2006年10月16日(月) |
なおちゃんに会いたい・・・ |
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107人の犠牲者を出したJR宝塚線脱線事故の108人目の犠牲者は、事故で愛する男性を亡くし、ひとりぼっちになった女性だった。
福知山線で恋人が事故死、女性が飛び降り自殺…大阪
15日午前5時ごろ、大阪市東淀川区のマンション駐車場で、マンション住民の荒川由起さん(32)が死亡しているのを、母親(59)が見つけた。荒川さんは、昨年4月のJR福知山線脱線事故で亡くなった芦原直樹さん(当時33歳)と一緒に暮らしていたといい、芦原さんの死を苦に飛び降り自殺とみられる。東淀川署によると、荒川さんは11階から飛び降りたらしい。 (読売新聞) - 10月15日22時28分更新
自殺した荒川さんは、JR事故の遺族らでつくる「4・25ネットワーク」に参加していたという。同ネットの世話人らによると、荒川さんが19歳のころから事故で亡くなった芦原さんと同居。生活費は芦原さんが支えていたという。JR西日本は事故直後の2ヶ月間は生活費を払ったが、婚姻届を出していないことを理由に一時止めたこともあったという。法的には配偶者ではないということで、JR西日本は補償金を支払う相手と認定してくれなかったということなのだろうか。自分の愛する対象を突然奪われることがどれほどの苦しみなのか、そんなこと当事者以外には誰もわからない。しかもその奪われ方が尋常ではないあの事故の中の無惨な死であったことを思えば尚更である。
荒川さんは15日の午前3時頃に母親に「すぐに来て欲しい」という内容のメールを送った。母親はすぐに駆けつけたが自室にはいない。通報で駆けつけた東淀川署員と母親が付近を探していて駐車場で遺体を発見したのである。自宅マンション11階の通路からから飛び降り自殺していたのだった。このマンションの部屋は、荒川さんが芦原さんと12年間暮らしていた部屋で、親族らにあてた遺書3通とメモ1通が残されていたという。このうち、B5判のレポート用紙のメモには、「なおちゃんに会いたい なおちゃんを返して」「もうたえられない」などと手書きで書かれていたという。
家族宛の遺書はこのような内容だった。
「由起は悔しくて悔しくてたまりません。
なおちゃんの命を奪い 二人の未来を奪い 私から全てを奪ったJRが 憎くて憎くてたまりません。
こんな事があっていいの いいわけがない
虫けらのようになおちゃんを殺して 私の全てを奪った
その戦いに負けるわけにはいかない
由起を地獄につき落としたJRと戦って下さい」
あの事故から一年以上経ってからどうして自殺したのか。ストレスから体に発疹ができたり、心療内科に通院したりするなどして働けないことも悩んでいたという。12年間自分の生活を支えていてくれた恋人を失って、突然ひとりぼっちになって、しかもJR西日本からの補償金の見込みもなく生活のために働かなければならないという状況になって、さまざまなものが一気に彼女の上に押し寄せてしまったのだろうか。日ごろから母親には「彼氏を失い、生きる希望を失った」などと漏らしていたという。
オレはこの報道を読んで思うのである。この世に彼女を救うことができた人などいるのかと。JR西日本がきちっと心のケアまで面倒見てくれればよかったのか。ちゃんと配偶者並みのゼニを出せば良かったのか。そんな問題であるとはオレには思えない。彼女はたとえ補償金のお金をもらったとしてもやはり一人で生きる寂しさには耐えきれなかったかも知れないし、後追い自殺することで恋人のもとへ行くことを選んだかも知れない。自殺した荒川さんが、多くの人の命を突然に奪ったあの事故の犠牲者の一人であることは間違いない。オレはただやりきれない気持ちになるだけである。周囲にいた誰も彼女を支えてあげられなかったことが残念なだけである。ただわけもなく悲しくて涙がこぼれるのである。やい芦原直樹、なんで12年間も一緒に暮らしたのに婚姻届を出さなかったんだ馬鹿野郎と彼女の代わりに文句を言いたくなるのである。事実婚だけでは日本では法的に保護してもらえないのである。
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