| 2013年05月17日(金) |
橋下発言に見るホンネとタテマエ |
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橋下大阪市長が米軍の関係者に「もっと風俗の活用を！」と言ったことが問題視されている。確かに不適切な発言であると思うし、それが個人の雑談レベルならまだしも、東京と並んで日本を代表する巨大都市の市長の発言ともなると、世界に伝わって論評されてしまうわけだ。案の定、「女性の人権を軽視してる！」などとかみつく人権派の方々が登場してきたのである。
ただ、米軍の内規では買春を禁止していても、そんなことは全然守られてないし、そもそも進駐軍が日本にやってきた時に日本は慰安所を作って女性をそこに常駐させて接待したということは歴史的な事実なのである。もちろんオレはここで「米軍はウソつきだ」などというつもりはない。買春を禁止するルールというタテマエと、実際は兵士たちが性欲をもてあましているというホンネがあって、米軍の司令官はそのホンネの方にはあまり触れたくないのである。
「買春禁止？ だったら金払わなければＯＫなんだな。」というレベルのならず者たちが海兵隊にはいくらでもいるだろう。
岸田秀さんはその著書ものぐさ精神分析 (中公文庫)
続 ものぐさ精神分析 (中公文庫)
の中で、性の商品化は文化の基盤であり、そうした現象を持たない文化は存在しないと書いている。日本にソープランドという公然と売買春の行われている施設があり、アメリカにもコールガールやストリートガールという娼婦がいることは事実なのである。
そうした文化は世の中のアンダーグラウンドの部分であり、通常の生活を送る人々の隠したい部分である。ソープランドに通っていることを自慢する男性など普通は考えられないし（もちろん世の中には自虐的にそれを自慢する人もいるだろうが）、少なくともそれは男性にとっては隠しておきたい部分なのである。
橋下氏は戦時中に慰安所が存在したことに対して、事実を提示しただけでその是非を論じていない。あの時代は世界各国の軍隊がそうした施設を持っていたわけで、ドイツ軍もロシア軍もそして日本にやってきた進駐軍も同様であった。満州にやってきたロシア軍兵士にとって、日本人女性をレイプすることは日常だった。１９４５年８月２７日に満洲国吉林省敦化で起きた敦化事件（とんかじけん）を知ってる人がどれだけいるだろうか。
これは進駐してきたソ連軍に連日のように強姦され続けた女性社員やその家族が集団自決した事件である。女性たちが連日の蛮行に耐えかねて青酸カリを飲んで集団自決をはかったのである。オレがロスケのことが嫌いなのは、この事件にしろ、シベリア抑留にしろ全く謝罪も賠償もせず、しかも北方領土を略奪して平気なことである。ロスケの蛮行をなぜ日本人は世界に訴え、彼らがクズであるとアピールしないのか。
過去の歴史に対して現代のルールをあてはめて、「これは間違っている！」断罪することが正しいのならば、日本だけではなくて連合国側の蛮行ももちろん公平に裁いてほしいと思うのである。一般市民を大量に虐殺した原爆投下を指示した人は死刑に相当するとオレは思っている。その大量虐殺はアメリカにとっては「戦争を早く終わらせるため」という正当性があったとされているのだから。
アメリカ人は今回の橋下発言を「侮辱された」と受け取ったそうだが、だったら沖縄で頻発する米兵の犯罪はどうなのか。長年にわたって犯罪者を処罰しないでそのまま帰国させてきた事実は、沖縄で被害に遭った女性たちを侮辱していないのか。おまえらの買春禁止というタテマエの背後には、金を払うどころか女性をレイプしたり少女を強姦してから殺したりして欲求を満たすクソ野郎どものホンネがのぞいてるじゃないか。どれほど多くの女性が米兵の残虐行為の犠牲になってきたのかわかってるのか。駐車場でレイプしておきながら「合意があった」と平然と主張するのがおまえらの日常じゃないか。その過去の事実に対して橋下氏が「風俗を活用すれば」と皮肉っぽく語ったことに対して「侮辱された」ととらえるのならば、先に過去のすべての犯罪行為に対して土下座してくれとオレは思うのである。軍用車両で通学の小学生をひき殺したりしてもおまえらは罰することもなかったじゃないか。今回の橋下発言を批判するならば、すべての罪を償ってからにしろと思うのである。沖縄の人たちの人権を踏みにじってきた過去をどれだけわかってるのか。
日本軍の従軍慰安婦問題を世界に宣伝することで自分たちが被害者であることを強調する韓国は、ベトナム戦争の時に行った住民への虐殺や強姦については必死でなかったことにしようとしている。ライダイハンと呼ばれる韓国人男性とベトナム女性との間に生まれた人が数万人いるという。その問題を特集で取り上げた新聞社は在郷軍人会の連中のテロを受けたとかいう。言論の自由もなく、自分たちに都合の悪い歴史は暴力で抹殺しようとしてるのが韓国なのだ。なかったことにしたいのである。ベトナムの住民を残虐に殺したこともすべて。
考えれば１９８０年代、韓国では公娼制度が存在し、国営娼館が外貨獲得の重要な産業だったわけである。そうした事実は世界には隠そうとしつつ自分たちの主張を一方的に海外で宣伝して「反日」の材料にしようとしているかの国が、日韓友好なんてことを本気で考えてるのかとオレは笑ってしまうのである。８０年代の日本人観光客が韓国に行くのはそうした「キーセン旅行」が目的だったことは多くの人にとって周知のことである。いわば国家の管理の下の「性奴隷」が外貨獲得という目的のための容認されていたのだ。公娼制度の廃止された現在、韓国国内では売春に対する取り締まりが厳しくなり、女性たちは世界各国に進出してるという。もちろん日本にも大勢来ているのである。ただオレはそれを否定も肯定もしない。単なる事実として述べているのだ。
オレはここで「反韓」を煽ることも「反日」を叩くことも意図していない。いろんな人間が存在するのにそれを一つの国家でくくることんどできない。特定の国に対して主観的に「好き」「嫌い」と決めつけるのは無意味なことだ。オレはロスケの残虐行為は許さないが、現在のロシア人民に罪があるわけではない。だから「ロシア嫌い」というわけでもない。プーチンのように政敵を暗殺してきたヤツが国家の最高権力者という国であることにむしろ同情するくらいだ。おまえはスターリンの再来か！と思うのである。
橋下氏は大阪市長という立場でありながらどうしてあんなにスキのある発言をしてしまうのだろうか。オレのような一介のオッサンが酒席で語るようなことを失言してしまうその本意はいったいなんだろうか。それがオレには不思議なのである。もしかしたらそれは確信犯的な彼の「偽悪」であり、そうして彼が狙ってるものは凡人にはとうてい理解できないものであるかも知れないのだ。もっともこのオレもそれを野次馬的に楽しんでいる一種の確信犯なんだが。
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江草乗の日記風エッセイ
