2008年12月26日(金) |
マクドナルドが雇ったサクラ |
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もう10年以上前のことだが、大阪・梅田の茶屋町に「まぐろ亭」という店があって、食べ放題のシステムでかなりの人気店だった。そういうわけでオレも行ってみたのだが、回転寿司のレーンにろくなネタが流れてこない。マグロなんか皆無である。ゲソばかり流れてくるので「ゲソ亭」に改名したらどうかと思ったぜ。あと、団子とかどうでもいいものはどんどん流れてきた。他の客が食わないからである。そういうわけでオレは腹を立てて店を出たのだが、店の前には相変わらず長蛇の列ができている。オレは一緒に行った友人と大きな声で「マグロなんか全然流れてないよなあ。」「こんなに並んでてかわいそうや」と文句を言ったのである。「まぐろ亭」が破産して民事再生法での再建を申請したのはその半年後だったか。そんな汚い商売やっていたらつぶれるよ。
なぜ「まぐろ亭」に長蛇の行列ができていたのか。それは「ろくなネタが流れてこないのでなかなか食べられない」ことによって客の滞留時間が長くなり、結果的に席が回転しないということだった。
食べ物屋の中にはこのように「わざとシステム上の欠陥を発生させて客が行列になるようにし、それを一種の広告塔として利用する」という卑怯な店が少なからず存在する。オレが行列のできている店をあまり利用したくないのは、たかが食い物のために並んでまで待ちたくないことと、そんな状態になっているのを放置している店の側の悪意を思うからである。あと、混雑する時間をできるだけはずすという自分の側の工夫も必要だが。
さて、関西では「マクド」と呼ばれるマクドナルドに新メニューが登場した。「クォーターパウンダー・チーズ」というその新メニューは、ただハンバーガーのビーフパティ(牛肉部分)が従来の2・5倍になったというだけである。佐世保バーガーとかが全国展開してくる中で、競争相手に負けないようにと出してきただけであって、そんなばかでかいものは日本人にはなじまない。アメリカ人のように巨大な胃袋を持っていれば別だが、すべての日本人をデブにする気かとオレはこういう商品に対しては批判的だ。ただ、今回の批判はもっと別のことに対してである。それは行列という演出が「やらせ」だったことに対する怒りである。産経新聞のWEBサイトの記事を引用してみよう。
マクドナルドがサクラで行列演出? 新商品先行販売で 2008.12.25 22:37
日本マクドナルドの新作ハンバーガーの近畿先行販売が御堂筋周防町店(大阪市中央区)で始まった23日、同社側が雇ったアルバイトが行列に加わり、商品を購入していたことが25日、分かった。客の長蛇の列が話題になり、同社はこの日の同店の売上高が1店舗としては過去最高を記録したと発表していた。同社は「意図的に行列をつくるつもりはなかった」と説明しているが、消費者らからは作為的な話題作りとの声もあがっている。
先行販売されたのは、ハンバーガーのビーフパティ(牛肉部分)が従来の2・5倍になった新商品「クォーターパウンダー・チーズ」。23日にプロゴルファーの上田桃子さんらを招き大々的にPR。店前には徹夜組も含めた長蛇の列ができ、1日で約1万5000人が来店、1店舗の店舗売り上げ高としては過去最高の1002万円を記録したと発表していた。
同社の説明によると、アルバイトは同店のサービス内容やこの商品に対する客側の反応を調査する目的でマーケティング会社に依頼。この会社が大手派遣会社「フルキャスト」に、キャンペーンスタッフの名目でモニター募集を要請していたとしている。
フルキャストが行ったアルバイト募集は「楽チン!新商品を並んで買って、食べるだけのお仕事!」とし、新商品発売に伴い、支給されたプリペイドカードで、飲食店で商品購入を行う内容。雇用されたアルバイトは約1000人で、このうち約300人がハンバーガーの味や接客などに関して5段階で評価するアンケートに答えていた。時給は1000円だったという。
日本マクドナルド・コミュニケーション部は「モニタリングは“サクラ”ではなく、故意に来店者数を操作する意図はなかった。1000人分の売り上げは50万円ぐらいなので、それを差し引いたとしても、過去最高の記録は覆らない」としている。
一方、アルバイト派遣を請け負ったフルキャストは「あくまで新商品を購入してアンケートに答えるモニタリング調査だった」としている。
