2015年03月16日(月) |
北陸新幹線開業雑感 |
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大阪から長野に行く場合、以前なら名古屋まで新幹線で行き、名古屋で乗り換えの時にホームできしめんを食べ、そして特急「しなの」で長野まで行くというのが一般的で、所要時間は4時間15分くらいだった。
しかし、北陸新幹線の開通で、どうやら北回りの金沢経由の方が長野に短時間で到着しそうなのだ。ヤフーで路線検索してみると、ちょうど4時間くらいで到着する乗り継ぎもある。もちろん運賃+特急料金は2000円ほど高くなるわけで、わずかな時間の違い程度ならば安い方がいいということになるが、たった2000円程度の差ならたまには北陸新幹線に乗ってみたいという者も出てくるだろう。
まあよいことばかりでもない。関西から富山に行くにはこれまではサンダーバードで直通で行けたのだが、新幹線開業に伴って大阪発のサンダーバードはみんな金沢までになってしまうので、富山に行くにはそこで新幹線に乗り換えないといけなくなってかなりの出費増である。JRの側の勝手な都合でこれまでよりも運賃が高くなってしまうのはいかなるものか。特例運賃を設けて、金沢富山間の新幹線乗車は、サンダーバードからの乗り継ぎの場合は無料にすべきではないかとオレは勝手に思うのだ。金沢から富山は新幹線で20分ほどで行けるのだが、自由席特急料金が1840円かかる。並行在来線なら約1時間かかるが追加料金はない。40分余分にかかっても、1840円安くなるのならのんびり行くか!と、そういうセコイことを考える人もいるだろう。
新幹線が開業すると、並行在来線はとにかくみんな3セクになってしまう。この3セクがどこも経営が苦しいわけだが、せっかく新幹線が開通してやってくる人が増えてるのに、どうして並行在来線の乗客が増えないのかオレは不思議なのである。新幹線の停車駅までやってきた人を、乗り換えさせて3セクの路線で行ける観光地になぜ引っ張ってこれないのかということだ。
移動手段としては新幹線がすぐれているが、トンネルばかりで車窓の景色を楽しめないことを思えば在来線の方が「乗る楽しみ」がある。だから3セクの経営者は積極的に新幹線からの乗り換えをアピールすべきである。「トワイライトエクスプレス」があんなに人気を呼んだように、「乗る楽しみ」を求める乗客に対応することで新たなビジネスチャンスが生まれるとオレは思うのだ。「親知らず」を長大なトンネルで通過するのと、そこから日本海の雄大な景色が眺められるのと、いずれが旅の楽しみにつながるだろうか。
九州新幹線が鹿児島まで伸びたとき、鹿児島からJR九州の特急で1時間ほどかかる指宿温泉の宿泊客がかなり増えた。新幹線の駅で乗り換えさせて、さらに鉄道を利用させるためにはどんな仕掛けが必要なのか、それをJR九州は教えてくれているのである。
学生時代に少しでもゼニを節約して旅行しようと思っていたオレにとって、新幹線というのは高嶺の花だった。新幹線のない地域の在来線の急行や特急も「ワイド周遊券」のおかげで乗ることはできたが、各駅停車の旅の楽しみもまた捨てがたいものがあった。
何の対策もせず、工夫もせずに放置すれば遠からず並行在来線の3セクは経営破綻する。田中康夫元長野県知事が「しなの鉄道」の乗客を増やそうとしてワイン列車を走らせたりとさまざまな工夫を行ったが、石川・富山・新潟の各県にそれぞれ置かれる3セクの各社はどんな仕掛けを用意してるのだろうか。
ふだんはクルマばかり使っていて、ろくに鉄道を利用もしない地元民も「乗る人がなかったら廃止される」ということを理解して、積極的に鉄道を利用すべきなのである。そのためには本数を増やして便利にすることがもっとも重要だ。
東京から北陸へ人は確実にやってくる。富山の黒ラーメンを食べに来る人も増える。そこから先に何が起きるのか、オレは静かに見守りたいのである。
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