2006年11月14日(火) |
そんな安いコメがあるのか! |
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生活保護現物支給案に関連する日記です。
オレは自由貿易の礼賛なんてただの強者の論理でしかないと思っている。工業製品だって農産物だって買う買わないはその国の自由だ。国内産業を保護するために安い外国製品を締め出しったって別にいいじゃないかと思う。もしも日本と同じ品質のクルマを一台10万以下で輸出する国が出現したら日本の自動車産業は崩壊するかも知れない。それを輸入しないことで国内産業を保護しても別にかまわないじゃないかと思うのである。
ところがそんな論理は世界では通用しないのか、工業製品を世界に輸出する日本がコメを輸入しないのはけしからんじゃないかということで、日本は喰いたくもないまずい米を毎年大量に買わされている。それを海に捨てるわけにもいかず、仕方なく倉庫に保管してるのだがついにその在庫が200万トンを超えて日本のコメの年間消費量の1/4に迫る勢いである。保管料だけで年間に200億円以上もかかるのである。迷惑な隣人から故障ばかりでまともに走れないオンボロ車を押しつけられ、しかも「ガレージ代はおまえが払え!」と言われてるのと同じである。
この輸入米をしっかりと活用させて生活保護受給者や公務員への現物支給にしてしまえば一気に片づくかと思うのだが、そういうアイデアを出す人は誰もいないと見えてそのまま在庫は増える一方なのである。輸入米の価格はキロあたり30円程度で、スーパーで売られてる米がたいてい10キロ入りで安くても3000円はすることを思えばわずか1/10の安さである。そんな安いモノを「生活保護費のうち食糧分は現物です」と渡せばかなり生活保護費の総額を減らせるだろう。そうでもしてこのゴミ、いや輸入米の処理を早く片づけてしまわないと、1トンあたり年間1万円の保管料が永遠にかかり続けるのだ。全くもってもったいない話である。
現在日本は米国、豪州、中国、タイなどから年間約77万トンにコメを輸入し、そのうち10万トンは主食用に販売して20万トンは途上国への食糧援助に、そして20万トンはみそや焼酎への加工用に使ってるが{77−(20+20+10)}= 27と計算すれば27万トンもの使い切れないコメが発生するわけで、それが在庫として積み上がってきているのである。
この馬鹿馬鹿しい経費に対して、会計検査院などから在庫圧縮を求められた農水省は、コメの捨て方をあれこれ模索していたのである。その究極の利用方法がバイオエタノール製造のためにこのコメを活用することだったのだ。しかし、問題は価格である。日本が義務づけられてるコメの輸入の買い入れ価格は1キロあたりが30〜60円(平均価格は39円程度)もするのだが、米から製造するバイオエタノールの価格をガソリン並みに抑えるためには、原料のコメの価格をなんと1キロあたりで20円以下にしないといけないのである。そんなこと無理だ。輸入したときよりも安い価格で売り飛ばさないといけないのである。かといって売り飛ばさなければ1キロあたり年間10円の保管料が掛かってしまうのだ。ということで売り飛ばしても損だし保管しても損、どっちにしても損なのだ。なんでこんな馬鹿げた仕組みを作ってしまったんだ。オレが官僚の無能さに唖然とする瞬間である。
安倍晋三首相はバイオ燃料の利用拡大をひとつの基本政策としている。とりあえずバイオエタノールの製造にこの輸入米をあてるのだろう。いらないものを無理やり買わされ、それを原価割れながらも利用することが出来てほっとしていると、米国の農家が「そんな利用のために輸出したのじゃないだぜ。ジャップどもよ、ちゃんと喰えよ」と文句を付けてくるかも知れないのである。全くもって気分の悪い話である。欲しくもないものを政治家の都合で買わされているだけなのである。しかしキロあたり60円以下とはなんという安さだ。もしもその輸入米がその値段でコンビニなどで売られていれば、学生時代の貧乏なオレなら迷わず買っただろう。
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