2010年08月29日(日) |
教員を増やすのはいい、でも待遇もよくしないと・・・・ |
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行政改革の流れの中で公務員の削減が常によきことのように語られているが、その公務員の中でもかなりの比率を占める教員や警察官を減らすことはいけないことであるとオレは思っている。むしろ増やすべきだろう。不景気の中で新たな雇用を生み出すとしたら、教員の定数増はかなり効果があるのではないかとオレは思うのだ。ただ大事なのは多くの優秀な方々が教員を志望するだけの待遇を用意することである。大阪府みたいに給料を減らして待遇を悪化させながら「教員の質を高めたい」なんていうのはオレに言わせれば「あほか!」としか答えられない。今、日本で一番教員採用試験が易しいのは大阪府だという。すぐれた教員確保ということよりも「経費節減」を優先させた橋下府政の結果は、学級崩壊の増加につながり、犯罪の増加や治安の悪化という形で将来答えが出るだろう。
文科省のこの教員2万人増計画をオレは支持したい。ただ、非常勤講師という名の期間労働者の増加で達成してもらっても何の意味もない。あくまで教諭の定員増で達成すべきなのだ。
朝日新聞の記事を引用しよう。
小中学校の教員2万人増計画 35人学級実現へ 文科省 2010年8月25日13時8分
公立小中学校でよりきめ細かな指導をするとして、文部科学省は24日、教員を来年度から8年かけて約2万人純増させ、1学級の上限人数を現行の40人から小1と小2で30人、小3〜中3で35人に引き下げる新しい「教職員定数改善計画」をまとめた。
学級の上限人数の引き下げは、45人から現行の40人に引き下げた1980年度以来約30年ぶり。定数改善計画は2001〜05年度の第7次計画以来となる。文科省は近く正式発表し、来年度に向けた予算要求に初年度分を盛り込む。学級の上限人数を定める法律の改正案も来年の通常国会に提出する方針だ。
今回の計画は、2011年度からの6年間で小1〜中3の学級の上限人数を35人に引き下げる▽小学1、2年生については、学校に適応するうえで特に重要な時期と位置づけ、計画の最後の17〜18年度で上限人数をさらに30人まで引き下げる――というもの。国の追加負担額は約400億円になる。
文科省は、少人数学級の推進を求める声が強まって財源を確保できた場合、さらに数万人規模で定数を増やしたいとしている。
少人数学級の推進は民主党が教育政策の柱にすえ、7月の参院選ではマニフェストにも盛り込んだ。ただ、厳しい財政事情で各省庁とも切り詰めを求められており、今回の計画がそのまますべて実現するかどうかは不透明だ。(青池学)
クラスを少人数にし教員一人あたりが担当する生徒を減らすことで、過労死寸前の状況で働かされている現場教員の負担を軽減できることは間違いない。あと、できることなら教員以外のスタッフ、たとえばスクールカウンセラーとか、モンスターペアレント撃退係とか、いじめ監視員とかも学校に常駐させて欲しいのである。給食費催促人とかも不払いの多い仙台市の学校なんかには必要だろう。教員がなんでもやらされてる今の状況を改善するには、別に教員がやらなくてもいい仕事を肩代わりできる存在が必要なのである。教員免許が不要な職種を増やせばそれこそ雇用拡大につながるだろう。子ども手当なんかのくだらないバラマキよりも、そのゼニを使ってこうした雇用拡大と教育環境改善に役立てることの方がはるかに政策効果は高いのである。
なぜ部活動を教員が指導しないといけないのか。今中学校ではどんどん運動クラブが減っているのだ。オレの息子が通った公立中学ではそれこそ運動クラブの選択肢が3つくらいしかない。野球、サッカー、バレーボールの3つくらいしかないのである。僻地で人数の極端に少ない学校は例外として、ある程度の規模の学校なら水泳、体操競技、陸上競技、卓球、バスケットボール部くらいは揃ってないと選択肢が少なすぎると思うのだ。スポーツインストラクターを学校現場に導入し、彼らにいじめ監視員とか給食費催促人とかモンスターペアレント対応も兼務させて常勤職員として雇用すれば教員の負担は激減するだろう。単純に教員を増やすのではなくて、教員がしなくてもいい仕事は教員以外に割り振る仕組みにしていけばいいじゃないか。
オレが文科省の教員増計画を危惧するもう一つの理由は、教員の質の低下である。教員採用試験の競争率が低下するとどういう現象が起きるかというと、生徒にちゃんと教えるだけの学力に欠ける人まで合格してしまうということである。単純に今の待遇のままで合格者だけを増やすという方法で定員増をはかれば確実に質が低下する。だから待遇をよくして志願者増をまず実現し、その上で合格者数を増やしていかないといけないのだ。
国会議員の定数や報酬は少なくてもいい。地方議員の数ももっと減らすべきだ。200歳の人の戸籍まで放置してるような能なしの行政職の公務員も減らしていい。しかし、教員定数は減らすべきではないのだ。それは国家の根幹に関わる問題だからである。少数のエリートを養成するためではなく、国民の平均的な学力水準を引き上げるためにこそ教員増は機能しないといけないのである。18歳人口は激減なのに入学定員を増やした結果、今の大学生の平均的学力水準は驚くほど低下してしまった。昔に比べて馬鹿な大学生の比率が上昇したのである。就職率が下がったことの背景には「どこの企業も受け入れてくれないような役立たずの学生」が大量発生していることもあるだろう。それをなんとかするために小中学校の学級人数を減らして、義務教育から立て直そうとすること自体は間違っていない。ただ、教員の質の低下を招かずにどうやって教員増ができるのか。オレはそれを危惧しているのだ。
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