2007年03月08日(木) |
そんなの早すぎるぜ! |
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オレがかつて勤務していた公立高校の校門脇には見事なサクラの大木があって、入学式の頃にちょうど満開になることが多く、親と一緒にそこで新入生たちが記念写真を撮るのが毎年のお約束だった。「入学式=サクラ」というのはしごく当たり前のことだったのだ。もちろん北海道や東北ではこのようなタイミングにはならないわけで、オレがお約束と思ってることは日本のほんの一部にしかあてはまらないことは百も承知なんだが。弘前では5月の連休の頃にサクラが咲くということらしい。今は地球温暖化でもっと早まってるかも知れないが。
久方のひかりのどけき春の日にしづ心なく花のちるらむ 紀友則
【通釈】日の光がやわらかにふりそそぐ今日――風もなく穏やかなこの春の日にあって、落ち着いた心なしに、どうして桜の花が散ってゆくのだろう。(千人万首のWEBサイトより転載)
せっかく咲いたサクラもしばらく経てば散ってしまう。その散りゆくサクラに対して人々は哀感を感じ、そして和歌にしたのである。
敷島の大和心を人問はば朝日に匂ふ山桜花 本居宣長
最初の特攻隊の隊名である敷島隊、大和隊、朝日隊、山桜隊というのがこの和歌からとられたことは有名である。散り際の良さが武士道精神と結びつけられ、サクラは死ぬときの潔さの象徴とされてしまった。それはある意味迷惑なことだったかも知れない。サクラはいつの時代もただのサクラである。人間のちっぽけな営みとは全く無関係に毎年花を付けてきたのだから。どんな年にも必ず。
京都の今宮神社では4月の第二日曜に鎮花祭(ちんかさい)という神事を行う。通称やすらい祭と呼ばれるこの神事は、広隆寺の牛祭、鞍馬の火祭とともに京都三大奇祭に数えられている。桜の花の散る頃に流行することが多かった疫病を退散させるため、細男(せいのお)を送り、舞ったのがその始まりと伝わっている。早く花が散ってしまうとその年の収穫が少ないということも言われていた。花びらとともに疫病が拡散しないように、そして実りの秋を迎えられますようにと、さまざまな願いを込めて奇祭は伝えられてきたのである。今宮神社の東門を出ると二軒のあぶり餅屋があるが、このあぶり餅というのはやすらい祭の始まった折に、神様に捧げた餅になぞらえたものだとか。そのためこれを食べると疫病除けになると言われている。お参りもせずにあぶり餅だけを食べるオレの場合はあまり御利益はなさそうなんだが。
ところが今年はやすらい祭も入学式もサクラとはおそらく無縁である。花が咲くのが早すぎるのだ。オレは今年の開花予想を見てびっくりした。なんでこんなに早いのか。記録的な暖冬の影響があることはわかるが、平年より1週間以上早まって最も早いのは静岡の3月13日だ。これは平年より15日も早いのである。松山や高松が17日、これも平年より11〜13日早い。大阪は25日、京都は28日だということだ。それでもたぶん一週間は早いだろう。これではとても入学式まで持たない。もしもこの状況が続くのなら、入学式用にはもっと別の花を考えないといけないことになる。サクラよりもわずかに遅く咲く花は何だろう。オレは京都の御室にある仁和寺で咲いていた八重桜を思い出した。あれなら遅咲きで有名である。そいつを全国の小、中、高校の庭に植えて入学式を華やかに彩るべきだろう。
とにかく花のない入学式なんてつまらない。儀式というのものはある一つの要素が欠けるだけで大きく値打ちが下がるのである。その大切なサクラが入学式までに散ってしまうとすれば悲しい。今から開花時期を遅らせるいい方法はないものかとオレは悩んでしまうのである。
←なぜか4位に後退m(_ _)m