2016年05月31日(火) |
消費税増税と法人税減税 |
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「税金は取りやすいところから取り、賄賂をもらえば安くする」というのは資本主義社会のお約束である。「消費税」を導入したときに、その税率がどんどん上がっていくことは予想できたわけだし、EU諸国との比較で考えれば20%くらいの税率を将来的には覚悟しないといけないだろう。
その一方で法人税は上げられない。儲かってる企業から高額の法人税をとれば日本から企業が逃げてしまうから法人税の税率を引き下げよというまことに企業にとって都合のいい論理は、パナマ文書でタックスヘイブンを悪用している企業や金持ちが多数存在することでさらに強固な裏付けを持った。悪いのはそうして節税してる企業の側なのは明らかなのに、必ずこれを「法人税が高いからだ」と論点をすり替えて語る連中がいるのである。
日本の企業は政治献金によって巧みに自分たちにとって都合のいい政治を実現してきた。労働者派遣法の改悪などの背後には、平然と偽装請負を行わせ、それを告発されたときに「ルールの方が間違ってる」と傲慢にも言い放ったCANONの御手洗会長が経団連の会長だったことからもわかるように大企業が労働者を搾取する構造を温存するという目的がある。GDPは拡大してるのに労働者総賃金は年々下がり続け、その結果として購買力が低下してものが売れなくなって景気が悪くなったのに、無理な金融緩和を行って見かけの景気をよくしようとした茶番がアベノミクスである。安倍晋三は「雇用を拡大した」と大見得を切ってるが、増えたのは非正規雇用だけで正社員はむしろ減っている。それでどこが景気回復といえるのか。結果として実体経済が回復せず、賃金の上昇が起きなかったためにアベノミクスは失敗に終わったが、まだその事実を認めようとしないのが今の政権与党である。「労働者は金儲けのために使い捨てればよい!」という企業経営者側の論理を変えることはできなかったのだ。企業は利益を役員報酬や内部留保に回し、賃金にはほとんど反映させなかったのである。
自民党の政治資金を管理する「国民政治協会」の平成24年度の収支報告書から企業別政治献金ランキング表を見るとこのようになっている。
■自民党への献金が多い企業・団体ランキング
1 位 一般社団法人日本自動車工業会 6030 万円
2 位 トヨタ自動車 5140 万円
3 位 石油連盟 5000 万円
3 位 一般社団法人日本電機工業会 5000 万円
3 位 日本医師連盟 5000 万円
6 位 一般社団法人日本鉄鋼連盟 4000 万円
7 位 日本歯科医師連盟 3000 万円
8 位 キヤノン 2500 万円
8 位 住友化学 2500 万円
10 位 日産自動車 2050 万円
11 位 本田技研工業 1800 万円
12 位 東京海上日動火災保険 1764 万円
13 位 新日鐵住金 1600 万円
14 位 一般社団法人不動産協会 1500 万円
15 位 日野自動車 1450 万円
16 位 東芝 1400 万円
16 位 日立製作所 1400 万円
16 位 パナソニック 1400 万円
19 位 富士重工業 1390 万円
20 位 ダイハツ工業 1370 万円
21 位 いすゞ自動車 1310 万円
22 位 一般社団法人全国信用金庫協会 1300 万円
23 位 日本生命 1250 万円
24 位 旭化成 1200 万円
25 位 三井住友海上火災保険 1190 万円
26 位 スズキ 1035 万円
27 位 新日本製鐵 1000 万円
27 位 三菱重工業 1000 万円
27 位 富士通 1000 万円
27 位 ワールドメイト 1000 万円
27 位 日本薬剤師連盟 1000 万円
