2008年04月25日(金) |
それは自殺という名のテロである! |
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かつて、ネットで流行した自殺手段は練炭を用いた一酸化炭素中毒だった。仲間を募って静かに「自殺オフ」を企画実行するケースが多かったのである。しかし、その自殺よりも今は「まぜるな危険」のはずだった家庭用洗剤をまぜて、危険な硫化水素ガスを発生させて自殺するケースが増えている。アサヒコムの解説記事を引用しよう。
相次ぐ硫化水素自殺 メーカーや警察、消防の対応は2008年04月24日
相次ぐ硫化水素を使った自殺への対応に洗剤メーカーや警察は苦慮している。
硫化水素を発生させるために使われる洗剤の容器には『まぜるな危険』との警告が明記されている。しかし、ある家庭用洗剤のメーカーの広報担当者は「間違った方法で使おうと考えている人には『混ぜれば、有毒ガスがつくれる』と知らせることになる」と悩む。「警告文をさらに目立たせても、自殺の防止に効果があるかは疑問。対応のとりようがない」
一方、京都府警や兵庫県警は、インターネットのプロバイダー各社や業界団体に、硫化水素を使った自殺方法を記した書き込みを「有害情報」として削除を依頼した。わいせつ画像などと違って違法性の法的根拠がないため強制はできず、京都府内では24日までに23社中2社が検討する意思を示したにとどまる。
消防も初動対応の徹底や二次被害防止の訓練に追われる。消防庁は8日、各自治体に硫化水素自殺が起きた場合の周辺住民への安全対策を徹底するよう指示。事故の起きた香南市の消防本部でも数日前に硫化水素自殺について勉強会をしたばかりだった。
通報を受けた同本部は今回、硫化水素の発生を想定して防護マスクやガス検知器などを装備して出動。現場に駆けつけた隊員は「まさか実際に起こるとは」と話した。
今月に入って2件の硫化水素自殺が続いた岡山県の井原地区消防組合は化学防護服を新たに10着を発注。大阪市消防局も今月下旬から化学物質を扱う専門の救助隊が市内25署を巡回し、硫化水素の基礎知識や対応について教える。
猛毒ガス階下襲う 硫化水素自殺、住民は避難先で一夜
2008年04月24日13時03分
夕食時のだんらんを猛毒のガスが襲った。23日夜、高知県香南市の市営住宅で起きた硫化水素自殺が原因とみられる異臭騒ぎ。約70人がのどの痛みや嘔吐(おうと)を訴えるなどして病院で診察を受け、被害は前例のない規模に広がった。突然の恐怖に見舞われた人々は体調に不安を感じながら、避難先で一夜を過ごした。
現場の部屋の階下に住む会社員男性(53)は午後8時ごろ、テレビを見ていて赤色灯に気付いた。「火も煙も見えないのに何で、と思っていたら、消防隊員が家に来て退避しろと言われ、着のみ着のままで逃げました」と戸惑いを隠さない。妻(58)がのどの痛みを訴えて入院。自分ものどの調子が悪く、病院で診察を受けた。「テレビの世界のことと思っていたが、今も何が起きたかピンとこない」
現場と同じ階に住む主婦(43)は、テレビを見ていたら硫黄のような強烈なにおいを感じた。「部屋を閉め切っていたのに、とにかくすごいにおいだった」。長女が亡くなった女子中学生と同級生で、「ごく普通の子だった。こんなことになるなんて」と動揺した様子だった。
同じ棟の4階に住む会社員男性(47)は、窓を開けた際に異臭を感じた。警察の指示で妻(31)と子ども4人を連れてマイカーで避難したが、妻が「気分が悪い」と訴えて嘔吐。病院で点滴などの処置を受けた。「まさか、自分たちのすぐ近くで起きるとは……」と驚いていた。
2階に住む女性(46)は部屋の中で異臭を感じた。「プロパンガスかね」と家族で話していると、避難を呼びかける拡声機の声が聞こえ、慌てて逃げた。
通報を受けて最初に現場に到着した消防隊員によると、市営住宅の入り口で硫化水素特有の「卵の腐ったような」においがしたという。すぐに消防本部に連絡、避難勧告を出すよう求めた。
避難先の体育館では、消防署員らが治療の優先順位を決める「トリアージ」を約150人に対して実施した。このうち、「のどが痛い」「気分が悪い」など具体的な体の不調を訴えたのは、15人程度だったという。
