江草 乗の言いたい放題
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2009年01月25日(日) 高速道路料金を下げればどうなるのか?        ブログランキング投票ボタンです。いつも投票ありがとうございます。m(_ _)m 携帯用URL by Google Fan

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 高速道路料金の深夜割引をまだオレは使ったことがない。深夜に走ることがないからである。しかし、もしもまだオレが大学生で時間がたっぷりあって、クルマで旅行するのが大好きだったならば、その割引をフルに活かして「移動は夜」というふうにしていたと思う。もっとも大学生当時のオレは高速代を浮かしたくて一般道路を深夜に走ることが多かったのだが。国道2号線を走って九州へ行くとか、国道8号線を走って北陸・東北へ行くとかである。

 現在行われている高速道路の深夜割引を運送会社のトラック運転手が使った場合、その浮かした分は自分のフトコロに入るとオレは思っていたが、どうやらまちまちのようである。中には必ず深夜割引を使えと指示している会社もあるとか。読売新聞の記事でその内情を改めて教えられたのである。

ETC深夜割引にトラックが行列、目立つ路肩の違法駐車
 高速料金が半額となるETC(ノンストップ自動料金収受システム)の深夜割引を受けようと、料金所手前で時間調整しているのだという。背景には、経費を少しでも削りたい運転手の厳しい現状があった。
          ◇
 19日深夜の東名高速道路上り線「海老名SA」(神奈川県海老名市)。大型車約100台の駐車スペースは満車で、駐停車が禁止されている出口の加速車線の路肩に十数台の大型トラックが列をなしていた。先頭に駐車していた運転手の男性(62)は「危ないのはわかっているけど。怒られたら出て行くよ」と語った。
 「割引開始を待っている。だいたい8時間ぐらいかな」。翌20日、同SAの駐車スペースで、茨城の運送会社に戻るという運転手の男性(55)がそう言って時計を見た。25キロ先の東京料金所で高速料金が半額になる午後11時まで1時間あまり。岐阜の得意先から茨城の運送会社まで昼間の正規料金では片道1万6950円だが、深夜割引を使えば8920円で済む。
 割引で浮かせた高速料金の50%は会社から月収30万円の給料に上乗せしてもらえる。それだけで月6〜7万円。3世代8人暮らしの家計には、ばかにならない額だ。昨年秋から徐々に仕事が減り始めた。「本当は待たずにさっさと家に帰って、2人の孫と遊びたい。でも仕事があるうちに少しでも稼がないと」と言う。
 海老名SAで待機中だった運転手の男性(60)の場合、給料の中から高速料金を払うため、正規料金で走るとその分手取りが減る。男性は「一般道を使えば、節約できるけれど、睡眠時間が削られ体がもたない。深夜割引があるから運転手を続けられる」と打ち明けた。
          ◇
 深夜割引を待つトラックの車列は割引率が5割に拡大された昨年10月以降、都市部周辺の高速道路で目立つ。中日本高速道路によると、東京料金所に近い海老名SAや港北パーキングエリア(PA)では、30台以上のトラックが路肩に違法駐車する「異常事態」という。
 一般のドライバーからは「本線に入るため加速しようにも、トラックで車線が狭まり、ぶつかりそうになる」と不安の声が上がる。神奈川県警は平日深夜の巡回を増やし、一晩で約60台を移動させることも。中日本高速道路の長谷川周三広報担当部長は「高速料金を削りたい気持ちはわかるが、危険な行為。事故が起きてからでは遅い」と訴える。
 一方、全日本トラック協会によると、2008年に倒産した国内の運送会社は、前年の倍以上となる333社。景気悪化の荒波にさらされる業界にとって、深夜割引を利用できる高速料金は、格好の経費削減対象になっている。
 兵庫県三木市の運送会社は昨年秋以降、運転手30人に「会社のために深夜割引を使え」と厳命している。受注は減り続けているが、月額700万円を超えていた高速料金は割引利用で約450万円まで圧縮でき、社員の給料カットを回避する一助になった。運転手60人を抱える名古屋市の運送会社は、「深夜割引が始まるまで料金所を出るな」と指示しているという。幹部は「生き延びるためには、違法駐車でも待つしかないんだ」と話した。(山田正敏)(2009年1月25日03時10分 読売新聞)


 料金支払い時に深夜割引が適用されるまでの時間を稼ぐためにSAで待つわけだが、SAの駐車スペースがいっぱいになってるので路肩で待つのである。オレは「路肩で待つ」ことが駐車違反して注意を受けることよりも、「SAの駐車スペースが足りない」ことの方が問題であると思うのである。なんのためにSAがあるのか。それは運転中に疲れたドライバーが休息を取ったり食事を摂ったりするためであり、安全確保のために不可欠な施設である。その施設のキャパシティが足りないのなら、それは高速道路を整備する側の問題であり、深夜割引によって時間待ちするトラックが増えてSAやPAが混雑するのなら、その解消のために駐車スペースを増設すべきではないのか。オレはそう思うのである。ここでの問題点は、利用するクルマの台数に比して、あまりにも駐車スペースが足りないことなのではないか。

 そしてインパクトにおいてはこの深夜割引どころではないのが第二次補正予算に盛り込まれている地方の高速道路の1000円均一料金である。これが実施されればどうなるのか。それを利用するためにどんな混乱が起きるのかとオレは気になるのだ。もちろん平日に一切運送会社のトラックが走らなくなるということはないだろう。指定された納期に運ばないといけない時は平日・休日を考える余裕はない。しかし、金曜や月曜に移動する場合、時間を調整してそれを土日にする動きは起きるだろう。その結果週末の高速道路が異常に混雑するという現象が起きるかも知れない。どうやってそれを防げばいいのだろうか。混雑して大渋滞が発生すれば今度は逆に時間が余計に掛かるようになってドライバーたちの負担は増すのである。こうしたマイナス面を何も考えずに麻生首相はこの「1000円均一料金プラン」を出してきたのだ。

 それからもう一つ心配なのは、1000円均一料金というのは途中下車しない場合であり、途中下車しないでできるだけ遠くまで行くためにはSAの役割がさらに重要になってくるのである。利用者数に比べてどちらかというとキャパシティ不足の状況にある今のSAの貧弱な施設をそのままにして、料金の割引だけを行った場合どのような混乱が起きるのか、オレはそれを不安に思うのだ。

 地方の高速道路の均一料金が実施された場合、それを利用して旅行する人が一気に増加するだろう。

「讃岐うどんを食いに香川に行く!」
「会津に行って喜多方ラーメンを食いに行く」


などというドライブデートもコストがかなり下がるのである。利用者が増えないわけがない。クルマを使う人が増えればCO排出量も一気に増えて地球温暖化を加速することになる。もっとも昨年から落ち込んでいたガソリンの売上高が回復することは一時的には石油業界に寄与するだろうが。

 現実にどんな混乱が発生するのか。何が起きるのか。そんなことをろくに検証することもなく思いつきで次々と政策は実行され、その結果現場の人は対処に苦しむことになるのである。オレはそれを今から憂うのである。


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