政治献金のルートはこれ以外にも多数あるので、これはほんの一部のデータでしかない。またこの表にはゼネコンが入ってないので、それこそがきっと別ルートなんだろう。献金をたくさんくれる企業を優遇した政治を行うというのは政治家にとって当たり前のことであり、そうした「賄賂性」の高い政治献金を全面的に禁止することは今の政治家は全く望んでいない。結果としてこうした状況はいつまでも放置され続け、政治というのは国民のためではなくて大企業のために行われているのである。
政治献金をする企業の中には国から補助金を受けている企業が含まれることがある。補助金を受けて、そのゼニを献金という形で政治家に還流させるのだ。もちろんルール上は違法だが、政治家が補助金のことを知らなかった場合はOKなのである。いやはや、ふざけるなと言いたいザル法である。政治家にルールを作らせるとこんな抜け道を作ってしまうのである。
単なる自然破壊でしかない大規模なダム建設がどうして行われるのだろうか。それはゼネコンに巨額のゼニが転がり込むからである。大規模なダム建設や公共工事の総事業費は数百億から数千億になる。それらが本当に必要なものであるかどうかは極めて疑わしい。結果として水質悪化や環境破壊をもたらしたものとして諫早湾の干拓事業、長良川の河口堰などの例をいくつも挙げることができる。政治家のそうした暴挙を阻止できるのは今の所住民投票しかない。吉野川第十堰の建設工事を阻止できたのは住民投票の結果が圧倒的に建設反対だったからである。その範囲を国民投票に拡大することによってのみ、政権与党が大企業やゼネコンと結びついて行っている利権政治を打破することができるのだ。
政権交代が起きて民主党が政権を握った時、「コンクリートではなく人に投資する」という立派なスローガンのもとにさまざまな無駄な公共工事が見直され、八ッ場ダムなどの馬鹿事業が中止されそうになったが、ゼネコン業界からの強い抵抗が起きて結局計画はそのまま実行されることとなった。政権交代という大きなイベントがあっても、従来の利権構造を打ち破るということはできなかったのだ。そして「何をするかわからない」民主党政権はすぐに自壊してしまい、すぐに利権政治は復活した。スーパー堤防なんていう税金の無駄遣いも復活してしまったのである。
国土にこんなにたくさんのダムがあるのに、大きな水害が起きるのはなぜか。それはダムなんかでは自然災害は防げないからである。自然災害は定期的にどこかで起きるということを前提に考えていかないといけないのだ。地震や津波も必ず起きるのである。そしてコンクリートの構造物でそれを防ごうなんて考えが根本的に間違ってるということは東日本大震災で明らかになったはずだ。
そしてこのたび「消費税増税を延期する」という方針が安倍首相から打ち出された。これは夏の参院選を戦いやすくするための一時しのぎの政策変更である。自民党に投票したくない人たちにとって、「じゃあおまえは消費税を上げて欲しいのか?」と問いかけることが可能なきわめて狡猾な戦略である。そのことに国民は気づかないといけないのだ。
消費税率はいずれ上がる。金持ちも貧乏人も等しく10%課税されるということは、平等なように見えて実は平等ではない。かくして貧富の差はますます拡大していくのである。貧しい人たちにとって国保料の負担はあまりにも重い。残ったわずかな可処分所得を確実に奪うのが消費税の税率UPである。
政権与党の馬鹿政治家たちは、どうすれば景気をよくできるか、社会構造を変えることができるかというアイデアを全く持たなかった。いや、そもそもそんなことには関心が無かった。彼らは次の選挙で勝てるかどうかしか考えていなかったし、自分たちの蓄財しか興味がなかったのである。
現状を維持することしか考えていない官僚と、何のアイデアも持たない馬鹿な政治家によって日本はバブル崩壊後一直線に滅びの道を進んできた。オレが生きてる間にその滅亡の日は来るのだろうか。シャッターが閉じて活気を失った商店街や、空き家だらけの新興住宅地を見てオレは感じる。もう確実に滅びは起きている。この現実を認めた上で、「破壊と再生」の手段を模索できる政治家は誰かいないのか。
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