2011年02月21日(月) |
アメリカ企業は賄賂競争に負けるのである |
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新興国に企業が進出する際、役人どもへ賄賂をばらまくのは常識だという。中国がアフリカにどんどん進出してるのは、賄賂攻勢を仕掛けているからということも言われている。ここでは賄賂というのはひとつの商習慣であり、人間関係を築く際の潤滑油になるものであるという考えも成り立つ。しかし、アメリカ政府は何を思ったのか、その賄賂を厳しく取り締まる方針を打ち出した。産経新聞の記事を引用しよう。
米政府が海外贈賄の摘発を強化 狙いは中国 2011.2.21 01:28
米国政府が外国政府に絡んだ企業による贈賄摘発を強化している。米司法省が2010年に摘発した海外贈賄事件は38件と09年から2割増加し、過去最高を記録した。グローバル化を進める企業が商業慣行や道徳観念の異なる新興国での直接投資や取引を拡大しているためで、財政難に悩む米政府としても企業からの罰金支払いを新たな収益源にしたい考えだ。最近は中国の国有企業と取引する米企業や投資会社も調査の対象となっており、米政府の政治的思惑が見え隠れする。(ニューヨーク駐在編集委員 松浦肇)
米国では企業やその職員が外国政府の職員に賄賂を渡した場合、海外腐敗行為防止法(FCPA)の適用を受けて、罰金を支払ったうえに公共入札から締め出され、贈賄行為に関わった個人は禁錮刑を受ける。FCPAの適用範囲は広く、米企業でなくても米国内で業務を展開し、または米国内で証券を発行する外国企業も対象となるし、企業は海外グループ会社や現地の代理人の行為にも責任を負う。
FCPAは米国内法の域外適用ともいえ、08〜10年の摘発件数は92件と05〜07年の32件の3倍に急増した。最近はメキシコで贈賄事件を起こした米食品会社タイソン・フーズなど有名企業も摘発されている。
これまでは政府開発支援(ODA)が活発なアフリカや中南米地域での摘発が多かったが、経済成長の著しい旧共産圏や中国をはじめとする新興国への適用を広げ始めたのも特徴。中国の場合は国有企業の職員も外国政府の公務員としてみなされるため、FCPA適用が可能になる。
実際、米電子機器会社のセンサータ・テクノロジーズが中国での贈賄事件の可能性についてこのほど社内調査を開始、司法省も調査に乗り出したとみられる。
FCPAに詳しい米法律事務所リチャーズ・キッビ・オービによると、司法省は100件を超える案件を調査しているといい、今後も摘発数が増えるのは確実だ。
経済協力開発機構(OECD)の参加国が1997年に外国公務員贈賄防止条約を締結し、収賄・贈賄の摘発がおろそかな新興国での汚職対策は世界的なトレンド。FCPAは適用範囲が広く、産業界をバックにした全米商工会議所などからは取り締まり強化への反発も出ているため、経済の競争相手として意識され始めた中国に矛先を向けることで批判を和らげる政治的狙いもあるようだ。
77年に制定され、長期間休眠状態にあったFCPAだが、現在は司法省が罰金など刑事事件で得られる収入の半分がFCPA関連で、海外贈賄事件の摘発は緊縮財政を進める米国政府にとっても「ドル箱」の規制となっている。
アメリカでは企業に対する「罰金」の額が大きい。日本みたいに「ルールを破って利益を上げてから、その利益に比べてわずかな金額の罰金を払った方が得」という状況ではないのである。天文学的な金額の罰金をぼったくられるのだ。これまで日本企業がねらい打ちにされて巨額の罰金を支払わされてきたことを思い出す。
中国への進出によって大きな利益を上げようとする企業にとって、まず党幹部に食い込まないとビジネスができない中国では賄賂は欠かせない。おそらく日本企業もかなりの賄賂を使っていることだろう。ところがアメリカがこうして企業に対して規制を行うとどうなるか。競争力が低下して中国進出が不可能になってしまうのである。商品の性能や価格などで勝負できない中国で、賄賂という武器を失うことは事実上の撤退宣言に等しい。さて、この規制を米企業はどのように受け止めるのだろうか。
オレが期待するのは、日本企業がこれによって有利になることと、賄賂を受けた中国の政府高官が名前をどんどん暴露されることで中国の人民が反政府デモなどの運動を広げることである。中国の民主化は世界で最も困難なことの一つだが、この規制強化がそのきっかけになれば意義があるかも知れない。それにしてもオバマ政権は何を考えてるのだろうか。この迷走ぶりにオレはいつも首をひねるのである。
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