2011年02月18日(金) |
北方領土は外交的敗北の一例である |
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島国の日本にとって、領土というのは固有のものだという感覚が根強い。しかし、陸続きでしょっちゅう戦争したり侵略したり支配被支配の関係が発生しているヨーロッパでは、そもそも「固有の領土」という概念がないのである。日本人はそのことに気がついているのか。
オレはこの日記で何度か「ロシアは日本が戦争に負けた時に北方領土を強奪し、避難民を虐殺した」ということを書いた。日本政府が「返せ!」と主張するのもその取得のいきさつの理不尽さゆえである。しかし、ロシアの立場は「平和条約締結後に返還(?)」という昔の方針から、「戦争に勝って手に入れた土地」という主張に変わっているのだ。それなのにいつまでたっても日本政府の主張は「固有の領土」である。国境線というのが変化するものであり、昔の国境なんかには意味がないという欧州の歴史的事情を考えれば日本の主張などなんの正当性もないことになる。
たとえば現在のポーランドの位置は、長い間歴史的にポーランドであった地域よりもかなり西よりに移動してしまっている。これはソ連とナチスドイツによって分割占領されていたポーランドが第二次大戦後に再興された時に敗戦国のドイツは領土を割譲させられたが、ソ連は領土を手放さなかったからである。ソ連にとって旧ポーランド領は「戦争によって獲得した土地」なのである。その戦争の中で捕虜となった多くのポーランド軍将校が虐殺されるというカチンの森事件も起きた。ポーランドはその土地に対して返還交渉を起こすこともなく、そのまま国境線は確定してしまっている。
ソ連に占領された旧ポーランド領の土地と、日本が固有の領土であると取得する国後、択捉といったいどこが違うのか。ロシア人の感覚ではどちらも同じである。ポーランドは何にも文句を言ってこなかっらのに、この東洋のわからずやの島国が何かケチをつけてきやがったぜ……というところだろうか。日本がいくら「固有の領土」と主張してもそんなものは西欧の価値観から言えば「なにそれ?」という程度のレベルなのである。たとえ先祖代々住んできた土地であっても、そこに力の強い強盗がやってきて家を乗っ取られたらもう終わりなのである。そこで抵抗して戦っても殺されるので逃げ出すしかない。かくして固有の領土はいとも簡単に他国のものになるのだ。
日本が北方領土の主権を回復するチャンスがあったとすれば、それはまだシベリア抑留者が大勢いたころだろう。その非人道性と国際法違反を強く訴え、アメリカやイギリスと連携していればソ連はあっさりと「抑留問題を不問にする代わりに領土を返還するか否か」という交渉ができたはずである。しかし、そんなことを思いつくような賢い者は当時の外務省にはいなかった。日本政府がそうして北方領土を放置してから65年がすでに経過した。多くの入植してきたロシア人が国後、択捉で過ごすようになった。いくら取得過程に問題があったとしても、それはとっくに過去の話である。今更日本政府が交渉を希望しても「そんな昔のことをまだ行ってるのか馬鹿」とロシア人は思ってるだろう。「固有の領土」なんてものはヨーロッパにはもともとないのだから。そんなコトバを出されても困るのである。
「北方領土」はもう二度と返ってこない。オレはそれを断言する。もはや交渉できる余地など全くないのである。ましてや菅直人という稀代のボンクラ総理にこの局面を打開する力などあるわけがないのだ。
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