2011年01月10日(月) |
切符はこっちの自販機で買いましょう! |
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JRには昼特きっぷという回数券がある。1セット12枚で販売されているがもちろん普通の回数券のように1枚単位で使用可能である。使用できるのは平日10時〜17時と土・日・祝日及び年末年始(12/30〜1/3)である。途中下車や乗車区間変更は不可で有効期間は3カ月となっている。たとえば京都→大阪間の場合、普通運賃は540円なのだが、この昼特きっぷは12枚で3670円で売られている。一枚あたり306円だ。もしも3ヶ月以内に同じ目的地に6往復する予定があるのならぜひともこの昼特きっぷを使うべきだ。また人数が6人以上で往復する場合もこの昼特きっぷが便利なのである。
オレは年に何度か生徒を引率して滋賀県に出かけることがあるのだが、そのときに少しでも生徒の負担を軽くするためにこの昼特きっぷを利用している。ところが必要な数がきっちり12の倍数となるとは限らないわけで、必要な枚数だけ欲しいオレは金券ショップを利用する。そこでは一枚330〜360円くらいで売られているのだ。金券販売業者はこの昼特きっぷをJRの窓口で大量に購入して、それを転売するだけで利益を上げられるのだ。ただ、オレがその昼特きっぷをばら売りで入手したくても、たいていの金券ショップは休日や夜は閉まっているために手に入れるのがちょっと面倒なのであった。
昨年の夏、オレは東京に行くために梅田の金券ショップに出かけたのだが、ちょっと時間が遅かったせいか、もう店のシャッターは降りていた。しかし店の前には金券販売の自動販売機が設置されていて、そこで新幹線の回数券をそれも他の金券ショップよりもちょっと安く入手できてかなりラッキーだったのである。会社関係の方が多いのか、ちゃんと領収書も同封されていたのであった。
自販機で買える=24時間購入OK ということなのだが、この自販機が最近どんどんと京阪神のJR線の駅前に堂々と設置されている。最初にオレが目撃したのは膳所駅前だったが、その後阪和線の百舌鳥駅前にも置かれているのを発見した。朝日新聞にもその琴に関連する記事があった。
近距離きっぷもお得 駅前に自販機続々 大阪−神戸間 2011年1月9日
阪神間のJRの駅前に、近距離のきっぷを割安で買える自動販売機が続々と登場している。12枚で1組の「昼間特割きっぷ」に目を付けたチケット業者がマージンをとってバラ売りするようになった。中には、わずか4台で年間約2億円を売り上げる業者も。「できれば正規料金で……」とこぼすJR西日本だが、法的な問題はなく、駅前の「商売繁盛」になすすべがない。
兵庫県西宮市のJR甲子園口駅改札から20メートルほどのロータリー沿い。平日午後、「格安JR券」と大きく書かれた自販機の前に並んでいる人たちがいた。
西宮市の女性(55)が30並ぶボタンのうち「甲子園口⇔三ノ宮・元町 190円」を押した。駅の窓口で買うと1枚290円。100円安い。12枚1組の昼特きっぷなら1枚あたり約158円。それよりは高いが、親族の家から勤務先に行くのは月に2、3度。そんな時にこの自販機は魅力だ。女性は「駅員さんの目前で後ろめたい気はしますが……」と改札口に目をやった。
自販機でバラ売りしている昼特きっぷは、平日の日中と土日・祝日に使える回数券。3カ月の有効期間内に使い切らなければ、残った分だけ割安感がなくなる。自販機を設ける古物商「HKコーポレーション」(同県芦屋市)の小坂博美社長(59)はここに目をつけ、JRから買った昼特きっぷに約9%のマージン分を上乗せし、5年前からバラ売りを始めた。
甲子園口以外でも立花(同県尼崎市)、芦屋(同県芦屋市)、住吉(神戸市東灘区)に各1台を置き、午前6時〜午後9時半に売る。4台の2009年度の売り上げは約1億9800万円に上り、約1800万円のもうけがあるという。1台約800枚のきっぷを収容する自販機が品切れとならないよう、小坂社長と社員の2人で朝夕の2回、補充して回る。
「ジャパンギフトサービス」(高松市)が置く摂津本山駅(神戸市東灘区)と北新地駅(大阪市北区)の自販機も売れ行き好調。同社の上西頌二(しょうじ)常務(67)は「自販機に詳しい飲料業者と情報交換しながら設置を増やしたい」。自販機を開発・販売する「エヌ・ケー・ジャパン」(名古屋市)の中山隆弘代表取締役(36)によると、きっぷの自販機は8年前に製造を始め、関西方面に約120台出荷。今は全国から注文が相次いでいるという。
兵庫県警によると、こうした販売方法には法的問題はない。他人を介して入手した金券の販売は古物営業法に基づく営業許可があればできる。また、販売数が限られるチケットなどを公共の場所で販売すれば、県迷惑防止条例で禁ずるダフ屋行為に抵触するおそれがあるが、自ら買ったものを公共用地以外でバラ売りすることに規制はない。今ある自販機も私有地を借りて設置されている。
JR西日本広報部は「駅の窓口で正規料金のきっぷを買っているお客さんと不公平感があるため、あくまでもJRの窓口で所定の金額で購入することをお願いしたい」としている。(五十嵐聖士郎)
これまでは「わざわざ金券ショップに出向いて事前購入する」という手間が必要だったわけだが、駅前にこうして堂々と自販機が置かれていると、その手間が不要である。つまり、正規のきっぷを券売機で買う感覚で、割安きっぷがその場で買えるのだ。しかも安いのである。こういうのがあれば誰が正規料金など払うだろうか。オレなら迷わずにその金券ショップの自販機を使うだろう。
JR側の「あくまでもJRの窓口で所定の金額で購入することをお願いしたい」というくだりには笑ってしまったのである。だって、基本的に関西人はみんなケチだ。同じ駅まで行けるきっぷを一方は540円、もう一方は350円で売っていたとして。わざわざ高い方を買う人というのは「駅の外の自販機に安いきっぷがあるのを知らない」人だけである。不公平云々と言われても、だったら何が公平なのかと言いたいのである。情報を持つ人と持たない人がいて、持つ人が得をするのは至極当たり前の市場原理である。
ただ、心配なのはこのようなきっぷの自販機が窃盗犯に狙われないかということである。自販機の中には現金と、現金同等の価値があるきっぷが大量に眠っているわけだ。夜のうちに機械ごと強引に持ち去ってしまうような犯罪は起きないのだろうか。あのATMの機械さえも重機で破壊して持ち去るくらいである。こんな小さい自販機ならやすやすと持ち去っていくのではないかとオレは危惧するのだ。そのような悪質な事件が起きないことと、JRがこの状況に反発して何らかの規制を打ち出すことの両者をオレは恐れているのである。
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