年07月05日(火) |
大谷翔平をリアルタイムで観るという幸福 |
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+2016年7月3日、北海道日ハムの大谷翔平投手は「1番ピッチャー」で先発出場し、初回先頭打者として打席に入って初球を打ってホームランにした。,
オレの父は野球好きであった。父は昔の阪神タイガースのことや、かつての名投手、名選手のことをよく覚えていた。広島で江夏豊が活躍していた頃、なぜかにわか広島ファンになって、救援に江夏が出てきたら「もうこれで安心や」と言っていたことを思い出す。スタルヒンがどれほどすごい投手だったのか、藤村富美男がどんな大打者だったのか、父はよく覚えていた。
オレが物心ついて阪神ファンになった頃にはもうそんなすごい選手はいなかった。吉田義男はあまり打てないただのベテラン選手だった。ただ、江夏豊が中日戦の延長戦でノーヒットノーランの末に自分で決勝ホームランを打ち、「野球は一人でも勝てる」という見出しが出たことは覚えている。阪急の山口高志が豪速球で王や長島を三振させながら四球の山を築いて自滅したこととかもかすかに覚えている。記録の上の名選手よりも、リアルタイムで観ていた選手の方がずっと自分の中では大スターである。だからオレはイチローや新庄剛志の活躍をしっかりと思い出せるのだ。
もちろん阪神ファンのおれにとって、1985年の優勝は忘れがたい思い出である。あの時、バースという史上最高の助っ人外人をしっかりとこの目に焼き付けることができたことをオレは永遠に忘れない。
今、若者はプロ野球に興味がなくなったという。球場に足を運ぶのはオッサンばかりで、もはや若者は野球を観なくなってしまった。地上波の野球中継は激減し、阪神巨人戦ですら地上波で放映されないというあり得ない事態が今起きているのだ。なんということだろうか。どうしてそんなことになったのか。
スターがいないわけじゃない。かつてのプロ野球の常識を塗り替えたすばらしい選手がいる。大谷翔平だ。投手と打者の二刀流で活躍して、強大な戦力を誇るパリーグの盟主であるソフトバンク相手に一歩も引かずに堂々と挑み、そしてねじふせるその姿を見て拍手喝采を送らない野球ファンはほとんどいないだろう。
すべての野球ファンにオレは呼びかけたい。大谷翔平をリアルタイムで観ることができるということがどれだけ幸福か。今テレビで彼の勇姿を観られることがいかに稀有のことなのか。プロ野球選手の全盛期はほんの10年ほどしかない。江川卓は高校生の時が一番すごかったという。松坂大輔はもうかつての彼ではない。ダルビッシュ有を日本の球場で観られることはもうないかも知れない。しかし、大谷翔平は今、日本のプロ野球の一人の選手として、かつて誰もなしえなかった「二刀流」という夢を、きわめて高いレベルで達成してるのだ。なんとすばらしいことだろうか。
プロ野球の人気を不動のものにするためには、今のうちに小学生の野球好きを増やして少しでも多くのファンを日本中に作り出さないといけない。それなのに各球団は全くなんの努力もしてないように見える。少なくとも努力が認められるのはソフトバンクと日ハムだけだ。その地域密着の活動は実にすばらしいものである。ただ、それ以外の球団はテレビ中継を増やしてちびっこファンを増加させるための工夫をしてるのだろうか。否である。中でももっともひどいのは巨人である。東京ドーム開催の阪神巨人戦でさえ、地上波の中継がなかったりするのだ。観たい人はBS日テレでゼニを払って観ろということである。
そんなセコい金儲けをすることで、地上波を視聴できる何百万という潜在的ファンを開拓することを怠っているのである。典型的な貧乏人のビジネスである。きっとよほど頭の悪い奴がその戦略をたてているのだろう。まあ巨人が衰退していくことはオレのような阪神ファンにとっては嬉しい限りなんだが。
亡くなる前の父の楽しみはプロ野球をテレビで観ることだった。オレは父のためにスカパーを契約して、阪神の全試合をできるだけ視聴できるように工夫していた。父が亡くなってからはそのスカパーの契約も解除してしまった。忙しいオレは野球をゆっくり観ている時間などないからだ。定年退職して悠々自適の生活になれば、またスカパーなどの有料放送を契約するかも知れないが、そのときにはもう野球の世界にはめぼしいスター選手はいなくなってるのかも知れない。少なくとも大谷翔平が今が旬の選手であることはまぎれもない事実である。
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