2006年04月25日(火) |
さよなら ふるさと銀河線 |
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JR宝塚線の脱線事故から一年経ちました。一年前に書いた文章があります。もしまだご存じでなければぜひお読みになって下さい。人の生涯は草のよう、野の花のように咲くというタイトルです。
北海道ちほく高原鉄道「ふるさと銀河線」は2006年4月20日をもってその運行を終了した。この線がまだ国鉄の池北線と呼ばれていた頃にオレは乗ったことがある。大学3回生の夏だ。
サイクリング部に所属していたオレはその夏も北海道を走っていた。オンネトーから足寄まで走ってきて、普通ならそこから池田、帯広と走り続けるところだが、たまたまその旅の時のオレは東京農工大の女性と知り合っていて「自転車でガンガン走るよりも、自転車を分解して列車で移動しながら女の子と語り合って楽しく過ごす」という卑怯な選択をしてしまったのである。足寄から富良野まで国鉄で移動し、富良野のユースホステルに泊まったのだ。「一緒に富良野でラベンダーを見よう」という口実で。その時に乗った足寄−池田間はこの池北線(現・ふるさと銀河線)だったことになる。女の子の顔ばかり見ていたので景色などほとんど覚えていない。
お知らせ
北海道ちほく高原鉄道株式会社では、さきに急告でお伝えしました取締役会での鉄道事業廃止決議に基づき、4月17日午後、臨時株主総会を北見市内で開催し、鉄道事業法に基づく廃止届を国土交通大臣に提出することを提案、賛成多数で提案どおり決議されました。これを受け、4月21日午後、当社代表取締役社長神田孝次が北海道運輸局(札幌市中央区大通西10丁目)を訪れ、伊藤國男北海道運輸局長に対し、鉄道事業廃止届出書を提出いたしました。廃止届出書では、予定廃止日を平成18年4月21日としておりますので、鉄道事業法の規定に基づき原則として同年4月20日までふるさと銀河線は運行されます。
3セクの中ではこのふるさと銀河線はなかなか経営努力をしていた方だと思う。JRの頃よりも本数を増やして利便性を高め、スピードアップも果たした。さまざまなイベントを行って集客にも務めた。それでも廃止という結果になってしまった。廃止の日、最終列車は満員の乗客を乗せていた。オレはテレビでそのニュースを見ながら複雑な気分だった。「みんなに愛された?」だと、そんなのウソに決まってるじゃないか。「そうやって最終列車に乗りに来ているあんたたちも、ふだんは便利なクルマにばかり乗ってるんじゃないのか。そんなの偽善だろ。」とオレはテレビの前で毒づいていたのである。
そんなに大切なら、そんなに廃止して欲しくなかったのなら、がんばって黒字にすればよかったのである。赤字を解消することだけが目的なら、みんなでお金を出し合って穴埋めすればよかったのである。ゼニを出すこともせず、もちろん黒字になるくらいにみんなで利用すると言うこともせず、ふだんは見向きもしなかったからこそ今回の廃業に至ったのである。
あのさよなら列車に乗っていた人たちも、ふだんはクルマばかり使っているに決まってるのである。「えっ、銀河線? そんなのはんかくせぇー」と笑い飛ばしてるかも知れないのである。
本当にふるさと銀河線を守りたかったのなら、乗客が何人以上なら黒字になるというぎりぎりのラインを算出して、地元自治体にノルマを課してその人数以上の乗車を義務づければよかったのだ。土地はいくらでも余ってるのだから駅前に駐車場を作らせて、パーク&ライドを推進したらよかったのだ。そんな強引なやり方で無理やりに黒字にするしかなかったのである。
池田から北見まで全線140キロを乗車すれば3410円だ。この距離をクルマで移動すればかかるガソリン代はせいぜい2000円以下だろう。二人乗っても同じことである。しかもクルマなら目的地間をダイレクトに移動できるが、鉄道なら駅からまた別の交通機関を利用しなければいけないことになる。どう考えてもクルマの方が便利なのである。クルマを運転できない老人や通学の生徒たちのために残したいと言うのなら、そんなの無理だと答えたい。老人や学生しか乗らないような鉄道はもはや存在価値を失ってるのだ。こういうものは利用者がないことにはどうにもならないのである。
田舎の鉄道を維持するためにどれほどの資金が必要なのかオレにはわからない。ただ、100億も200億も必要というものではないだろう。年にせいぜい数億程度の金額なら、沿線住民みんなで負担すればよかったのである。沿線の自治体が個別の世帯から「鉄道存続税」という名の税を徴収する仕組みにすればおそらく「うちはいつもクルマなので払いません」と拒否する人が大量に出るだろう。存続運動に熱心なのは地元のごく一部の人たちであり、大多数のクルマでいつも買い物をする人たちにとってはこの廃業も全く関係のないニュースである。
かつて北海道には多くのローカル線があった。天北線、標津線、十勝線、興浜南線、それらを維持するための経費なんて、新幹線や高速道路の建設費に比べれば微々たるものだったはずだ。そんな死に金を回すだけでみんなつぶさずに救えたのである。地元にとって何が真に大切で何が不要なのか、そんなことがわかっていない馬鹿政治家しか出てこなかったことがもしかしたら北海道の最大の悲劇だったのかも知れない。
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