2007年12月26日(水) |
リニア中央新幹線は必要なし! |
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JR東海が全額自己負担でなんとリニア中央新幹線を事業化するという。オレはそのニュースを知ってぶったまげたわけである。なんてことを企画するんだ。5兆円も掛けていったいどうするんだ。
JR東海:東京−名古屋にリニア 5兆円自己負担で事業化
JR東海は25日、東京−名古屋間(約290キロ)で2025年の開業を目指すリニア中央新幹線の建設費、車両費総額が約5兆円になると試算し、全額自己負担で事業化する方針を発表した。公的資金の投入を待たずに建設することが早期開業につながると判断した。輸送能力増強がほぼ限界に達している東海道新幹線のバイパス機能を担うとともに、最速40分で東名間を結ぶことで航空機との競争力を大幅に強化したい考えだ。
JR東海は今年4月、リニア新幹線を「自らのイニシアチブ(主導権)のもとに実現する」と発表。ただ、東京−大阪間の全区間の建設費が総額約10兆円にのぼることから、JR東海、国、地方自治体のそれぞれの負担額がどの程度になるのかが焦点になっていた。
JR東海によると、東京−名古屋間の用地取得費を含めた建設費について、地元負担が前提の区間途中の駅の建設費などを除き5兆1000億円と試算。さらに▽建設に伴う長期債務は、最大となる25年段階で4兆9000億円にとどまり、過去最高(91年)の5兆4000億円を下回る▽航空旅客の取り込みで利用者が開業前の10%増となり、債務削減のペースが加速する−−ことなどから、経営に影響を与えずに、全額自己負担での建設が可能と説明した。
会見した松本正之社長は「現状の整備新幹線計画では、リニア中央新幹線は最後に位置づけられており、他線の進ちょく状況を見ると着工のメドが立たない」と指摘。東海道新幹線のバイパス建設の必要性から、自己負担での建設を決断したことを明らかにした。名古屋−大阪間の建設費についても自己負担することを検討しているという。
JR東海は、新幹線整備の手順を定めた「全国新幹線鉄道整備法」に基づく輸送力、建設費などの調査開始の指示を、できるだけ早く国土交通省から受けたい考え。ただ、国交省内には、先に計画された整備新幹線を抱える地域への配慮や全額民間負担というこれまでにない建設方式への慎重論もある。【山田一晶】
オレはこのような計画を聞くといつも「費用対効果」ということを考える。5兆円というゼニを使って、いったいどんな効果があるのか。それをどうやって回収するのかと言うことである。今東海道新幹線は年間で2300億円の経常利益があるという。売上高に対する利益率もきわめて高いのである。それはすでに建設にかかったゼニが回収されているからなんだが、それだけ利益があるからこのリニア新幹線の建設費の負担にも十分に耐えられるとJR東海の松本社長は主張するわけだ。ただ、オレが気になるのはあの30兆円以上の旧国鉄債務はいったいどうなったのかという疑問である。巨額の累積赤字を抱えて倒産・分割されたときにそのまま棚上げされた旧国鉄債務は今も金利分が膨張しているはずである。今のJR各社はその債務とは全く無関係なのか。もしもJRの各社が膨大な利益を上げることが可能だったら、その利益は旧国鉄の累積債務の返済のために使われるべきではないのか。もちろん民間会社となったJRに、国の借金である旧国鉄債務を背負わせるべきではないのかも知れない。しかし、利益は民間会社へ、債務は国民負担へというのがどうもオレには納得できないのである。
また、このリニア新幹線を営業的に成功させるためには、今の新幹線の乗客を大幅にこちらに誘導しないといけないわけである。そんなことが果たして可能なのだろうか。料金はいったいいくらにするのか。今、東京名古屋間は正規運賃で10980円である。これがリニアになれば2万円くらいになるだろう。往復で4万である。それだけ払うならのぞみで十分だと思う人も多いだろう。一応ここから後は料金が2万円であると想定して話を進めていきたい。
今のぞみで東京名古屋間は1時間52分である。それが40分になれば1時間12分の短縮だ。しかし、料金が約9000円余分にかかるのである。つまり、約1時間のために9000円も余分に支払うことになるわけで、たった1時間を9000円払って買うようなものである。時給が9000円ももらえるのは風俗嬢のような特殊なお仕事くらいで、普通の人は「そんなにかかるのなら遅くてもいいよ」と思うだろう。つまり、料金を高く設定すれば客は集まらないのである。最初は物珍しさで乗る人も出るだろうが、すぐに飽きられてしまう。そして建設費を回収できないままJR東海は巨額の借金を抱えるのだ。
