江草 乗の言いたい放題
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2008年04月21日(月) 毎日新聞の社説を罵倒する        ブログランキング投票ボタンです。いつも投票ありがとうございます。m(_ _)m 携帯用URL by Google Fan

 大学受験の際、合格しても入学金を支払って入学手続きを完了しなかったらその合格は取り消される。大学の場合はたいてい複数校を併願することが可能なので、大学側は入学金の支払いの有無で入学の意思を確認し、さらに前期授業料の納入によって入学の可否を確定するのである。ゼニを払ってはじめて受験生と学校の契約関係が成立するということだ。ビジネスの関係ではさらに厳しい。約束の期限までにゼニが払われなかったら手形が不渡りになったりするわけで、支払期限が守れない=その会社が信頼されないということなのである。

 では高校受験はどうか。オレは高校受験も基本的に同じモノだと考えている。中学までは義務教育だが高校からはそうではない。だから勉強をする気がない者は無理に通う必要がないわけで、高校を辞めるか、勉強しなくてもいい高校に転校するかどちらかの選択をしないといけないわけである。

期限までに入学金を払い込まない親がいた。その期限が入学式当日となっている千葉県には「ええっ!」と思ったが、少なくともそういう仕組みでこれまでずっとやってきたということは、いちおう親たちはみんなゼニを持参させるのは当然と思っていたのだろう。そして学校側も事前に「払えない方は相談してください。分納にも応じます」と説明していたのだ。その指示に対して、「全くゼニを持参せず、後からあわてて全額振り込んだ親」「分割払いすると約束したのにその一回目を持ってこなかった親」の子どもが入学式に参加させてもらえなかったことに対して、毎日新聞は以下のような社説を掲載した。

社説:入学金未納 生徒を隔離したのは間違いだ
 千葉県の県立高校が、入学式当日に納付を定めていた入学金などを持参しなかった男女生徒2人を式に参加させなかった。2人の保護者は遅れて全額あるいは一部を納め、2人は入学を認められたが、式には出られなかった。
 問題の側面は二つある。一つは、第一義的に保護者の責任である問題で学校側が子供を式や他の新入生たちから隔離するような措置を取ったこと。もう一つは、今回に限らず、例えば義務教育段階でも給食費未納が全国的に見られることに相通ずる問題である。すなわちルール無視の風潮だ。
 学校は3月の説明会で入学予定者の保護者たちに、全額納付が難しい場合は分納が可能で、事前に相談するようにと知らせていた。
 一方、式参加を拒まれた男子生徒の保護者は「後で払う」と電話で答えたが、学校側は「滞納の可能性がある」と式参加を認めず、納付金全額が届けられた時には式は終わっていた。女子生徒の場合は、保護者の相談であらかじめ分納を認められていたが、その納付金がなかったので式参加を認めなかった。お金は夕方届けられたという。
 今回の判断について校長は「授業料滞納が目立ち、未納は負担の先送りと思った。苦渋の決断だったが、当然の判断だったと思っている」と説明する。
 既に学校に授業料滞納がある状況で、新入生の保護者に「後で」と言われても「これもやはり未納か」と疑い、毅然(きぜん)とした態度でルール厳守を求めよう−−というのは一理ある。だが、それはまず保護者に働きかけるべきことであり、説明会で通告していたとしても、ただ一度しかない入学式の前で子供に「足止め」をかけるような措置をするのは誤りだ。これに関して子供には何の非もない。
 だが、その誤りを批判するだけでは今回の問題を教訓として生かしきれまい。
 近年の全国の給食費未納問題など、払えない正当な理由がないのに「踏み倒し」同然に支払いを拒否したり、学校に食ってかかる保護者の問題が広く指摘されている。さらには、無理難題を浴びせる「モンスターペアレント」も教員を悩ませる。一方で所得や地域格差で経済的に疎外された家庭が増え、教育経費を負いきれないという例も多く指摘されるようになった。
 各学校がすべて個別に問題を抱え解決を図るのでは、限界がある。例えば、一定範囲の地域、教育委員会の管内などで各公的機関が連携し、事態の把握や利用しやすい相談窓口の設置、不当な不払いに対する迅速適正な措置などができるようにしてはどうか。
 学校も保護者・子供も、孤立するとえてして極端な手法を選択しかねない。
 子供を一時的にしろ引き離した今回のケースは、それを示唆している。毎日新聞 2008年4月15日 東京朝刊


