2006年10月17日(火) |
地雷と虎、どっちが残酷な兵器か? |
携帯用URL
| |
|
北朝鮮で一触即発の状況が続いている。いつ二度目の核実験が実施され、あるいはミサイルがいきなり発射されてもおかしくないわけで、ソウルでは市民による空襲を想定した避難訓練が実施された。もしも戦争になれば、北朝鮮と長く国境を接する中国にも大量の難民が流れてくるだろう。
その中国がなんととんでもない難民対策を行っているのである。オレはその残酷さに脳みそが沸騰しそうになるくらいにぶっとんだのである。なんと、北朝鮮と中国の国境地帯に、大量に虎を放し飼いにするというのだ。なんということだ。中国では絶滅の危機に瀕している「東北虎」の個体数保護のために黒龍江省ハルピン市で人工飼育していたのだが、そうして繁殖に成功した 620頭余りを野生の状態で生存できるように訓練を経て、国境地帯の森林に放し飼いにする計画だという。もしも北朝鮮から難民が山越えでやってきたとき、いきなり虎に襲われるのである。
中国は虎を野に放つに当たって、エサとして北朝鮮から越境する難民を与えているようなものである。なんと非人道的な行為だろうか。これを「非人道的」と言えば、「だったら対人地雷はいいのか」と反論されそうだ。確かに地雷を設営する行為に比べれば虎の方が自然に優しい。虎と地雷を比較すればおそらく地雷の方が低コストだろう。虎は飼育や繁殖にすでに十分ゼニがかかってるとオレは思うからだ。地雷は一個1ドル以下で作られるという。ただ地雷の場合はその土地は当分の間利用できなくなるが、虎の場合はその虎さえ退治すれば土地自体は全く問題ないというのが利点である。
さて、難民の側からすれば、虎と地雷とどちらが嫌だろうか。そんなものどっちも嫌に決まってるじゃないかと言われそうだが、虎の場合、人間に与える恐怖感というのは相当なものだと思う。おそらく中国側の狙いもそのあたりにあるんだろう。ただ、中国は肝心なことを忘れてる。「礼記」の中に「苛政は虎よりも猛なり」という一節がある。
孔子たちの一行がある村を通りかかると、一人の女性が泣いていた。話を聞くとなんと彼女の舅も夫もそして息子もみんな虎に襲われて亡くなったのだという。そんな怖ろしい場所になぜ暮らすのかと孔子が問えば「苛政がないからです」と答えたという。孔子はそれを聞いて「苛政は虎よりも猛なり」(苛酷な政治は人民にとっては虎よりも怖ろしいものだ)と弟子たちに記させたのだ。今、文字通りの苛政に苦しみ飢え死にの恐怖と戦う北朝鮮の人民が、果たしてそんな人工飼育の虎どもを恐れるだろうか。その虎と戦い、その虎の死骸を踏み越えて脱出してきそうな気がするのだ。脱北者たちよ、虎なんかに負けるな。人間らしくよりよく生きるための戦いを貫徹しろ。
それにしても中国のやることはむちゃくちゃである。こんな国が本当にオリンピックを開催できるのかとオレは心配してしまうのである。中国も本音を言えば北朝鮮問題を出兵して一気に片づけたいのだろうが、まさかオリンピックの前に軍事行動というわけにもいかない。アフガン出兵でモスクワ五輪を西側諸国がボイコットした時と同じく、中国が北朝鮮に侵攻したことに抗議して不参加の国がたくさん出るだろう。タイミングが悪かったのである。オリンピックが終わってる2年後ならば軍事行動へのハードルが低くなっていそうな気がするのだ。
←ランキング1位のきっこのブログが目標です。クリックにご協力ください。
前の日記 後の日記