2013年12月11日(水) |
シンプルハイスクールの勧め |
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大阪府は来春から高校の学区制を廃止して、どこに住んでいても府下のどの公立高校も受験可能となる。橋下市長の母校である北野高校を頂点とするピラミッドが完成するのである。そこで中学3年生は基本的に「自分の偏差値で入れる高校」を受験しようとするわけである。しかし、成績以外の高校選びの尺度はないのか。せっかく選択肢が広がるのだ。どうしてこの機会に公立高校は一斉に個性化の道を目指さないのだろうか。そうすることによって、単なる偏差値での輪切りを回避して、より意欲のある生徒を集めることが可能になるとオレは思うのだ。もっとも私立高校に勤務するオレにとって、公立高校が個性を打ち出せずに自滅してくれることはライバルが勝手にコケてくれることと同じなのでむしろ喜ぶべきことかも知れないのだが。
もしもこんな高校があれば面白い・・・というアイデアをオレはいくつか持っている。そのうちの一つが「シンプルハイスクール」である。学校行事が存在せず、諸費用を最小限に抑えたゼニのかからない高校である。制服は不要、修学旅行もないので旅行の積立金もいらない。教材は学校で印刷した教材を使うので教科書も不要、できることならそこだけ他の公立高校と違って授業料を無償にしてもいいだろう。勉強以外の余分なものをすべて切り捨てたシンプルハイスクールにしてしまうのだ。ただ、いろんな学習レベルの生徒が混在すると学習効率が悪いのでクラス編成だけは能力別にする。そして学期ごとに入れ替え制にしてしまうのである。そうすればがんばった生徒は上級クラスに、サボっていた生徒は下級クラスへと移ることになりそれぞれのクラスで習熟度別の授業が行えることとなる。高校とは名ばかりの巨大な塾にしてしまうのだ。
ただ、遠方から通う生徒にとって定期代の負担はけっこう重い。だからこのシンプルハイスクールはできるだけ中心部の交通至便なところに設置すべきである。トータルの費用がかからないことを目指すのがこの高校の目的だ。
そこには部活動も設置しない。ただ、放課後の課外授業(一種の補習授業)みたいなものは無償で実施し、通常クラスの授業についていけない生徒のために補講を行うようにすればいい。
大阪では公立トップ10の高校に「文理学科」が設置され、競争率も高くかなりの難関となっている。併願で私立高校を受験する余裕のない貧困家庭の子は最初からトップ10の公立高校をあきらめて3番手、4番手の高校に進むこととなり、その結果難関大学進学の夢を断たれてしまうことになる。そうした子どもたちにとって、入るときはそれほど難しくないが、その中でちゃんと努力すれば高い目標を目指すことができる高校があれば進学の夢がかなうのだ。しかし、そのような高校は現実には存在しない。公立高校の進学実績はすべて入学時の偏差値序列どおりの結果になっている。東大や京大に現役進学するためには最初に学区内でトップの高校に入らないといけなかったのである。大阪府下は9学区に分かれていたために9校のトップ校が存在した。その9校に豊中高校を加えたトップ10の高校に入れるかどうかで東大や京大という難関大学に進学できるかどうかということはほぼ決まってしまう。
そのトップ10以外の高校で、従来の偏差値序列にとらわれない、学校の特色を基準にして選ばれる高校がもっと出現すべきだとオレは思うのだ。その一つのスタイルがこのシンプルハイスクールである。高校は大きな塾みたいなもので、部活動も修学旅行もいらない。ただ大学進学だけが目的だという生徒の受け皿にすればいいのである。
もちろんその逆もありだ。最低限の学習以外はすべて職業体験や実習にあてて、大学進学をあえて目指さずに全員が高卒で就職することを目指す「就職ハイスクール」やアルバイトしながら学ぶ生徒のための「勤労ハイスクール」なんかも作ってしまえばいいのである。そうして個性的に生まれ変わることで大阪府の公立高校は生徒にとって魅力的な存在に生まれ変わることができるだろう。
もっともライバルの公立が強くなることは、私学教員のオレにとっては困ったことになる。いい生徒は公立にとられてしまうからだ。ただ、オレが書いてるようなことを実践できる高校があるとは思えない。何一つ改革できず、旧態依然とした状況だから大阪府の公立高校は高い中退率のままなのである。
「シンプルハイスクール」を作るにあたっては、既存の指導要領を大胆に見直す必要があるかも知れない。文化祭も部活動も体育大会も遠足もない高校というものが実際に作られれば、どれほどの入学希望者が来るだろうか。案外集まりそうな気もするのである。
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