 毎日新聞の論調は「子どもには何の罪もないのに入学式に出席させなかったのはおかしい」ということがメインであり、記事題名の付け方からしてもそれを強調したいということがわかる。オレはこの話を聞いて、専修学校に勤務してた知人から聞いた話を思い出した。その専修学校では、就職も決まったとある学生の授業料が未納のままであり、そのままは卒業資格が取り消されるので就職もパーになってしまうという状況が起きていたのである。その生徒の親は「たかが学費のことで卒業できず、就職も取り消されるというのは子どもがかわいそうです。子どもには何の罪もないのですから」と食い下がった。天下の大新聞である毎日新聞の大社説が、基本的にはこのモンスターペアレントと同じレベルの言い訳を主張してるのを読むと、オレは暗澹たる気持ちになる。毎日新聞の記者のレベルはこんなにも低かったのかと言うことである。

 「こんなにがんばってるんです。せっかく就職も決まったんです。卒業させてくれないなんてあんまりです!」そう食い下がる親のために、その専修学校では特例で後納を認めたのだが、結局ゼニは踏み倒されたそうである。払うべきゼニを払わない人間というのはしょせんそんなものなのである。払うべきゼニをちゃんと払えるかどうか・・・これはその人間が信頼に値するかどうかの大切な判定基準なのかも知れない。

 事前相談にも来なかったのに平気で忘れた親というのは「催促されても払う気はなかったが、子どもが入学式に出してもらえなかったというのを聞いてあわてて払いに来た」という程度のレベルなのだろう。一方、分納を約束したのにその一回目を持参しなかった生徒の親も夕方にはちゃんと届けたという。

毎日の記事では「それはまず保護者に働きかけるべきことであり」とある。しかし学校側はちゃんと保護者に説明済みだ。それを「一度しか説明していない」とか「説明が不十分で不徹底だから親は持ってくるのを忘れたのだ」とあくまで学校を責めようとする親や、学校を謝罪させようとする尾木正樹などというおかしな教育評論家もいるが、この場合はちゃんと聞いていないから、仕組みを理解していない親の方が全面的に悪いのである。ゼニが間に合わなかった時点で二人の合格を取り消していてもオレは妥当な判断だと思う。それを「とりあえず入学式の出席を保留にした状態で支払いを待つ」とした高校側のとった態度は「温情措置」であり、どこからも責められるものではない。いっそ「合格取り消し」にして門前払いすればよかったのだろうか。「友と一緒に入学式に出られないのはかわいそうだから、そんなかわいそうなことをする学校が悪い」という非論理的なことを根拠に毎日がこの社説の主張を行ってるのだとしたら、あまりにも情けなくてオレは同情したくなる。

 入学金を払えないことは親の側の問題であり、経済的な理由のために進学できないことはかわいそうな話だが、少なくとも高校以上の教育は義務教育ではない。いくら入試でいい点をとっても、親が入学金を払ってくれない場合はその合格を取り消されても文句は言えないはずだ。それが社会のルールなのである。

 ただ一度しかない入学式を台無しにしたのは、生徒を隔離した学校側ではなくて、ちゃんとゼニを持参させなかったである。だからこの事件の場合、謝罪するのは学校や教師ではなく、「払う」という約束を破った親の方が、生徒に謝罪し、世間を騒がせたことにお詫びするべきなのだ。


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