江草 乗の言いたい放題
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2009年12月01日(火) みなさん、家を買うのをやめませんか?        ブログランキング投票ボタンです。いつも投票ありがとうございます。m(_ _)m 携帯用URL by Google Fan

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 日本人の金融資産がなぜ投資に向かわないのか?それは簡単なことで、日本で一番有利な金融商品というのはすなわち「土地」だからである。そんな有利な商品があれば、投資信託や株式投資や外貨預金というリスクのある投資が敬遠されるのも当然だ。値上がりを続けてるかぎり、土地というのはノーリスク・ハイリターンという意味で金融商品の王様だった。しかし、バブル崩壊後土地価格が下がるという異常事態が発生し、なんとか地価の値下がりを抑えようとして行われたのが規制緩和の中でのマンションの乱立だった。マンション用地として活用されることで都心の土地は再び高騰したのである。多くのサラリーマンが住宅ローンの奴隷になってるという現状を見たとき、オレはある仮説を思いつく。

 戦後の農地改革は、大地主の所有する土地を小作人に分け与えることだった。その結果、小作料という形の搾取はなくなったわけだ。しかし、大地主たちの「土地を持ってるだけで勝手に入ってくる不労所得が欲しい」という願望をみごとに叶えたのが賃貸住宅であった。アパートや賃貸マンション経営といった形で地主たちは不労所得を手に入れたのである。こんなに空き家が多いのに家賃が下がらないのはなぜか。みんなで談合して適正価格になるのを妨げているからである。本来ならもっと安くならなければならない公営住宅やUR(都市公団)の賃貸住宅の家賃水準がかなりの高額でしかも競争率が高いため、民間の賃貸住宅も値下げしないでやっていけるのだ。犠牲になってるのは入居者だけである。「民業を圧迫しない」という大義名分のおかげで、高い公営住宅に引っ張られて全体の家賃水準が高止まりしてるのだ。貧困問題の本質はこんなところにも潜んでいる。その高い家賃を払わせることで、生活保護費は実は家主たちへの援助金みたいなものに化けるのである。

 確かに小作料を納める必要はなくなった。しかし、賃貸住宅で家主に払う家賃は小作料みたいなものである。そして「持ち家」を手に入れたとしてもその家はローンを完済するまでは完全に自分のものにはできない。持ち家のようでありながらも、我々は住宅ローンという形で銀行の奴隷となっているのである。戦前の小作制度とどこが違うのだろうか。どちらもその理不尽さに疑問も抱かずに受け入れてるわけで、オレの目には全然違わないように見えるのだ。

 賃貸住宅の入居者であるか、あるいは住宅ローンを払ってる最中の我々は、この理不尽な搾取にどうやって応えればいいのか。それは一斉に家を買うことをやめることである。ある日を境にして、日本中で全く家やマンションが売れなくなることを想像してみようじゃないか。そうなるとマンションデベロッパーは次々と破綻するだろう。半年や一年耐えてから一気に倒産しまくるわけで、銀行は返済金がわりに不良在庫となったマンションを叩き売りするしかなくなり、壮大な値崩れが起きる。でもまだ買ってはいけない。土地を売ったり貸したりして不労所得を手に入れることが当然だと思ってる連中に「ゼニが入ってこない恐怖」をとことん与えてやるのだ。はっはっはざまあみろなのである。

 2年くらいの間、家が全く売れないという異常事態が発生すれば日本経済はかなり混乱しているだろう。そしてその異常事態を解消する唯一の方法は、公営の賃貸住宅を増やして家賃も安くして、民間のぼったくりアパートやマンションに住む人を横取りすればいいのである。それは民業圧迫ではない。暴利をむさぼる悪徳家主の駆逐である。こんなに空き家が多いのになぜ家主たちはダメージを受けないのか。それはあまりにも家賃水準が高いからである。入居率が減っても十分食っていけるような莫大な収入をすでに得ているので、空き家が多少増えても問題ないのである。

 マイホームを手に入れることでぼったくり悪徳家主から訣別できたと思ってはいけない。今度はローンを支払う先の銀行がそのぼったくり家主にとって代わっただけのことである。我々が搾取されるという構図は不変なのだ。ではどうすればいいのか。それがオレの提唱する「住宅購入2年待て!」計画なのである。ただ2年間でいい。弱い国民が一致団結して家を買うのを我慢すれば、土地も家も信じられないくらいに安くなる。そして開発した業者も資金を提供した銀行もみんなつぶれてるだろう。

 小作人はほとんどいなくなった。しかし、住宅ローンという新たな小作料を搾取するという形で地主の役割が銀行に移っただけである。ローンの奴隷となってるすべての国民は、戦前に「小作人」と呼ばれた人たちとなんら変わらない。そしてもっと下にはその家すら手に入れられない人々が居る。

 もしもオレがネット上でこの「2年間住宅購入延期のススメ」を声高に主張し、多くの賛同者を得て実際に国民の多くが家を買うことをやめてしまったとしたら、銀行や不動産会社がつぶれまくるだろう。しかしその後にやってくるのは今よりもきっとよい社会のような気がする。不労所得を排除すれば、後に残るのは正当な労働の対価としての収入だけになるからだ。真っ当に身体を動かして働くよりも土地持ちで家賃収入なんかをもらってる方がはるかに実入りがいいという世の中の不条理を無くしたいのならば、家なんか買わないことだ。

 かつて家にはお母さんがいた。遊びに行った先のどこの家でもお母さんが家にいた。共働きなんて家はほとんどなく、主婦は家で子どもの世話をしているものだった。ではなぜ共働きしなければならなくなったのか。それは家賃が高騰し、住宅ローンを背負わされて夫一人の収入ではやっていけなくなったからである。江戸時代の女性たちは夫一人の収入でちゃんと食べていけるものだった。子どもたちからお母さんを奪って幸せな家庭を破壊していった戦後の歴史は、国家の間違った住宅政策のもたらしたものである。

参考文献
居住の貧困 (岩波新書)
格差社会の居住貧困―住宅白書〈2009‐2010〉
住宅貧乏物語 (岩波新書 黄版 77)


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