2013年05月31日(金) |
図書館の本を売り飛ばした司書 |
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図書館の本は売れない。なぜか? 借りたり盗んだりした人が勝手に転売したりしないように必ず「蔵書印」が押されているからだ。しかし、まだ購入直後の蔵書印を押す前なら転売は可能かも知れない。しかし、そんな技が使えるのは内部犯行に限られる。というわけで、購入した新刊をせっせと転売していた司書がいた。読売新聞の記事を引用しよう。
中学校女性司書「生活苦しく」…蔵書転売3千冊 Tweet
学校の図書室の蔵書を3年半で約3000冊(550万円相当)を、中古書店に転売していたとして、新潟市教育委員会は30日、市立小須戸中学校に勤務していた元図書室司書の40歳代の女性を、窃盗の疑いで秋葉署に告訴した。
市教委によると、女性は2008年4月から13年3月まで臨時職員の司書として同校に勤めていたが、09年9月頃から、新たに購入した図書を10〜30冊ためては、市内3か所の中古書店に新品のまま転売していた。転売は徐々にエスカレートし、12年度に購入した約500冊のうち、残っていたのは6冊だけだったという。
後任の司書が、購入したはずの図書が見当たらないことに気づき、発覚した。
女性は、市教委の調査に対し「生活が苦しくほとんど食費に充てた」などと話しているが、弁償のめどは立っていないという。市教委の管理マニュアルでは、購入図書の検品は担当教諭と司書が2人ですることになっているが、守られていなかった。市教委は、学校側の管理職の処分も検討している。
同校の図書室の蔵書数は現在約1万冊。
この犯罪の盲点は「司書がそんなことするわけがない」という部分にあったと思う。ただ、臨時職員として身分の保障がないということは、その仕事を失うことに対してのリスクもないわけで、おそらく給与もそれほどよくはなかったのだろう。つまり、この女性にとって「司書」という職業は「それほど執着するものでもない給料の安い仕事」に過ぎなかったのだ。もしも彼女が「司書」という仕事に、誇りと情熱を持っていればこんな行為をするわけがない。
オレは図書館が好きだ。(当然のことだが映画「図書館戦争」も好きだ。)だから司書という職業に対して興味はあったし、もしかしたらなっていたかも知れない仕事の一つである。だからこそ思うのだ。こういう仕事に就くのは本当に本が好きな人間だけであってほしいと。ただ単に「他の仕事がないから」という動機で司書にはなってほしくないのである。本を愛せない人間に司書をする資格はない。
学校の図書館に割り当てられた年間の図書の購入費は、公立の小中学校の場合はそんなに多くない。かなり吟味して購入図書を選ばないといけないのである。そのわずかな金額をこうして転売によって着服したことで彼女はいったいどれだけのゼニを手に入れたのだろうか。今回こうして学校名も明らかになったことで、その中学校に通っていた生徒たちや同僚には今回の事件を起こした「窃盗司書」のことがバレてしまったわけである。みんなにそのことを知られていて恥ずかしいとは思わないのだろうか。
生活が苦しいということは犯罪の言い訳にはならない。これには情状酌量の余地もない。ただ、地方自治体が正職員の数を減らしてどんどん非常勤や臨時職員に置き換えてしまうことで、ワーキングプアという状態に追い込まれる人々が増えてしまうことも事実だ。生活が苦しかったというこの女性司書がどうしてそんな状態に追い込まれてしまったのかということをオレは想像する。
ただ、一番の被害者はその学校の生徒たちである。せっかく読めるはずの新刊をみんな転売されてしまって読めなかったのだから。
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