2007年09月14日(金) |
ブロガーに恋をするな! |
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オレはどうやらモテるらしい。実際のオレを知っている方なら「そんなことアリエネー!」と思うようだが、少なくともこの暴言コラムの作者の江草乗というのは、ハードボイルドにきめていて、ニヒルな感じでカッコよくて多くの女性を魅了しているらしい。そこでオレはここに宣言しておきたい。「ブロガーに恋をするな!」と。
あなたがネット上で読んでいる文章を書いているのは確かにオレだが、そこに登場する江草乗というのは架空の人物である。考えても見ろ。多くの仕事に日々追われているはずの普通の高校教師が、毎日これだけの量の日記を更新しつつ、株式掲示板にも書き込みを行い、そして多くの読者とのメールのやりとりもしていて他の方の掲示板にも書き込みをしてるなんてことはありえないのである。こんな事を一人でできるわけがないのだ。つまり江草乗というのは一人じゃないのである。そうでないと絶対に日常生活は不可能だ。寝ている時間もないことになる。
不届きなドライバーには天罰を喰らわせ、街で見掛けた馬鹿はこっぴどくやりこめ、お年寄りには席を譲り、女性には愛の言葉をささやく、政治の不正を厳しく糾弾し、次々と素晴らしい政策提言を行い、外交や教育に関しても一家言あるというそんなスーパーマンが実在すると思っているあなたはよほどおめでたい人間である。そんな人は初めからこの世に存在しないのだ。
文章というのは書かれた瞬間から一人歩きを始める。確かにオレが書いた文章なのだが、その作品は書かれた直後から一つの魂を吹き込まれてネットの上に存在することになる。それを読む人がどのように解釈するかはオレには全く予想も付かない。その解釈法の一つがオレに対する「罵倒」である。オレの日記下部にあるメールフォームから「あなたのようなふざけた人間が教師をしてるなんて許せません!」「あなたをクビにするために大阪府教育委員会に訴えます!」というメールが送られてくるわけだ。いったい何を真面目に怒ってるのか。ふざけた人間というのは江草乗のことであり、大阪府の教員に江草乗というハードボイルドな名前の教師などいない。だから大阪府教育委員会に「江草乗をクビにしろ!」と抗議してもおそらく取り合ってもくれないだろう。
「罵倒」ならまだいい。もっと怖ろしいのが「崇拝」である。オレという暴言野郎を神のように崇拝し、「あなたのようなすばらしい教師に習いたかった」「あなたは神だ、日本を救うのはあなたしかいない!」などと書いてくるのである。オレのようなさえない中年のオッサンを崇拝してどうするんだ。オレは崇拝されるに値するような行動など何もしていないのである。崇拝するならネットの上には色んな教祖様が多数存在するはずだ。オレではなくてそういう方向に行けばいいのである。
「罵倒」でもなく「崇拝」でもない、もっと怖ろしい行為、いや好意。それは「恋」である。なんてことだ。
ブログを読んでその書き手に恋をするなんて愚の骨頂だ。それは現実世界で素敵な相手に出会うことのできない寂しいお姫様が、ブログの一見素晴らしい文章にだまされて、「私はこんな素敵な人に会ったことがないわ」などと錯覚し、いつのまにか幻想に冒され、そのブログを読むことだけが人生の楽しみになってしまい、ブログに登場する女性をすべて自分のことだと思いこみ、書き手のブロガーをこの世で最高の男性だと錯覚する過ちに至るのである。こうなるともう完全な病気だ。草津の湯でも治せない。
あなたが読んでるブログの向こうにいるのはたいてい普通の人である。美男美女を期待する向きも多いわけだが、たいていおっさんおばはんである。「22歳若妻の秘め事」という題名がついていたとしても、その題名がつけられてからもう10年も経っていて実際は32歳ということだってあるのだ。ブロガーは自分に都合の悪い情報は出したがらないものである。それを「詐欺だ!」「ウソだ!」と文句を言う人もいるかも知れないが、書き始めた時は確かに22歳だったわけで、そんなことに文句を言う奴はちゃんと過去ログを読んでいない無礼者である。お料理の話題で素晴らしいブログを書いてるカリスマ主婦が、実生活ではホカ弁とカップラーメンばかり食べてるという可能性もあるわけだ。
ブログを読むと言うことは不特定多数の読者の共同幻想に自分も参加するという行為であり、読者となった時点であなたはそのブロガーの戦略にはまってしまっている。これを防ぐ方法としては「無視して一切読まない」以外の対処法はないのである。しかしなかなかこれが難しいのである。オレもいつの間にか毎日数十のブログに目を通してるし、その中にはふと心をひかれるような素敵な女性ブロガーもいないわけではない。しかしオレにはちゃんとわかってるのだ。「ステキなのは文章だけだ。幻想を捨てよ!」とオレは自分に言い聞かせる。(しかしオフ会で会った方の中には本当に素敵な方もいたのである。それもまた紛れもない事実である。たまたまオレが運が良かっただけなのかも知れないが・・・)
ビジネスホテルに泊まるときは全裸で過ごすという変な中年のオッサン、江草乗のような変態ブロガーに恋するなんて、絶対に間違った行為だ。そんなことは絶対にしてはいけない。それは自分の大切な人生を誤らせる最大の愚挙だ。このように書くと、少なくともオレにメールを書こうと思っていた女性のうち99%くらいは「なあーんだ。つまんないの」と思うだろうし、残り1%は「江草なんか死ね!」と思うだろう。それでいいのである。
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