25日に同店に客として訪れていた大阪府東大阪市の男性会社員(22)は「話題作りをしようとしたのだろうが、バイトがいたなんて信じられない。お金を払って買ったのがばからしい」と話していた。
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テレビプロデューサーでタレントのデーブ・スペクターさんの話 「マックは安価で量も多く不況に強いファストフードなのだから、こんなことまでして売り出す必要はなかったはず。後から『ギャグでした』と公表するつもりだったら許せるけど、子供にも人気があるんだからやっぱりうそはいけない。マックを愛する僕にとっても非常に悲しい話だけど。それでも僕は行くつもりだけどね」
企業会計に詳しい宮本勝浩・関西大学大学院教授(理論経済学)の話 「モニタリング調査は何十人かを事前に募集して商品を試してもらいアンケートなどに答えてもらうやり方が一般的で、今回のフルキャストの手法は正しい調査とはいえない。1000万円という売り上げを大々的に宣伝しており、かなり作為的で信用を失墜させる。マクドナルドの今後の売り上げにも影響しかねない」
初日1000万円の売り上げで記録更新と宣伝しておきながら、その店に来た客の中にゼニで雇われたサクラが大勢いたのだから実に卑怯なやり方である。しかもそのサクラが並んでることが一つの広告塔であり、集客効果をもたらしたわけでなんと卑怯な戦略なのかとオレはあきれるのである。1万人の来客のうち、1000人は人材派遣のフルキャストを通じて送り込まれた時給1000円のアルバイトだったのだ。このアルバイトたちは、渡されたプリペイドカードを使って飲み食いして、アンケートに答えればいいだけという夢のようなバイトなのである。趙ラッキーなのである。こんな美味しいバイトがもしも存在したら学生時代のオレはどんなに喜んで出かけただろうか。しかし、通常の客としてその店に買いに来た側としてはこんなことは断じて許せないのである。
迷惑を受けたのは他の客である。行列の長さはサクラのせいだったのか。なんでオレはあんなに長時間待たされたんだ。たかがハンバーガーのために並んで待たされたオレの時間を返してくれ!と怒りたくなるだろう。
この件に関する日本マクドナルド側の回答は突っ込みどころ満載である。
「モニタリングは“サクラ”ではない」
「故意に来店者数を操作する意図はなかった」
「1000人分の売り上げは50万円ぐらいなので、それを差し引いたとしても、過去最高の記録は覆らない」
オレはこの言い訳に対して「ふざけるな!」と言いたい。客の中に会社から雇われてタダで食える客がいれば、それはサクラ以外の何ものでもないじゃないか。そんなことするのなら客全員にタダで食わせろ。「故意に来店者数を操作する意図はない」だと。ふざけるな!来客を増やすためにもっとも有効な手段が、行列を演出して「混んでる」という状態を人為的に作り出すことじゃないか。それでも「操作していない」なんてよく言えたもんだぜ。「過去最高記録」は覆らないのか。それはたとえば金メダルを剥奪されたベン・ジョンソンが「筋肉増強剤の効果は0.03秒ほどであり、それを差し引いたとしても自分の世界記録は変わらない」と主張しているのと同じである。サクラを使って出した記録など全く意味がないどころか無効であり、そうやって水増しした成果を大々的に宣伝することで自社株の値上がりを狙っているIR詐欺みたいなものじゃないか。
マクドナルドはジャスダックに上場している。このサクラを使った売り上げ水増しというのは架空の売り上げを計上して利益を水増しする粉飾決算と本質的には同じ行為である。そうしたやり方を行っている企業に対して、投資家保護の立場からもジャスダックは毅然とした処分を行うべきだろう。少なくともこれがお咎めなしということならば、企業は売り上げを水増しすることがやりたい放題ということになってしまう。
こんな卑怯なやり方で客を増やそうとするマクドナルドなんかに行くなよ。少なくともその当日に御堂筋周防町店で長蛇の列を並ばされたすべての客は、そうして自分が待ち時間として失った時間に対して賠償を請求する権利があると思うのである。その日の客が不必要に長時間並ばされた時間に対して、マクドナルド側は誠意を持って賠償すべきである。最低でも待ち時間一時間に付き2000円だ。サクラの時給が1000円ということだからこの迷惑料はその倍額が相当である。
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