南側の棟に住む妊娠4カ月の女性(22)は避難の知らせに気づかなかった。家族3人で一夜を明かしてしまい、朝になって周囲の異常に気づいて避難所に駆け込んだ。「昨夜は午前0時から1時ごろにかけて、変なにおいがしていた。おなかの子に影響があるのではと思ったけど、『毒素は体に蓄積しない』と説明を受けた」と安心した表情。
のどの痛みを感じて家族4人で近くの病院に行った男性(30)は、そのまま病院で一夜を明かした。「とにかく疲れた。全然眠れなかった」とぐったりしていた。
硫化水素を使った自殺では、家族や周囲が助けようとして巻き込まれる例が後を絶たないが、これほど多数の住民が被害を訴えたのは極めて異例。地元消防本部は、避難の際に市営住宅の住人が狭い範囲に集まり、有毒ガスを吸ったのが一因とみている。
高知県警などによると、現場の市営住宅は2棟が約20メートル離れて建っており、23日夜は小雨が降って弱い北風が吹いていたという。
取材に応じた住人の大半は、室内ではわずかに異臭を感じた程度だったと証言した。その後、救急車やパトカーが駆けつけ、現場に近い1階付近に多くの住民が集まった。間もなく近くの体育館に避難したが、その際、「気分が悪い」と訴える人が相次いだという。
高濃度の硫化水素は数回吸っただけで、失神して死亡するほど毒性が強いとされる。現場の浴室に換気扇はなく、ドアと窓を閉めれば密閉状態になるといい、ドアを開けたことで空気より比重が重い硫化水素が下へ流れ出した可能性がある。香南市消防本部の山崎良満次長は「現場の下に人が集まってしまい、多くの人が硫化水素を吸ったのではないか」とみる。
現場には「毒ガス発生中」と注意を促す張り紙があった。硫化水素自殺の方法を紹介するインターネット掲示板には、こうした張り紙をすることが二次被害防止のための「マナー」と記されており、過去の同種自殺でも同じ趣旨の紙が張られるケースが目立つ。毒物に詳しい吉田武美・昭和大教授は「張り紙を見つけても一般人は近づいてはならない。助けようとして人工呼吸などをしたら、たちまち被害を被る。防護マスクなど装備の整った救急隊員に任せるしかない」と話している。
自殺には流行がある。飛び降り自殺の名所にはやはり死ぬためにやってくる人が後を絶たないし、報道された自殺の手法をみんながマネする傾向が高い。そういうわけで今硫化水素自殺が頻発してるのである。自殺する方の中にはドアにちゃんと「毒ガス発生中、危険」張り紙して亡くなる方も居て、そこまで落ち着いて準備できるのならなぜ死を思いとどまらないのかとオレは不思議に思うのである。
「まぜたら危険」な家庭用洗剤をまぜてどんな反応で硫化水素が発生するのか。ネット上にはその解説が多く出回っているという。試しにウィキペディアで硫化水素を引いてみたらその急性毒性について詳しく記述されていて、1,000〜2,000 ppmの濃度で「即死」とあったのにはびっくりした。そんなに危険なものなのか。
大量の硫化水素を発生させる行為は、自分が自殺するだけではなくて周辺住民に対して大きな被害をもたらす。単純な自殺ではなく、悲惨な「自殺テロ」となって被害が拡大する可能性があるのだ。自殺者はそこまでの迷惑を考えてるのか。いや、自殺目的ではなくてテロ目的でこの発生を起こすようなクソ野郎が今後発生しないと言えるのか。少なくとも原材料はホームセンターなどで簡単に購入できるのである。そして確実な殺傷力があるのだ。
この世には多くの自殺したい人がいる。ここで硫化水素を規制したところでその方たちは他の方法を探すだけであり、自殺そのものの抑止力には決してならない。かといって現状を放置するわけにもいかない。家庭用洗剤と目張り用のテープなどをホームセンターで同時に購入する客がいたら、それを尾行して検挙するしかないのだろうか。
唯一、この硫化水素自殺を防ぐ方法があるとすれば、緑色に変色した死体の写真などを見せて「こんなふうになるんだぜ!」と無惨さを強調することしかないのかも知れない。それ以外のまともな方法でこんな恐ろしい流行の連鎖を断ち切ることは不可能だろう。
死ぬヤツには死ぬヤツなりの理由が存在する。第三者から見てどれほどちっぽけなことであっても、当事者にとっては耐え難いことの場合も多いのだ。硫化水素を防ぐことが不可能なんだったらどうすればいいのか。家庭用洗剤を出してるメーカーに「まぜてもOK」という商品を開発させればいいのか。悩みは尽きないのである。
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