2006年03月09日(木) |
土地をやるから住んでくれ! |
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北海道の東の端っこ、野付半島のところにある標津町がなんと定住希望者に土地をタダでくれるという事業を発表した。あまりのことにオレはびっくりしている。2007年から団塊の世代の大量退職が始まるわけで、ちゃんと年金とかが確保されていて老後の生活の心配のない人たちに家を建ててもらって、人口を増やしたいということなのだろうか。
この無償で提供される土地は町有地で、もらってから3年以内に住宅を建てれば所有権が移転されて自分のものになるということだそうだ。建築後の5年間は転売や貸与はできないという制限付きである。1区画は約400〜450平方メートルの予定で、2006年度分として28区画を分譲、応募状況に応じてさらに30区画の造成が計画されているという。
今、定年退職した人が老後をのんびりと過ごす場所として注目されてるのは沖縄で、中でも石垣島への定住者はものすごい勢いで増えている。そこで「南にばかり目を向けずに北の国でも暮らしてくれ!」と標津町が参戦してきたのである。オレは個人的には寒いのが苦手なので標津に行く気はないが、田舎よりも都会が好きなので沖縄も考えていない。オレが住みたいのは学生時代を過ごした京都であり、京都で「町家をやるから修理して住んでくれ」と言われれば喜んで移住するが、オレと違ってカントリーライフの好きな人にとってはこの標津町の提案は魅力的に映るだろう。
ただ、標津町のこの政策、移住者が元気なうちはうまくいくかも知れないが、やがて町の重荷になってくるのではないだろうか。若い世代が住むのなら子供が生まれて徐々に活気が生まれて・・・と町の成長が期待できるのである。しかしそこにやってくるのがジジイやババアばかりだったらどうなるのか。やがてその老人たちはどんどん年を取るのである。平均年齢65歳の移住者は20年後には平均85歳になるのだ。高齢者に偏っていびつになった町の人口構成は、介護や新たに必要になる福祉施策のためのさまざまな出費をもたらすだろう。移住者の中には破産したり離婚して独身になったり息子や娘にゼニをむしり取られて一文無しになってしまう者も現れるだろう。20年の月日が経てば大きく状況が変わるに決まってる。下手をすると標津町のこの政策を悪用して、自分の町で不要になったジジイやババア、近所迷惑なので出ていって欲しい不良老人を輸出してくる自治体があるかも知れないのである。
もしもオレが市長なら、近所迷惑な困ったチャンで小金のある老人をうまく説得して標津町に送り出してしまうだろう。そうして日本中の鼻つまみ者である迷惑老人ばかりが一カ所に集められた地区がどんな雰囲気になるのか、想像するだけも恐ろしいのである。「老人スラム」になってしまうかも知れないのだ。
まあオレの想像はいつも悪意に満ちていて極端なのだが、実際はそんな恐ろしいことも起きず、今の老人は80になっても90になっても元気でぴんぴんしてるのが多いので、そんな心配もたぶん杞憂なんだろう。もしかしたら人工受精や体外受精の技術が進み、代理母が合法化されて60代のカップルでも子供を持つことができるかも知れないのである。夫が定年退職していても妻はもしかしたらまだ20代30代かも知れないから子供が増えないという断定はできないわけだし。
オレは学生時代に標津町には3度も行ったことがある。標津町のユースホステルにも泊まったが、当時は標津線という国鉄のローカル線が走っていた。知床半島の羅臼に行くためにはこの標津からバスが出ていたはずである。ユースホステルに泊まりながら自転車で北海道を走った日々のことをなつかしく思い出したぜ。
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