2012年10月02日(火) |
書評『うさぎパン』〜瀧羽麻子 誰かを愛すること |
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瀧羽麻子さんという作家の存在を知ったのはつい最近のことだ。自分が勤務する学園の図書館に著書があったからである。『左京区 恋月橋渡ル』という理系男子大学生の恋愛を描いた作品が入っていた。それを借りて読もうとして、ふと司書の方に「他の作品はありますか?」と聞いてみたら、書庫にこの本があったので先に読むことにしたのである。作品はできる限り発表順に読め!というのがオレの主張である。
『うさぎパン』〜この本の帯には第二回ダ・ヴィンチ文学賞大賞とあった。
自分が高校生の頃、いったいどんな恋愛、いや片思いをしていただろうか。高校生のプラトニックな恋愛を描くなんて、今の小説の世界ではかなりレトロなことなのかも知れない。それが逆にオレのようなオッサンのハートにけっこうズギュンと来るのである。
この作品の主人公、優子は幼い頃に母を失い、その後父は愛人であったミドリと結婚したのでその継母のミドリに育てられている。継母のミドリに対して、優子は決して「お母さん」とは呼ばずに「ミドリさん」と呼ぶ。
優子には高校入学後、富田くんという彼氏ができる。二人のデートはいつもパンの食べ歩きである。入学式後の挨拶で優子が「好きなものはパンです」と公言し、同じくパン好きだと告げた富田くんはパン屋の息子だった。
作品の大きな謎は最後に明かされる。なぜ題名が「うさぎパン」なのかもわかる。あまりに意外な結末に、オレのようなオッサンも見事に泣かされた。それをオレがここで書いてしまうと面白くないので、ぜひみなさんに読んでもらいたいのである。この作品はぜひとも映画化してもらいたいのである。そしてオレはこの著者の瀧羽麻子さんの他の作品も読みたくなったのである。
作者の瀧羽麻子さんは1981年生まれとあるのでオレよりも20歳年下ということになる。京都大学のご出身である。そういう部分でもオレはかなり親近感を抱いた。京大生の必読書と言えばやはり『鴨川ホルモー (角川文庫)』である。まだこれから読む予定なのだが、彼女の書く京都を舞台にした作品が果たしてオレの気に入る「京都大学関連小説」の中に加わるだろうかとオレは少し期待している。
うさぎパン (幻冬舎文庫)
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