2008年12月27日(土) |
エコキュートにだまされるな! |
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省エネにつながることは無条件に美徳であると誤解を招くようなテレビのCMを見るとオレは気分が悪くなる。たとえばトヨタ自動車の宣伝する「エコ替え」(燃費のいいクルマに乗り換えを推奨すること)だが、古いクルマをていねいに長く使う方が資源の無駄にならないわけで、まだ使えるクルマを廃車にしてしまうそんなひどいものはエコでも何でもなくただの浪費なのである。
そうした省エネ製品の一つが、電力会社の推進するエコキュートである。「空気の熱でお湯が沸く」というのはオレにはどうもよくわからないのだが、それでも北海道でもこれを導入している家があるそうだからきっと外気温が低くてもなんとかなるのだろう。しかし、その導入時の初期費用がとんでもなく高いらしい。100万円以上すると聞いてオレはびっくりした。いくら光熱費が安くなるとしても、100万円を取り返すのにいったい何十年かかるのか。そんなことなら急いで導入することなどないし、10年後にはもっと画期的なものが開発されてるかも知れない。家庭用の燃料電池で給湯しつつ電気を作るようになってるかも知れないわけで、そんな巨額の設備投資をしてもちゃんと回収できるかどうかは疑わしいのである。
そのエコキュートの販売時には、かなり強引な訪問販売や、詐欺のようなやり方の販売がまかり通っているらしい。オレはこの新聞記事を読んで激しい怒りを覚えたのである。アサヒコムの記事を引用しよう。
エコキュート、設定にご注意 省エネ効果少ない場合も2008年12月26日3時0分
電力各社や電器メーカー各社が販売に力を入れている最新型の電気給湯システム「エコキュート」。省エネ効果が大きく、低コストというのがセールスポイントだ。しかし、適切に設定しなければ、十分な省エネ効果が得られないことが検査機関の分析で分かった。100万円を超える商品もあり、トラブルも増えている。
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エコキュートは空気をポンプで圧縮すると生じる熱で湯を沸かすシステム。電気はポンプを動かすために使われる。コロナ(新潟県)やパナソニック電工(大阪府)など12社が製造。10月末の累計出荷台数は150万台を超え、電力会社などによると、普及率は5%近いという。
各社のホームページやパンフレットでは、少ない電気エネルギーで大きな給湯熱量を得られるなど従来型の電気やガス温水器よりも省エネ性能が高いことを強調。深夜の安い電力を使える「コストの低さ」も売りにしている。
ところが、国土交通省所管の公益法人「建築環境・省エネルギー機構」が、複数社の製品で実験した結果、工場出荷時の設定のままでは、宣伝ほどの省エネ効果が得られず、ガス湯沸かし器と大差ない機種もあることが判明した。
各社によって多少異なるが、設定は(1)大量使用時(2)標準(3)省エネ、の3種類程度切り替えられる。省エネ設定だと、ため置きする湯量が少なく、急にお湯が必要なときに足らなくなる可能性があるため、出荷時に標準設定にしているメーカーが多かった。
同機構は今年5月、メーカーに対し、初期設定のままでは省エネ効果が十分でないことがあることを購入者に十分説明するよう要請。これを受け、各社はこれ以降の販売分については、標準ではなく省エネ設定で出荷するとともに、ホームページや取り扱い説明書で切り替え方法を知らせるようになったという。
省エネ設定の呼び方は統一のものはなく、メーカーによって異なるため確認が必要だ。 ◇
一方、広告の表現や、訪問販売などが問題となるケースが増えている。
九州電力の「ガスよりも電気が1年で最大約10万円安い」「30年間で約300万円がお得」などと書かれた広告について、公正取引委員会は10月、「購入費や設置工事費を含めると、そこまで安くない」などと不当表示を認定。同社に排除命令を出した。
国民生活センターによると、07年度の電気温水器の訪問販売に関する相談は1343件で、03年度の200件の6倍以上。08年度も9月末までに、前年同期比で1.8倍の688件が寄せられた。エコキュートは、これらの約半数を占めるという。
エコキュート導入に対し、経済産業省は補助金制度を設け、家庭用は1台あたり4万2千円を助成している。しかし、08年度分については募集が終わったという。
