2009年06月08日(月) |
電気自動車は果たして普及するのか? |
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6月6日の日記「電気自動車はクルマ社会を変えるか?でオレは電気自動車普及への期待を書いた。しかし、まだまだ越えなければならないハードルがいくつか残っている。そのうちの一つが、レアメタルの問題である。大容量のリチウムイオンバッテリーに必要なリチウムが不足する可能性だ。
原材料価格の高騰がその産業に大打撃を与える例としては、昨年の石炭や鉄鉱石の価格高騰が新日鐵や住友金属などの鉄鋼メーカーに与えた影響と、鉄鋼価格の急騰を思い出す。あの時、鉄鋼の大口需要家である自動車業界や造船業界は大きなダメージを受けたのである。鉄鉱石のように埋蔵量的にはかなり余裕のあるものでさえ、投機の対象になって価格が高騰すれば大きな影響がある。アメリカの景気が徐々に回復して再び原油高になってきている今、高性能の充電式電池の原材料として重要なリチウムが投機の対象になることは十分に考えられる。
リチウムの産出量は年間で2.4万トン程度だが、もしも日本を走ってる5700万台の自動車をすべてリチウムイオン電池搭載の電気自動車にした場合、必要なリチウムは70万トンくらいになる。そんなに大量のリチウムイオン電池は作れないのである。ということは、今は量産効果が出てかなり値下がりしてきたリチウムイオン電池が、原材料の不足という状況に直面してある段階から値上がりし始めるという可能性がある。
電気自動車を普及させるには他にもクリアすべき条件が2つある。それはコストと性能である。低価格化をいっそう推し進めて、今一台500万円近い価格の車両本体価格を1/5くらいまで下げてガソリン車並の100万円以下にすることである。そんなことが果たして可能なのだろうか。
性能も今のままなら長距離ドライブには不十分である。せめて航続距離は400キロは欲しいところである。三菱アイミーブはフル充電で160キロ走れるそうだが、その性能ではオレが日帰りドライブで京都に行って帰ってくるのには足りない。途中で充電しないといけないわけだが、街中に充電スタンドがあるわけでもない。
中国の比亜迪汽車という自動車メーカーは、2010年にプラグインハイブリッドカーの販売を予定している。価格は235万円とかなり安く航続距離も500キロ近いがこれはハイブリッドカーであり純然たる電気自動車ではない。もしもこれが100万円くらいで買えるのならかなりの脅威だが、その価格ではトヨタやホンダの敵ではない。中国製の携帯電話のバッテリが破裂して死者が出るくらいだから、BYD製(メイド・イン・チャイナ)のバッテリを搭載する比亜迪汽車のプラグインハイブリッドカーのバッテリにはかなりの不安がつきまとう。もしも爆発がおきれば携帯電話とは比較にならない大きな被害が発生するだろう。
ハイブリッド車を作っているトヨタやホンダは、現在のハイブリッド車の次に来るものとして燃料電池車の研究も継続している。しかし、現行の燃料電池車はリチウムよりももっと高価な白金を大量に使うのである。燃料電池車一台当たり100g程度の白金が必要だという。もしもそんなのが大量生産されれば、世界中の白金はたちまち使い果たされてしまうのである。代替品を用意しない限り燃料電池車の普及なんて無理に決まってるだろう。
そうして考えれば、オレがこの日記で二日前に書いた「電気自動車の普及」にはかなりの困難があるということがわかるのである。果たして日本の自動車産業はこの困難をこれから克服していくのか。あるいは克服できずに壊滅するのか。アメリカのビッグ3に引き続いて今度は日本の自動車メーカーが崩壊するのか、それは現時点ではなんとも言えない。ただ、限りある資源である化石燃料を浪費して走ってる今の状況が永遠に続けられるわけはないのである。オレがクルマをもう運転できないような老人になった頃に、マイカーとしてポルシェやフェラーリのようなスポーツカーを乗り回す自由が残されているだろうか。そんな未来のことをオレはいろいろと想像してしまうのだ。
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