2015年08月21日(金) |
タトゥーをどう受容するか? |
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タトゥー(刺青)は日本ではヤクザの構成員のシンボルマークだった。堅気(カタギ)の人間とそうでない人間を見分ける目印が、小指があるかないかとか、刺青してるかしてないかという明確な基準が存在したのである。そうした文化的な背景がある以上、今の若者がファッション感覚で簡単にタトゥーを入れることに対してかなりの違和感を覚えるのである。
子どもの頃の銭湯の思い出の中に、けっこう客の中に全身に見事な刺青を入れた人達がいたということがある。今から思えばそうした人達は暴力団の構成員だったのだろうと思うのだが、当時はそんなことはもちろんわかっていなかった。
そうした銭湯では今も刺青OKなんだろうと思うが、銭湯という文化がもはや滅びつつある中で、そうなると新たに出てきた健康ランド的な温泉SPAというレジャー施設が表示している「刺青してる人の入浴禁止」というルールが問題になってくるのだ。少し前に作家の吉本ばななさんが、奈良県の「虹の湯」で入浴を断られたという事件があった。絆創膏で隠せるような小さなものであっても、そのままの入浴は認められないのである。
橋下市長が大阪市の職員の入れ墨を調査したことがあった。その中に調査を拒否した職員が居てペナルティを受けていたと思うが、少なくとも日本ではまだ「ファッションとしてのタトゥー」という文化は定着していないので、刺青は反社会的勢力の象徴であり、公僕たる公務員が入れ墨なんてのはおかしいじゃないかという橋下市長の価値観はもっともだとオレは思ったのである。
外国にはタトゥーを入れる習慣を持つ民族がある。そうした人達が観光客として来日して日本の温泉SPAにやってきたとき、そこのルールをどのように適用するかというのは悩ましい問題である。もしも一部のSPAが「入れ墨すべてOK」という方針を打ち出せば、必ずそこは暴力団関係者やどう考えても麻薬や覚醒剤をやってるだろうというならず者たちのたまり場になってしまい、今度は一般のお客さんが入りづらくなってしまうのである。すべて調べてみたわけではないのでそうしたオレの心配はただの杞憂なのかも知れないのだが。
ネットでタトゥーを入れている有名人というのを検索すると、宮沢りえ、澤穂希、夏川りみなどが出てくる。宮沢りえにはちょっと驚いてしまったが、映画の時はきっと見えないようにうまく隠してるのだろうな。
外国人への配慮という観点から温泉SPAが「刺青禁止」という看板を下ろしてしまうことに対してオレは反対する。オレの感覚としてはそういう風習はいくら民族的な習慣と言っても女子への割礼と同じく文明社会から排除されるべきものだと思っているし、それをファッション感覚で入れてる人達に対しても批判的な気持ちを持っている。心の中では「アホやんけ」というくらいに感じているのだ。だから今のままの「刺青禁止」というルールでいいと思うし、それを世界に発信すればいいのである。「日本のルールでは入れない」ということでいいじゃないか。何も外国人旅行者に対して配慮することもない。これが日本の習慣だからと強く主張すれば済むことである。
近い将来、日本で暴力団関係者がすべて排除され、暴力団という反社会的勢力が一掃されたとしたらまた刺青の意味は変わってくるだろう。その時は本当にただのファッションになるかも知れない。まあそれでもオレは心の中で「そんなん入れてるヤツは馬鹿」と思ってるだろうし、オレ自身の価値観は変わらないのである。オレは自分の息子には「タトゥ入れてるヤツはDQNだから入れるな」と言うだろうし、それを偏見とか差別だとも思っていない。少なくとも今の普通の日本人の普通の価値観だと思っている。
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