静岡県の60代の女性は5月、訪問販売業者に「補助金の申請枠があと少しで定員になる。今日でないとダメだ」と粘られ、約173万円の契約を結ばされたという。
6月には愛知県の40代の男性が「明日までなら初期費用がかからない」、7月には大阪府の30代女性が「電気代とガス代が安くなる。13年分の差額で買える」などと告げられ、それぞれ100万円前後の契約を結ばされたという。
国民生活センターは、導入する場合は、数社から見積もりをとって、光熱費が安くなる場合の条件の説明を求めるよう助言している。(高田英、茂木克信)
オレはこのエコキュートというシステムの導入に、100万ものゼニが掛かるなんてことは今回の新聞記事で初めて知ったのである。そんなに高価なシステムならば、よほどのメリットがないとわざわざ導入する人もないだろう。だから押し売りのように訪問販売で、良く理解できないお年寄りとかにだまして売りつけようとするのだろう。
光熱費が1年間で10万円安くなるとしても、設置に100万円かかるのなら取り戻すまでに10年掛かることになる。しかし実際は10万も安くはならないわけで、そうなると15年も20年も掛かることになり、そのうちに設置した機器の耐用年限が来たり、故障したりする。そうなるとまた新しい機器を購入することになり、結局またしてもゼニが掛かることになる。わが家には太陽熱温水器が設置してあるが、ずいぶん昔に故障してそのまま放置してある。ガス屋に勧められて設置したのだが、屋根から取り外すにもゼニが掛かるわけで新しい機械に取り替える予定はない。設置から撤去までのトータルコストで考えれば実際は損だったような気がする。そういうことがあるからだまされてはならないのだ。電機屋が本心から「こっちにした方がお得です」と思ってるわけではない。連中は設備一式を販売してそれで稼いでるのである、ウソ八百並べ立てて相手をだまして売りつければ勝ちである。だからじゃんじゃんお年寄りをだますのである。彼らの本音を語るなら「こっちにした方が(我々はもうかって)お得です」ということなんだろう。
それにしても「今日でなければだめだ!」などと粘る業者は押し売りと一緒である。そんなふうに勧める業者にろくなヤツはいないだろう。
何で暖房するのが一番安いのか。それはおそらく石油ストーブやファンヒーターなのだろう。だって寒い北海道に行けばみんなファンヒーターや石油ストーブを使ってるじゃないか。もしも電気で暖房する方がコストが安かったらそっちを使うだろう。原油高で一時はめちゃんこ高かった灯油価格も落ち着いてきた。今の価格ならば電気よりもずっと暖房コストは安いはずである。わが家は灯油代を一ヶ月に1万円ぶんくらい使うが、夏のエアコンに掛かる電気代は3万円くらいである。もしもエアコンを暖房用に使えば夏と同じくらいに電気代がかかるだろう。そうやって比較すると、明らかに灯油による暖房の方が低コストであることがわかる。
このエコキュートという仕組みは正しく使いこなせたらすばらしい仕組みなのかも知れない。しかし、そのコストに関してちゃんと客に説明されてるとは思えない。九州電力の「30年で300万円お得」というのはどう考えても誇大広告である。その300万円から機器の設置費を引けば、お得な金額はかなり減少するはずだ。それをきちっと説明しないのは詐欺の一種である。
電力会社は少しでも多くの電気を顧客に使わせたいわけで、原発を建設して大量に作りまくった電気をとにかく売りたいのである。だからあの手この手で電気を使わせようとするのだ。オール電化を推進するのもその一環である。しかし、必ずしもそれが本当に省エネなのかどうかはわからない。
それにしても100万円近い買い物になるこのシステム導入に対する国の補助金がたったの4万2000円しかないわけで、それではたいした効果はなさそうだ。そして、お年寄り相手に詐欺まがいの商売をしてる業者に対して、その補助金を適用しているとしたらこれは大問題である。実際にはどれだけ苦情が発生しているのか、それをきちっと国は調査すべきだろう。テレビCMの中に「誇大広告」の部分があればきちっと指導すべきである。さきほど中部電力のWEBサイトでエコキュートを調べたが、電力各社がこの普及に力を入れているのはよくわかる。売上高のアップにつながるからである。30万円の羽毛布団を売るために詐欺商法で老人をだますように、100万円のエコキュートを売るために老人をだますなんらかのマニュアルが存在してるのじゃないかとオレは憶測してしまうのである。
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