2009年05月15日(金) |
もう代返はできないのか・・・・ |
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京都大学というとかつては単位が取りやすいことで名高かったが、それでも英語や独語、体育実技の授業の中にはきちっと出席を取るものもあった。サボりたい学生の中には友人に代返を頼む者もいた。まじめなオレはよく代返を引き受け、声色を使い分けて返事をしたものである。3、4種類もの声を使わなければいけないときもあった。高校で演劇部に所属していたことが大いに役立った。
その代返という文化は、今のハイテク化された大学教育の中では完全に絶滅したとオレは思っていたのである。まさかその文字を新聞記事の中で、しかも先進的な教育をしているはずの青山学院大学で聞くとは思いもよらなかったのである。毎日新聞の記事を引用しよう。
青山学院大:学生らにアイフォーン3G配布…代返難しく 2009年5月14日 21時18分
青山学院大は14日、昨春開設した社会情報学部(神奈川県相模原市)の全学生と教職員計約550人に、米アップル社製の携帯端末「iPhone(アイフォーン)3G」を配布すると発表した。利用方法のうち、学生にとって脅威になるのがGPS(全地球測位システム)機能が付いたアイフォーンを使った出欠確認。学生の送信場所を大学側が把握できるため、本当に教室にいるかどうかが即座に判明。友人に返事してもらったり、出席カードに記入してもらったりする「代返」ができなくなる。
アイフォーンを販売しているソフトバンクモバイルと同大学が同日、「モバイル・ネット社会の教育・研究」に関する基本協定を締結。15日以降、在籍する1、2年の学生約530人にアイフォーンを無償で配布し、今秋以降本格的に運用を始める。同社によるとアイフォーンを大学で一斉に利用するのは初めて。基本料金は大学側が支払うため、授業で利用する分には学生の負担はない。
大学はアイフォーンを出欠確認に利用するほか、簡単なテストやアンケートの回答、リポート提出にも通信機能を活用する計画。また、授業の動画を録画配信し、欠席した学生や復習したい学生が改めて見ることもできるようにする。
友人にアイフォーンを預けてしまえば、出欠確認の「代返」は可能。ただ、大学は「メールなど個人情報が詰まった携帯電話を他人に貸すことはしないはず」と話し、出席率アップに期待を寄せている。【井上俊樹】
さて、この記事の中でオレが気になったのが「出席率アップに期待を寄せる」という部分である。授業料というゼニをすでに学生は払っているわけであり、それをあえてサボるのは学生の側の自由意志ではないのか。もしも授業に出席するだけの価値があると思えば自分から進んで出席するだろうし、そうでないと思えばサボってデートしたりマンガ喫茶で過ごしたりするだろう。そうやって無理に学生を出席させた授業に果たしてそれだけの魅力があるのかという疑問なのである。
こういう実験を行ったのは「社会情報学部」という特性ゆえに何か変わった企画を取り入れてみたかったからなのだろうか。それとも本当に出席率低下に悩んで、それを解決するためにやってみたのだろうか。
それ以外にもオレには気になることがある。このアイフォーン3Gの基本料金は大学が負担するということだが、卒業後も引き続き使いたいというときはどうすればいいのか。名義変更してそのまま使い続けることが可能なのか。いやその前に、学生の多くはすでに自分の携帯電話を持っているはずである。となると新たにアイフォーン3Gを配布してもらったところでそれをメイン携帯にするとは思えない。それこそ「出欠確認用」にしか使ってもらえず。一人で何台ものアイフォーン3Gを友人から預かって、代返係になる学生がきっと現れるような気がするのである。
またそのGPSの精度が、所持する学生が教室内に確かに存在するかそれとも教室前の廊下にいるのかを区別できるのか。もしも廊下にいてもOKだったら、代返係は身の安全のためにすべての代返操作を教室外で行うことも可能なのである。
わざわざゼニを使って、それでやってることと言えば実は子供だましのようなくだらないことにも思えるのである。もっとも今の時代、教室にいなくてもどこでも勉強はできるような気がするし、それこそ授業内容をネット配信することで出席することの必要性をなくすことの方がより高度なことのようにも思えるのである。通わなくてもいい大学の方がオレには価値あるように思えるのだ。アイフォーン3Gで学生を教室から逃がさないようにしようと言うこの実験はどんな結果に終わるのだろうか。
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