2012年05月25日(金) |
東京湾はペンギン天国だ |
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西原理恵子のエッセイの中で、高知には昔、港の近くに野良ペンギンがいたという話を読んだことがある。遠洋漁業の漁師が捕まえて、家で飼っていたもののもてあまして放したのが野生化したということだった。昭和30年代ならばそんなこともあったのかも知れないが、今なら大ニュースになるだろう。
ただ、ここからわかるのは日本の気候風土でペンギンが生息できるということである。だから葛西臨海水族園から逃亡したペンギンは80日あまりを逃げ続けたのである。東京湾は小魚も多く、逃亡ペンギンにとって楽園だったかも知れないのだ。読売新聞の記事を引用しよう。
ペンギン保護、サラリーマンのような習性を利用
逃亡生活はあっけなく終了――。東京都江戸川区の都立葛西臨海水族園から今年3月に逃げ出したフンボルトペンギンが24日、同園から北東9キロの江戸川付近で保護された。
東京湾で80日余りにわたって自由を謳歌(おうか)していたはずのペンギンが、なぜあっさり捕まったのか。識者は、フンボルトペンギンの「習性」がカギと指摘する。
午後10時30分過ぎに同園が開いた記者会見では、冒頭に保護された脱走ペンギンが公開された。オリに入れられておびえた様子だったが、ケガなどはないという。
同園によると、この日昼前に江戸川の行徳橋周辺で目撃情報が複数寄せられ、職員2人が現場に急行。午後4時20分頃、河川敷で休んでいるところを近づいたが、気付いたペンギンは川の中に姿を消した。しかし、約1時間後に反対岸に上がったところを、今度はゆっくり距離を詰め、最後は素手で取り押さえた。ペンギンは無抵抗だったという。
逃走したペンギンはこれまで、江戸川から東京湾・晴海付近など広い範囲で目撃されており、湾内を自由に行き来していたという。ただ時速30キロで泳ぐペンギンを海中で捕獲するのは困難とみられていた。
研究者らでつくる「ペンギン会議」(千葉県船橋市)の上田一生研究員によると、フンボルトペンギンは早朝、海に出て魚を取り、日没後に陸上のねぐらに戻るという規則正しい「サラリーマンのような生活」が特徴。こうした習性が今回の捕獲劇につながったとみられる。
東京湾はエサとなる小魚も多く、天敵のサメやアザラシなどもいないが、湾内は船の往来も多く「スクリューに巻き込まれてケガをする恐れもある」。陸では野良猫に襲われる可能性もあり、上田さんは「東京でペンギンが一人ぼっちで生き延びるのには危険が多すぎる。保護されて良かったのでは」としている。
(2012年5月25日11時22分 読売新聞)
記事にあるようにペンギンのねぐらは陸上だったということである。それなら誰かに発見されていてもおかしくない。80日間以上もの間、見つからずに身を隠すことのできるねぐらがあったということにオレは驚くのである。
もちろん、多くの目撃情報が相次いだわけで、だから今回の捕獲に至ったわけだが、水中を時速30キロで泳いでる時は捕獲困難なわけで、それで陸地にいるところを捕まえることになったのである。
外国から持ち込まれた多くの動物が野生化している。ペットとして飼っていたのをもてあまして捨てるケースもあるだろうし、悪意をもって野に放つ人もいるだろう。ペンギンが日本で生存することが可能なこともわかったわけで、もしもこれが目撃者の多い東京湾ではなくてもっとへんぴな島ならば発見されず、繁殖にいたっていたかも知れない。
過去に日本にて滅びてしまった動物は多い。ニホンカワウソは絶滅したと言われる。しかし私の母は「子どもの頃は近所の川にたくさんカワウソがいた」と語っている。護岸で海や川がどんどん固められてしまうのでそうした動物は巣を作れなくなってしまったのである。その一方で外来種はこれからもどんどん入ってくるだろう。もしもペンギンが日本に住み着いて野生化したときに、それを駆除しようとするのか保護するのか。日本人はなかなか「外来種はみんな殺す」という結論は出せないのである。ニュージーランドの自然保護は、外来種を根絶やしにして固有種を守ることだった。日本は今後どんな方向を目指すのか。トキの孵化がニュースになってる中でオレは今回のペンギン騒動を複雑な気持ちで見ていたのだった。。
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