2009年06月15日(月) |
高速道路1000円の明暗 |
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世界の流れは温室効果ガスの排出量を減らし、環境負荷を減らすという方向である。しかし日本だけは別だ。景気浮揚が最優先とされ、自動車産業の不振を打開するためにクルマをじゃんじゃん売ろうとして、なんと「高速道路は週末1000円にするからじゃんじゃんクルマに乗ってください」というひどい政策を打ち出してきたのである。せっかく公共交通機関やフェリーに分散したドライバーたちが、またクルマに戻ってきたのである。おかげで新幹線の乗客は減るわ、フェリーは廃止になるわ、混雑するわで大変なことになったのである。毎日新聞の記事を引用しよう。
高速道料金:「千円効果」さっぱり、近場の観光地素通り
高速道路料金の「休日1000円」が導入されて2カ月余り。観光客増を狙った景気対策として始まったが、大都市から近場の観光地は素通りされるなど、明暗が分かれた。フェリーや鉄道、長距離バスは利用客が大きく減少。廃業に追い込まれたフェリー会社もあり、マイナス効果も表面化している。【石原聖、平井桂月】
日本観光旅館連盟によると、高速割引が導入されて増えたのは、マイカーで遠出して宿泊せずに日帰りする客で、東京などに近い観光地からは「素通りされた」と恨み節が聞こえるという。
伊豆・箱根の旅館約130軒でつくる連盟が5月12日に開いた総会では「観光客が減った」という声が相次いだ。割引対象のアクアラインがゴールデンウイーク(GW)期間中に交通量が2割増になったことも引き合いに出され、「房総に客を取られてしまった」と悲鳴が上がった。
高速道路は伊豆半島の先端までは通っていない。静岡県は県道路公社が運営する有料道路「伊豆スカイライン」などを使った客に、旅館などで片道運賃をキャッシュバックするサービスで対抗しているが、効果は薄いようだ。
JR東日本が企画した草津温泉(群馬県)ツアーはGW期間中、利用者が前年同期比82%の大幅減。しかし、群馬県によると同温泉の宿泊客は13万9305人と逆に同0.5%増えた。鉄道利用客がマイカーに流れたことがうかがえる。
長野県はGW期間中、善光寺(長野市)の御開帳で前年比約1.8倍の観光客でにぎわった。しかし、隣の山梨県では、県内のインターチェンジを乗り降りする車の台数が前年同期比3%減った。「ここは通過点に過ぎず、割引効果はない」(県北東部の観光施設)との嘆きも聞こえる。
フェリーはさらに深刻だ。広島県と愛媛県を結ぶ呉・松山フェリー(呉市)は5月26日、6月末で廃業すると発表。4月の利用台数は乗用車が約1640台と昨年同月比で半減し、トラックは40%減の1760台だった。
JR東日本は5月の鉄道営業収入で、中長距離収入が前年同月比82.6%と、集計を始めた92年以降で最大の減少率となった。清野智社長は「国全体でCO2(二酸化炭素)をどう減らすか考える中でいかがなものか。公益的な交通機関が自信を持ってやっていけるような方法を考えてほしい」と国土交通省を批判した。全国約2300の事業者が加盟する日本バス協会もGW期間中、高速バスが渋滞に巻き込まれ定時運行ができなかったなどとして、国交省に改善を要望する。
せっかく1000円で遠くまで行けるのだから、近場ではなく遠くへ行こうというのは自然なドライバーの心理である。どこまで行っても同じなのだったら、やはりせっかくの1000円均一を有効に活かしたい。走らにゃソンソンというわけで、余計に遠出することになるのである。この無駄は大変なものである。
山梨県の観光客が減って長野県が増えるというのもよくわかる。首都圏から中央高速に乗った場合、山梨県内で降りてしまうともったいないので、どうせならと長野県まで行ってしまうのである。結果的に近場の観光地の空洞化現象が起きるのだ。
JR東日本の旅客収入の落ち込みは特に顕著である。20%近く減ったことにオレは大いに驚いたのである。そんなに多くの人が鉄道→クルマというふうにシフトしたのだ。しかし、そんなことを起こしてしまっていいのか。
公共交通機関の発達というのは、これまで徒歩だった人を鉄道やバスに取り込んでいく流れである。それが急激に減ってしまった・・・・つまり、鉄道からクルマにシフトした人が大量に出たということなのだ。
鉄道なら一人ずつ料金がかかるが、クルマの場合は定員内は何人乗せてもほとんど輸送コストは変わらず、人数が多ければ多いほど一人当たりは安くなる。そういうわけでどんどんクルマに流れてしまうのも仕方がない。大阪から東京に行くのに、ガソリン代+高速代とうふうに考えれば一人で移動すれば絶対に損だったわけだが、高速代がかからなくてガソリン代だけなら、オレの三菱FTOの場合大阪−東京間は6000円くらいで行けることになる。これなら新幹線よりも安い。もちろん運転による疲労があるので単純な比較はできないのだが。それにしても安いのである。
千葉県ではアクアライン経由の観光客が増えたということである。巨額の建設費をかけて作ってはみたものの、とうてい建設費を償却できるあてがないアクアラインも、関西人のオレに言わせれば「走ってナンボ」である。世界の流れに逆行し、京都議定書の精神などどこかにふっとんでしまった麻生太郎のやぶれかぶれの政策、次に出てくるのはどんなことなのだろうか。国の費用負担による銭湯の無料化なんてのはどうだ?
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