だったらリニア新幹線の料金を値下げしてのぞみと同じくらにすればどうか。そうすると今度はのぞみの乗客が一気にリニアに移るだろう。もちろんリニアの方は輸送能力や輸送密度の点でのぞみには劣ると思われるので、移る割合には限界があるが、それでものぞみなんてばかばかしくて乗れなくなってしまう。そうなるとこれまで大きな収益を上げてきたのぞみが一転して赤字路線になってしまうのである。これまでドル箱だったものが今度はお荷物になってしまう。オレが気になるのは実はここなんだ。
地方に新幹線ができることで便利になる一方で、これまで十分に地方の足として機能していた在来線は第三セクターにされたりして価値を失う。しかし、価値を失わせるほどそれらは意味がないのか。新幹線が停まる駅と停まらない駅の格差がますます開くことが果たしてその地域にとってよいことなのか。
移動時間が短縮されたことで、出張するサラリーマンにゆとりが生まれるのか?答えは否である。その分仕事を多くさせられるだけだ。移動中もノートパソコンを開いて熱心に仕事をしているサラリーマンが多くいる一方、その2時間を睡眠時間にあてて休養している者も多い。その睡眠時間によってかろうじて過労死から救われている者もいるわけである。もしも睡眠時間がそこで1時間削られるならどれほどストレスは増加するだろうか。オレはそんなことまで心配するのである。
ここでもしもオレがJR東海の株主ならどうか。その遠大な計画を支持するだろうか。答えはやはり否である。そんなことに使える剰余金があるなら全額配当に回してくれ。そうしたら株価もどんどん上昇するからキャピタルゲインも狙える。絶対にやめてくれと言うだろう。株主総会でその件に関して投票を行えばおそらく大多数の株主は反対に回るだろう。そしてそんな暴挙を提案した松本社長を解任するだろう。そんなこと当たり前である。20年先の完成よりも今のゼニである。そんなことに大切なゼニを使うよりも、今配当金として株主にじゃんじゃん分配して欲しいというのが株主たちの本音に決まっている。JR東海の株価は12月25日時点で113万円だが、配当はたったの7500円、配当利回りは0.66%しかないのだ。発行株数はわずか224万株なので、当期利益の1300億円をすべて配当に回すとすれば6万円も配当を出せる計算になる。それはまあ極端だが、少なくとも今のJR東海の利益配分はきわめて株主を軽視しているのである。もしも外資が大株主になればこんなひどい経営陣はみんなクビにされるだろう。利益を全額配当にというのは極端だが、もしも配当が6万円も付くのなら株価は300万円近くまで上昇してもおかしくないわけで、そうなれば今の株価の3倍近いのである。
JR東海の株主は断固としてこの暴挙に反対すべきだ。そもそも将来の日本は人口がどんどん減っていくわけで、道路にしても鉄道にしても空港にしても、これ以上のインフラ整備を進めようとしている連中の頭の中にあるイナカモンドリームをオレは断じて認めたくはないのである。
やはりオレの想像通り、株式市場はこの報道に冷ややかに対処した。
JR東海が新安値――リニア構想に市場は否定的
JR東海<9022.T>が3日ぶりに反落。一時12万円安の101万円まで売られ、11月16日の年初来安値110万円を更新した。同社は25日、総投資額5兆1000億円(車両費含む)で超伝導リニアを利用した「中央新幹線(東京―名古屋)」の建設を取締役会で正式決定した。
しかし、07年4月に松本正之社長が初めて自社主導でのリニア新幹線構想を打ち出した時から市場は否定的で、今08年3月期の好業績推移にもかかわらず株価はほぼ一貫して売られてきた。きょう26日も投資家のリニア新幹線に対する拒否反応を改めて示した形で、終日売り優勢の展開となった。
市場の拒否反応の理由として、少子化で長期的に東京―大阪間の旅客増がほとんど望めない中、やはり5兆円もの負担は大き過ぎることが挙げられる。東京―名古屋間の路線ではより期待薄で、「のぞみよりは便利だが、旅客純増にはならない」(岡三証券 投資情報部・宮本好久氏)という。特に根幹をなす旅客増の前提が甘く、「計画全体があまりにも非現実的」(同)とされ、夢のリニア新幹線構想は前途多難と言えそうだ。[ 株式新聞ニュース/KABDAS−EXPRESS ] 提供:(株)株式新聞社 (2007-12-26 15:56) 。
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